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揺れ動く


 天秤に掛けられた重さの比重は何方どちらにあるのだろう。時として右に傾き、時として左に傾く。ソレが幸福なのか不幸なのか知るのは己自身だけだ。


 私には知らなかった真実が1つだけあった。たった一つの知らなかった真実。その真実は私の人生を粉々にしてしまった。妻は隠していた事が一つだけあった。真実を隠していた。真実を隠す為に嘘を一つだけ吐いた。その嘘を隠す為に、妻はその後、幾度も嘘を重ねてしまったのだと…。妻が死んでしまった後で知らされた。


 妻は嘘を一つ吐いた。そのたった一つの嘘が妻の心を徐々に蝕んでいった。その心を失わない様にする為に…。妻は【胎天理教】と云う新興宗教に入信したらしかった。本末転倒。そう云われてしまえば、ソレはそうなのだろうと、私も思う。


 そんな妻に気付かなかった私も私なのだろう。【私は何も知らなかった】しかし、ソレだけで片付けてしまうには、支払った代償は余りにも大きかった。妻は死んでしまったのだ。もう会う事も、会話する事すらも叶わない。


 罪の意識の重圧に耐えかねての自殺だったのだそうだ。


 信じていたものが崩れ去った。崩れ去ったモノの内に、どうしても捨て切れなかったモノだけが残った。


 【正義】だけが残った。矮小な私が、私なりにつちかってきた【正義】だけが残ってしまった。だからこそ私は…。




 


 



 

 

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