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京子は、家に戻った。
里佳子に確認してみようと思った。
しかし、事実を知るのが怖かった。
でもこのまま悶々とした気持ちでいることにも耐えられない。
里佳子の携帯電話を押した。
すぐに里佳子は出た。
「あ、京子、久しぶり。あの同窓会以来だね。二ヶ月位経つね」
里佳子は弾んだ声を出した。
「うん、そうだね。また飲みにでも行かない?」
京子は誘った。
「行こう、行こう」
「その時、礼司君も呼ぼうよ」
「いいね。私、言っておくよ。京子には会った時に話そう思っていたんだけど、実はね、私達付き合っているんだ」
やっぱりそうだったのか。
京子は落胆したが、それに気づかれないように言った。
「えー、そうなんだ。なんかお似合いだと思ってたんだ。良かったね」
「うん、ようやく私に良い運が回ってきた。あの時、京子が同窓会に誘ってくれたおかげだよ」
「あ、キャッチが入った。また連絡するね」
京子は、そう嘘をつき電話を一方的に切った。
京子は椅子に座り、礼司との会話を思い出していた。
あれらの会話で礼司が私に気があると思っていたことは勘違いだったのか。
愕然とした。
しばらくしたら、携帯電話がなった。
礼司からだった。
「京子ちゃん、今、里佳子ちゃんから電話があったよ。
また三人で飲みに行こう。
里佳子ちゃんと俺とのことは聞いたと思う。
黙っててごめん。
言うタイミングが掴めなくて。
会ってちゃんと俺達から話すよ」
「二人、お似合いだよ。良かったじゃない」
京子は言葉を振り絞った。
「キャッチが入った。切るね」
京子はまた同じ理由で電話を切った。
里佳子は京子からの電話の後、礼司に電話して、京子との会話を話した。
「京子は礼司君のことを好きだったんだよ。
礼司君、気がつかなかったの?」
「まさか。そんなことはないだろう。
京子ちゃんには本当に感謝している。
恩返しに何でもしてあげたいと思っている。
それ以上の感情はないよ」
「私には京子の気持ちは分かったよ」
礼司は里佳子からの言葉に驚いた。
そして、そんな誤解を招く行動をしていたかもしれない自分を責めた。