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異世界魔術物語  作者: 青空 御春
第3章:『罪と友情の1章』
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ページ3―7『親しみやすいリーダー』

 ケミキルの起こした村人大量殺戮事件。53人の村人の内、52人が殺されたという大事件だ。

 その残った1人が、『友人』だ。

 それを聞いた時僕は、酷く困惑したよ。それと同時に、わかったことも多かったけどね。

 2人が、200年前から生きていたこと。

 そして友人は、僕ら以外の導き手にも関わっていたこと。

 それから、ふたつの事件の犯人は、やはりケミキルだったこと。


 ケミキルはその後も、その事件と『友人』のことについて気怠く語り始めたよ。



「友人…というのは、僕の迎えに来たフードの女か。本名は知らないけど。君も会ったことがあるんだな」


「あれ、シアルも? もしかすると、全員会ったことあるんじゃない? でも、僕の時はフードなんか被ってなかったけどな? 」


「フードを付けてなかった? 僕達導き手に配られたローブと同じ物を着込んでいたはずなんだが」


「へー、知らないな? 僕が初めて会った時寝てる時だし? フリータイムだし? 」


「そうなのか…髪の色は緑だろう? 同一人物なのならば」


「緑? 銀髪じゃなくて? つり合わないなー? 」



 僕の話す『友人』とケミキルの話す『友人』は別人のようにも思えた。

 でもそんなことは無い。喋り方、言っていること。ここから、同一人物だということは確定している。


「私は友人」という言葉から始まる、一般的な敬語を使って話してくる女性。

 ケミキルと僕はしばらく彼女について話をした。その結果出た結論は、『友人は自身の姿を変えられる』という結論だった。



「姿を変えることの出来る…」


「導き手、か」



 それからしばらく無言になったので、僕はあいつに問う。その後、どうなったのかと。



「あー、その後? なんかあいつに、色々言われたなー? とりあえずなんかよくわかんないけど、感謝されたっけ? 来てくれてありがと的な? あんな前のこと、しっかり覚えてないけど? 」


「…そのことを、詳しく知りたい。それと、村を襲撃した理由も。唯の趣味では無いはずだ。いくらお前でも、それは無い。お前が趣味で村を襲撃したのならば、殺した村人の死体が村で見つかるはずがない。…お前が、持って帰るから」


「わー、すごいすごい。君、調べてみたら? 同じくらいの時期にあった事件? 君なら調べれるでしょ? 」



 ケミキルは、直接は話してくれなかったよ。…でも、ここは省略しようか。僕の昔の話をしているはずなのに、あいつの昔の話をしてたら、その間に追っ手が来てしまうよ。それから僕は事件を調べて、原因だって知った、とだけ言っておこう。この先の話をするのなら、また拠点を移動してから、だね。


 まぁ僕はそれから罠作りを手伝うことは無くなった。

 そしてそのことを不思議に思ったケミキルが、僕に話しかけてきた時。この会話が、昨日を除いて、僕とケミキルとの最後の会話だった。



「シアルシアルシーアル? 最近仕事手伝ってくれないけどどした? 何かすることがあったり? 」


「…いや。ちょっとね」


「…まさか、対象が人だとわかったから人を殺すのが怖いとか? 」


「…そんなわけないだろ、そんな理由なのならば、初めから断っていたはずだろ」



 笑顔であいつにそう言った。作り笑顔をしたのは、その時が初めてだ。



「…シアルが笑うとか珍しー。ま、そうだよね? 流石僕の友達。ならさ、今日暇ならさ、ついてきてくれない? 僕に」


「暇じゃないが。何しに行くんだ? 」



 僕はろくなことがないと思ったから、嘘をついて暇じゃないと答えた。



「ゆーぴぃー家の襲撃? かな? 」


「…襲撃? 何故? 」


「あれ、知らないの? 英雄組のキャリソン家以外って、殺害対象になってんのに? 」


「…初耳だね」


「そうなの? 理由は知らないけどさ? 好きに殺して良い奴がいるなんて、最高じゃん? 殺せって言われてんだから大歓迎? ぶち殺しちゃいましょうよってね? ま、シアル来ないならいいよ? 使徒引き連れて行くからさ? 」



 僕が教団に入った理由は、役に立つため。

 教団にとっての役に立つことがそんなことなら、僕は役になんか立ちたくなかった。

 このままだと、英雄組の子孫たちが危ない。僕は守らなければいけない、その子たちを。


 ケミキルが外に出ていったあと直ぐに、僕はテレポートで連盟本部の近くへ向かった。しっかりと場所を知っている教団のことを伝えられそうな場所は、そこだけだった。本部で、連盟長に伝えようと、走って本部に行った。


 その先で、入口を警備している警備員に話をつけた。



「連盟長に…伝えたいことがある」



 そう言うと、警備員はトランシーバーで誰かと連絡を取り、いくつか謎の質問をしてきた。



「伝えたいこと…とは、何か危険な集団のことか? 」


「…え、そうだが」


「その集団は…宗教系の集団か? 」


「え、なんで知って…」


「……君は、その集団の一味だったことが、1度でもあるか? 」


「………嗚呼」



 しばらくすると扉が開いて、急いだ様子の人が出てくる。


 ――それが、セレインだった。



「…兄様! 」


「…セレイン、か? 」


「はい、そうでございます…兄様! 帰ってきてくれたのですね…此処で待っていれば、確実にいつか、再会できると思っておりました! 」


「…あぁ、ありがとう。生きていてくれて、ありがとう。…それと、セレイン、なんか大きくなってないか? 」


わたくしが確実に教団を追うためにも、たくさんの情報が必要でした。兄様、リナ様、ナル様を確実に迎え入れるためには、確実な居場所が必要でした。その場所が、連盟長の座だった。でも、当時のわたくしの年齢では、連盟で働くことすら不可能でございました。わたくしわたくし自身の時間を進めた。そんなことをしてしまっては当然、しばらく動けませんでしたが」


「……そんなに、僕達のために…なんで…」


わたくしは連盟に入り、一生懸命に働いた。連盟長に立候補し、連盟長の座を手に入れました。

 …なんで? 兄様は、なんかで片付くようなお人ではございません! わたくしが兄様を、必要としているからでございます! 」



 僕は暫くその場で黙っていた。それから本部の中で、スルーリー家、ゆーぴぃー家、コリア家、マジシャン家の居場所を聞いた。

 それなりの実力を示し、チームソルビ市のリーダーに立候補した。


 セレインからの推薦もあり、僕はリーダーの座についた。

 僕は親しみやすい僕になろうとした。何故か分からないけど、ケミキルの喋り方を元にした。彼は何気に親しみやすかったから。

 それから、できるだけ笑顔でいるようにした。

 それから、日々特訓もした。何かあった時に、みんなを守れるように。



「…みんな、初めまして。新しくチームソルビ市のリーダーになった、シアル・キャリソンだよー。できるだけ全力で君達を守り、纏めたいと思うから、よろしくねー? 後、名前も覚えたいからさー。自己紹介とか、してくれないかなー? 」


「キャリソン家。名門星五貴族の1つですか。最近行方が不明だと言うことを耳にしましたので、少し興味が唆られますね。

 僕はペリィ・スリータ。星3貴族で、リーダーが不在の最中、ここのチームメイトを纏める役を務めさせて頂いておりました」


「は、はわ! 1番初めを、取られたのです! ケプナス様はケプナススルーリー! 英雄組のリーダーピグルットマジシャンのお友達天才最強回復術師プーリル・スルーリーの直の子孫であり天才で最強の魔術を扱う者! よろよろなのですっ」



 それが、ケプナスやペリィとの初めての出会いだ。それからチームメイトが全員挨拶をしていき、最後に後ろから出てきて挨拶をしたのが…君だ。


 

「君で、最後かなー。よろしくね? 」


「あ、…うん! ご、ごめんなさい! ちょっと聞いてなかったです! えーとえーと、僕はハプ・スルーリーっていいますぅ…さっき自己紹介してた馬鹿な妹がご迷惑をおかけしてすみません…。このチームでは主に回復を担当してるよ…」


「おにちゃーま! 馬鹿とはなんなのですか! 」


「馬鹿なものは馬鹿。ケプナスのことだよぉ。それくらい分かったらどうかな? もう、馬鹿なんだから」


「なーにーをー! 」


「うるさいなぁ、もう終わったんだから早くお家に帰らせてよ。早くおねんねしたいのに」


「おにちゃーまは寝すぎなのですよ! 全く、馬鹿じゃないって言うのは、何度言えばわかるのですかー! 」


「すやすや…は、馬鹿なものは馬鹿。こっちこそ何度言えばわかるの。じゃあ、寝てくるね」



 楽しそうなチームだな、と思っていた。それが、記憶を無くす前の君だよ。



 ◇◆◇◆◇



「…大体の流れは掴めたかい? ハプ」


「…うん。ありがとう、話してくれて。でも、そろそろ行かなくちゃ。ケプナス連れて、逃げないと…」



 ハプは荷物を纏め、ケプナスを抱き抱えた。シアルも荷物を纏めて、そのホテルから出て行く。



「…転生前のハプは今、どうしているのかな」

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