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異世界魔術物語  作者: 青空 御春
第2章︰『登場人物の1章』
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ページ2―9『始まる時』

 ハプは国際魔術協力連盟の長い廊下を、エイを抱えて走っていった。エイはキョロキョロと周りを見渡しながら、「すごい」や「綺麗」の言葉を繰り返していた。

 ハプは走りながらその様子を見て不思議に思い、エイに話しかけた。



「外...出たことないの?」


「あんまりない。と思う。覚えてない、のかも。でも、すごい。エイ、外綺麗だと思う。エイほとんどあの白いとこにいたから。色があって、色んな音がして、楽しい。」


「そう、なんだ...。なら、これからこの建物の外にも出るよ。そしたらもっと、素敵な世界が広がってるよ。」



 ハプはエイと顔を見合わせ、笑顔で言った。するとエイはいっそう顔を輝かせ、さらに笑顔になった。

 それからハプは走り続けて、セレイン、ゆぴ、ペリィと合流した。



「国際魔術協力連盟の皆さん!この度はお集まり感謝いたします。これからわたくし達は星五貴族である、囚われたケプナススルーリー様を助けに参ります。それと同時に、素顔の見えない集団、魔術神秘教団の幹部である『導き手』の情報を掴むことが出来たらと考えております!」



 セレインは連盟員を整列させ、掛け声をあげた。すると連盟員たちも覚悟を決める声をあげた。

 ハプはエイを連れてゆぴとペリィの所へ行った。



「そいつがエイ、ね。さっきセレインとあんたで話してたヤツ。随分と服がボロいみたいだけど大丈夫なの?なんでこの子連れていくの?」


「ほわには分からないよ...でも、悪い子では、ないから。少なくともほわはすきだよ。」


「あんたが嫌いになる人とか、世界中から嫌われてるわよ。」



 そんなことを話しているとセレインの方は準備が整ったようで、ハプも掛け声をあげた。



「___ケプナスを、助けるぞー!」



「「「おー!」」」



 ハプが叫ぶと、ゆぴ、ペリィ、セレインも声をあげた。



「できるだけバレることのなく近づきたいので、浮遊術で少し遠くの地点に着地します。その場所に、チームソルビ市のリーダー...兄様が待っています。そこで合流した後、不意打ちを狙って裏ルートから侵入。途中途中で、シアルがどの『導き手』なのか判断する為の仕掛けを作っております。

 では、出発!」



 セレインが掛け声を上げ、浮遊術で浮かんだ。それに続いて他の連盟員も浮かび、ゆぴ、ペリィも浮かんだ。

 ハプも浮かぼうとしたが、隣でエイが不思議そうな顔をしているのを見て一旦止まった。

 それから前にいるセレイン達に先に行くように促し、かがみ込んでエイに話しかけた。



「エイ、浮遊術できる?」


「浮遊術...。」


「お空飛ぶの。できる?」


「お空...?」


「できない、のかな...。」



 そう言ってハプはエイを抱えて飛ぼうとする。するとエイは足をバタバタして、降りるように促した。



「お空、飛ぼうと思えばいいんだよね?」


「そう、だけど...。できる...?」


「エイ、お空飛ぶ!」



 エイがそう言って目を瞑ると、エイを中心にたくさんの風か吹き荒れた。それからハプが閉じていた目を開けると、エイはふわふわと浮いていた。



「エイ、お空飛べる!」



 そう言いながらエイはその場をクルクル回り、人差し指をハプの方に向けた。



「さっきの人達追いかければいい?ハプも一緒に飛ぶ。手、繋いで?認識出来なくなるから。」


「うん...わかった。」



 ハプは言われるがままにエイの手を取る。するとエイがハプを浮かせたのか、体が急に軽くなり、ふわっと宙に舞った。

 それからエイは助走のように魔力を貯め、一気に前に進んだ。

 そのスピードはとても速かった。素早いスピードで風を切ってゆき、すぐに連盟軍に追いついた。



「あら、早かったじゃない。」


「うん、エイ、とっても速いの。だからすぐに追いつけちゃった。」


「エイ、楽しかった。まだ飛ぶ?」



 エイは笑顔を向けてハプにそう言うが、これ以上は周りのみんなも一緒だ。エイが飛ぶと早すぎるので、ハプは苦笑いしながら言った。



「うーん、ごめんね?エイ早すぎるから、今からはほわが飛ぶね。

 ___また、今度一緒に飛ぼうか。」



『また、今度』

 それを聞くと、エイはにぱっと笑った。



「――また、今度!」




 ◇◆◇◆◇




「やぁ、来たねー。セレイン、ハプ。」



 ツム国の国際魔術協力連盟の拠点から少し離れた場所で、シアルが待っていた。



「兄様。おまたせしました、全員。揃っています。」


「さっすがー、準備万端って感じー?...じゃ、行くよ。」



 シアルが踵を返して向かおうとすると、ハプは引き止めた。



「シアル。」


「ハプ。」


「シアルは...どうして。」


「本当は、巻き込みたくなかったんだ。

 ___これが終わったら、話をするよ。」



 シアルはそれだけを言って、先に進んで行った。その顔は、悲しそうで、悔しそうだった。

 ハプたちも黙って、後ろから付いてて言った。


 ケプナスを助ける。


 それだけを、心に秘めて。



 足音を立てず、静かに歩いて。国際魔術協力連盟の建物の前に着いた。

 すると、シアルが小声で話し始める。



「裏ルートから入る。僕に付いてきてねー。絶対、無駄なことはしないように。

 導き手がいるのなら、相手はかなりの脅威だからねー。計画が狂うと編み出せない。導き手が違うと能力も違い、戦い方も違う。それを見極めながら侵入し、そいつにあった戦い方をするんだよー。

 ...まあ、僕だって全員の情報があるわけじゃないからよく分からないけどねー。じゃあ、行くよ。」



 シアルの指示に、皆が頷く。


 戦いが、始まる。

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