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京子は礼司と里佳子の関係を知り、自分の気持ちをどう持っていけばいいのか分からなかった。
その時、武志からメールが来た。
『京子、事情は分かっていると思う。俺と別れてくれ。付き合っている彼女とこれからの人生を歩んでいく。家は京子に譲る。慰謝料代わりとしてほしい。申し訳ない。』
もう京子は疲れ果ててしまった。
何でこんな目にあうのだろう。
私は神様が怒るようなことをしたのだろうか。
次の日もなにもする気が起こらない。
今が何時かも分からない。
もう、全てのことがどうでもよくなった。
そう言えば、イタリアにいる息子の優治はどうしているだろう。
急に息子と話したくなった。
LINEで電話をした。
「あれ、お母さん、久しぶり、どうしたの、元気?」
京子は武志のことの経緯を話した。
当然、礼司と里佳子のことは話さなかった。
優治は母のことが可哀想になった。
そして、父に対して怒りが湧いた。
「お母さん、しばらくイタリアに来たらどう。こっちは楽しいよ。俺の家は部屋余ってるから大丈夫だよ」
「え、本当にいいの。ずっといるかもよ」
「飽きるまでいていいよ」
京子は優治の提案に乗った。