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魔弾の射手は夢を果たす
幼少の頃。
集団による連続強盗殺人事件でー
私は家族を失った。
父親も母親も姉も。
その時の事はー
現在でも鮮明に思い出す。
あの時ー
私は家族に助けられた。
クローゼットの中からー
私は、その一部始終を見せつけられた。
今でも七人いた犯人の顔は覚えている。
私はー
その事件の後から、母方の祖父と二人で暮らしていた。
祖父は人里離れた山奥で猟師をしている偏屈な人だった。
学校に通うことすら困難な場所でー
その時の私は2時間はかけて登校していたのを覚えている。
祖父は口下手な人だった。
それでも間違ったことは言わない人だった。
祖父は猟師の仕事の大切さを教えてくれた。
害獣を駆除する事。
狩った獲物を卸す事。
生命の有り難さを実感出来る事。
獲物は食料にも、アクセサリー、服にもなる。
いつからか、私も猟師になる事が夢になっていった。
でもー
その夢が悪夢になるとはー
その時の私は考えた事などなかったのだ。




