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異世界魔術物語  作者: 青空 御春
第2章︰『登場人物の1章』
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ページ2―27『決戦』

「はぁ…わたくしとしたことが、少し取り乱してしまいました…。後々、謝らなくてはなりませんね。」



 セレインはゆぴとハプの去っていった後、1人で連盟員を集めながらハプの向かった先へ向かう。



「連盟員の皆さん!わたくしの声が聞こえますか?聞こえる方は、此方に集合してください。リナの方は、兄様とぺリィさんが対応してくださっています。近くにいる方はできるだけ急いで集合し、もう1人の導き手、ナルの討伐にかかります。」



 手に通信機を持ち、できるだけ大きな声でセレインは叫ぶ。


 廊下をひとつ挟んだその先で、ケプナスとゆぴも、その呼び掛けを聞いていた。



「あ、まずいのです。セレイン達にはナルじゃなくて、ケプナスの左手はんぶんこ実行犯に当たってもらわないと困るのです。」


「なら、あたしら今からあいつに会いに行かなきゃなんないって、そういうことで間違いないわけ?」


「もちろんなのです。」



 ゆぴはケプナスから目をそらす。ついさっき、セレインと言い合って来たばかりのゆぴにとっては、こんなに早くセレインと会うことになるとは予想出来ていなかった。

 そう思うと心苦しいが、そんな事情を知ることの無いケプナスは、早速声の聞こえた方へ行こうとする。



「早く行くのです。セレインも多分、走ってるのです。だから、早く行かないといけないのです!」


「ま、待ちなさいよ! 」


「なんでなのですか?」


「あ、あいつがいなくても、何人か連盟員を集めてシアルと眼鏡とあたし達がいたらさ、リナだって倒せるでしょ!ね!」



 ゆぴは必死にケプナスを引き留めようとする。



「セレインは連盟長なのですから、セレインがいた方が連盟員もいっぱいいっぱいになるのですよ。だから、セレインだけは絶対にケプナスの左手はんぶんこ実行犯に当たるべきなのですよ。さぁ、早く!」



 ケプナスは右手でゆぴの手を握り、セレインの方へ向かう。

 ゆぴはしぶしぶ小走りでついて行く。



 ◇◆◇◆◇



「皆さん集合しましたね。では急いで。おそらく奥で、ハプ様が戦闘中でございます。リナがいるはずもないので、もう1人で間違いありません。」



 セレインが掛け声をかけると、集まった連盟員達は「はい!」と返事をして走って廊下を進んで行くセレインについて行った。



「見えました、ハプ様です。戦闘に…。」


「セレインちゃん!?」



 ハプは空中で戦闘しながら、セレインに気がついて少しふらつく。



「セレイン、お前居たの…。」



 ハプの言葉を聞いてナルも振り返り、1度攻撃を止める。



「ハプ様、増援に参りました。皆さん!ハプ様に手を貸してください!」



 すると、その後ろからケプナスとゆぴも、息を切らして飛び出してくる。



「なのです…もう合流してしまったのですか…!もう少し早く来れたら良かったですのに、どこかの駄々っ子のせいで!」


「どこかの駄々っ子って誰のことよ!結果オーライでしょ!合流できたんだから!」



 ナルはそれを見て、少し動揺する。1体1ならまだしも、セレイン、ゆぴ、ケプナスに大勢の連盟員を相手にすると考えると、勝ち目は限りなく少ない。

 リナの用意していた使徒はシアルに全員気絶させられ、ナルの用意した使徒はセレインに全滅させられた。



「恐ろしい兄弟なの。」



 ガヤガヤガヤガヤと、うるさい空間で、ケプナスは思いっきり地団駄を踏んで叫ぶ。



「うーーるーーさーーいーーのーーでーーすーー!」


「アンタのがうるさいって。」



 するとその場は静まり返る。ケプナスはセレインに指示を出す。



「ここにおにちゃーまがいるのならちょうどいいのです。連盟員を全員連れて、リナと戦って欲しいのです。」


「しかし、リナは兄様が…。」


「セレインもいた方がいいのです。お願いしますなのです。」



 ケプナスとセレインのやり取りを聞き、ハプも口出しをする。



「こっちにも残って欲しいです!ケプナスとゆぴはおねがい!」


「了解!」

「おけなのです!」



 2人は同時に返事をすると、ナルの周りを取り囲む。

 セレインは連盟員を連れて、リナのいる部屋に向かって走ってゆく。



「ゆぴ、ケプナス。ナルは浮遊術が苦手だよ。」


「あーらあらあら。それはそれは好都合。お生憎様。あたしったらさぁ〜、浮遊術が得意なわけでさぁ〜?」



 ゆぴはナルを見下しながら威圧のオーラを向ける。

 しかし、ナルはそんなこと全く気にしていない。ただただひたすらに、リナに向かって走ってゆくセレイン達を、目を見開いて見つめていた。



「リナが…危ないの。」



 空気が重くなった。先程までずっとナルと一緒に居て、ナルを理解しているハプにならわかるだろう。今の状況が。



「ゆぴ!セレイン達の方に向かわせちゃダメ!勝つこと考えなくていいから、ナルを引き止めて!」



 ハプは必死にナルに向かって走っていく。



「リナを…守らないといけないの!リナが殺されるの、リナが危ないの!リナを…リナを守らないと!」



 ナルはリナを愛している。驚異的な愛で束縛している。ナルの1番大切なものは、間違いなくリナだ。自分の命でもなんでもない。リナが、1番。心に大きな穴があったら。心が限りなく無に近い状態だったら。

 何か一つの大きなものが入ってきた時に、その心はそれで埋め尽くされる。



「__ゆぴがツンデレなら、こいつはヤンデレなのですね…。」



 ケプナスは鬼ごっこを発動し、走ってゆくナルを追いかける。ゆぴは銃を乱射する。ハプは行く手の先に炎の壁を作る。


 しかし、ナルは突き進んでゆく。どれだけ銃弾がかすれても、炎の中を突き進んででも。



「___ナルはリナが、だーいすきなの。」



 瞳に狂気を浮かべて。




 ◆◇◆◇◆




「やぁ、セレイン。来てくれたねー。まあ、そんなに困ってたわけじゃないけどね。」



 セレインが扉を開けた先には、ステージの上で別の導き手にどんな人がいるのかを突き止めようと奮闘しているぺリィと、横から不思議そうな興味深そうな顔で見守っているエイと、リナと優勢に戦いあっているシアルがいた。



「兄様…まさか、おひとりで!?」



 シアルはいつものような笑みを浮かべて、セレインに話しかける。



「まあねー。ぺリィには他の導き手について調べてもらってる。エイが本気で戦ったらここの建物大変なことになるし、何よりこいつをぶちのめせたら僕もスッキリするからねー。」


「兄様、笑顔で言うと恐ろしさが倍増するでございます…。しかし、はぁ。兄様ってこんなに強かったのですか…?リナ、タイプは?」


「私は闇タイプよぉ。シアルもねぇ…。仕方ないわよぉ、シアルを出されたら私に勝ち目なんてほぼないもの…。」



 リナは息切れしながら、膝に手をついて話す。

 1体1でやり合っているのに、シアルは完全に圧勝しようとしている。

 そんなことは、不可能なはずなのに。



「シアルは天敵よぉ?シアルに私が勝利するなんて、私がシアルよりも、元々で強くならないといけないわぁ。固有の能力とかそういうの全部抜きで、単純に強くならなきゃいけないわぁ。だってシアルは___。」



 リナが言おうとする言葉を、シアルは攻撃で遮った。



「早く倒したいんだけど、なかなか倒されてくれないんだよねー。」



 シアルはもう一度針でリナに攻撃する。



「はぁ、殺すなら、早く殺しなさいよねぇ…。その後で、ナルに殺される覚悟があるのなら。」

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