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メランコリック ヘヴン 記憶の破片  作者: 倉木英知
九つの死に至る罪
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双子の天使 黒


父親はー

アメリカで、生まれ。

母親はー

日本で生まれた。


その生まれた国の違いが原因なのかはー

解らなかったけれど、2人は、よく喧嘩していた。


罵り、嘲り、非難し、殴打する。


母親が倒れー

父親が居なくなる。


そんな日々が習慣になっていた。


突然にー

父親が失踪した。


それからー

家族が壊れていくのにはー

時間は掛からなかったと記憶している。


母親はー

毎日、泣いて過ごした。


泣いて。泣いて。

涙も枯れた時にー


ある訃報が届いた。


父親は不倫していたらしくー

その浮気相手と共に心中したのだと聞かされた。



それ以降ー

母親は母親ではなくなった。

きっと狂ってしまったのだろう…。


僕とー

兄を檻に閉じ込めた。


居なくならない様に…。

離れてしまわぬ様に…。


だからー

僕は…。

感情を現さないようにした。


叩かれても、声をあげなくて済む様に…。

詰られても、心が痛まなくて済む様に…。


表情を動かさない様に努めた。

石像の様に。彫刻の様に。


やがて…。

母親が捕まった。


虐待をしているとの通報があったらしい。


その後ー

母親はー

自傷行為を繰り返しー

自ら、命を絶った。



僕はー

僕が解らなくなった。

感情がなくなってしまったのだろう。



母親の死を知らされた時もー


僕はー

無表情だったのだから。


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