表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/60

空白の記憶 壱


僕には空白の記憶がある。


【空白の記憶】

一見すると、その表現には矛盾がある様に思う。でもそう表現するしかないのだ。記憶に空白期間があると考えるのが妥当なのだろう。解離性健忘の症状に近しいのではないのだろうか…。


解離性健忘…。

心的外傷トラウマやストレスにより引き起こされる健忘(記憶障害)を指し、自分にとっての重要な情報が思い出せなくなる事。



つまり僕にとって重要な情報、重要な記憶が喪失している。と云う事になる。


何故、僕がこんな事を言っているのか…。


ある日を境に…。

トロトロとした液体が怖くなったからだ。


自分でも馬鹿馬鹿しい事を言っているとは思っている。

だけれども真実なのだからどうしようもない。

しかも日常生活に支障も出ているのだから笑えもしない。


2週間程前の事、帰宅途中で予想してなかった突然の雷雨に打たれ、ずぶ濡れになった僕はシャワーを浴びていた。普段と同じ様に髪を洗う為にシャンプーを使おうとした時だ。シャンプーのヌルリとした感触に僕はヒッと声を発し、身体を勢いよく反らした。手の平に残るトロリとした液体に恐怖を覚え、身体は無意識に小刻みに震えていた。


そう馬鹿げた話だと思う。何にも面白くもない話だ。

でも考えてみて欲しい。トロトロとした液体、つまりは粘液状のモノは身の回りに溢れている。


そして今日、僕は会社を休んだ。

頭痛が酷く吐き気がするからだ。倦怠感もあり、全身が痛む。微熱があるからきっと風邪を引いたのであろう。


時間があったから考えた。考えた末に行き着いたのが…。


あの日の違和感だった。その日、会社は定時で終わった。だから家に着くのは18時頃の筈だ。だがどうだ…。実際帰宅したのは23時を回っていたのである。その間の僅かな時間の記憶が無い。その空白の時間に何かあったに違いない。


だから冒頭で述べた様な事になるのだ。


僕には空白の記憶がある。

けれどソレが何なのかは思い出せない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ