リビングデッド 死者は蘇る。
「何故、お前が…。」
天乃は正面に立っている美しい女性に声を荒げた。
「お前は死んだ筈だろ。何で生きているんだ?」
「何で…と言われても…。」
美しい女性は言葉を返す。
「そうねぇ。貴女に逢いたかったから…。」
そう言って微笑んだ。
「巫山戯るな。」
「巫山戯てなんかいないわよ。そうねぇ。あっ…。そういえば…。貴女に向けてプレゼントを贈った筈よ…。ほら、あれ…。」
そう言うと吐息混じりに息をして
「幽霊に怯えた大学生とか…。痴情のもつれで殺し合った女子高生とか…。存在しない肉体を求めて収集した奴等とか…。人魚を愛した男とか…。死んだ息子に会えると信じた愚かな母親とか…。」
と続けた。
「裏で糸を引いていたのはお前だったのか…。」
「うーん。正確に言うとあたしが直接やった訳では無いのだけれども…。貴女と再会するには少し劇的なほうが良いと思って…。貴女の為だけに作品を創ったのよ。気に入ってもらえたかしら?」
美しい女性はクスクスと少女の様に笑った。
「無関係の奴を巻き込むな。あたしとお前の問題だろ?用があるなら直接来いよ。8年前の様に、またあたしが捕まえてやるからさ…。」
天乃は感情を押さえ込んでいる。
「捕まえる?あぁ…捕まえられた…そう思っていたのね…。」
「あ?」
「あの時はね。捕まらなくちゃいけなかったの…。」
「どういう意味だ?強がりか?」
「違うわよ。あたしが悪かったから…。ユックリ考える時間が欲しかったのよ。」
「罪を償いたかったとでも言うのか?巫山戯るな。お前は何人の罪も無い人を殺したと思ってるんだ?」
「そんなの数えてる訳ないでしょ?どうだっていいじゃない。誰が何人死のうが…。だいたい、あたし悪い事なんてした覚えないんだけど…。」
美しい女性は凍結した鉛の様な瞳で天乃を見ている。
「まぁ。いいわ。」
美しい女性は、また言葉を紡ぎー。
「もう少ししたら分かるから…。」
と言った。




