10/60
魚眼の内に濁る夢
「ねぇ♪晶ぁ♪図書館でね♪面白い人に会ったんだぁ♪」
満面の笑みを張り付けてー
可愛らしい天使は云う。
「明…。楽しそうだね…。」
もう1人の天使も云う。
それは、同じ顔。けれども表情がない。
髪型と服装だけが違う。
明と呼ばれた天使はー
色の抜けた白色の髪。
胸元までのロングヘアー。
白色を基調とした服装。
ニコニコと微笑み、ピョンピョンと跳ねている。
晶と呼ばれた天使はー
漆黒色の髪。
耳が見え隠れするベリーショート。
黒色を基調とした服装。
無表情で椅子に腰掛けている。
「何があったの?」
無表情のままー
晶は訊いた。
「材料を見つけたぁ♪」
明はー
微笑みながら返しー
「その人ね♪世界は水族館みたいなんだって言ってたの♪」
とー続けた。
「で…。?」
「えっとね♪」
明は晶の傍に向かいー
耳元で何かを囁く。
「なるほど。それは楽しいかも知れない…。」
晶は無表情のままに、口角を上げてー
「希望を引き摺りだすのか…。」
とー並べる。
「確か、理人、凛音、凛香と同じ学校みたいだよ♪」
明の瞳はキラキラとしている。
「運命だね…。」
晶の声はー
蕩けて消えた。




