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グレイテスト オブ オール タイム
「歴史上最高の芸術だって言いたいのか?」
天乃の視界に映るソレは首を横に振った。
「違いますよ。アレは…。ただの死体です。芸術作品にはなり得なかった…。残念です。」
悪怯れる事も無くソレは溜息を吐くと…。貴女なら理解してくれると思っていたのですが…。と云った。
「理解?」
天乃の表情は曇る。
「何を理解しろと云うんだ?罪もない人を殺め、剰えその遺体を加工して…。言うに事欠いて作品にはなり得なかっただと?だとしたらアレはお前にとって何なんだ?」
「だから…。何度も言ってるじゃないですか。アレは、ただの死体ですよ。頭部も手足も何も無い、ただの死体…。誰かさえも理解されない、ジョン・ドウ、またはジェーン・ドウって所ですね。身元不明の肉塊です。」
ソレは嘲笑した。
「後、貴女は何か勘違いをしています。私は、材料を提供していただいただけで殺してはいませんよ。私のもとに送られてきた時には、既に頭部も手も足も無い状態だったのですから…。」
天野の表情は更に曇ったのだった。




