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食物連鎖   作者: 枯嶋 枢
団結力の中に潜む裏切り
4/5

恐怖の足音

人間は、強い力や脅威を目の前にすると集団を作る傾向にある。それは不安解消だったり、連携を取りより強くなった力を手に入れるためだという。だがその集団を作るためには、1つやるべきことがある。それは集団内の仲間を信頼することである。信頼できたなくなった集団は、いずれ解体していくだろう………


僕は空き家の外に出ることができたが、ただ1つ欲しいものがあった。それは武器だ。小さくなった体に合う手頃なサイズの武器になりそうなものは何1つ落ちていなかった。だが、例え金属などを手に入れたところで、剣や銃などを作る技術を持っていない。しかし僕には考えがあった。それは昔の人がやってきたことを真似ること。昔の人って言っても数百年前の話ではない。数百万年前の話だ。当たり前だが、僕たちが今まで使ってきたものは全て通常サイズの人間で使えるものであり、小さくなった人間が使えるように考慮されて作られていない。よって、はるか昔の何もなかった時代と同じなのだ。僕は早速知っている中で一番作りやすそうな打製石器に近いものを作ろうとした。必要なものは、黒曜石と鹿の角だがそんなものが落ちているわけもなく、仕方なしにガラス瓶の破片であろうものと、大きめの石を使い代用した。不格好だがガラスの石器は完成し、何も無いより安心感を得ることができた。ある程度の殺傷能力くらいはありそうだ。さらに僕は加工を続けた。大きめの枝を石で加工し弓の形にした。弦は落ちていた枝を裂き、繊維を捻って作った。夢中で作業をしているうちに周りが暗くなってきた。周りが見えなくなる頃には、弓矢20本と槍を1本を作り上げていた。手元に灯りがあれば、もう少し作れたが、当然ウイルスに侵されたこの街に灯りなど1つもついてはいなかった。

夜も更け始め肌寒く感じたので『火が欲しい』僕はそう思ったがすぐにその気持ちは失せた。後ろから巨大な足音が聞こえたからだ。反射的に影となっているところまで走って逃げた。頭で考えるよりも先に体が動いてしまう、この感覚。人間の逃走本能そのものだった。逃げなきゃ死ぬと体が思ったんだろう。影から音のする方向を見ると、巨大な猫が歩いていた。夜ということもあり、眼はギラギラと光りを放っていた。家猫であろう首輪をつけていたが、可愛いさは少しばかりもなく化け物にしか見えなかった。僕は息を殺して時が過ぎ去ることをじっと待つことにした。すると、突然別方向から小さなカサカサという音が聞こえた。目を凝らしよく見ると僕と同じ人間が5人いた。武装していたが、まだ化け物には気がついていないようだった。ここから声を出せば5人の命を救えるかもしれないが、自分の命の危機には変えることが出来ず、そのまま様子を見守ることにした。

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