第六話 冒険者ギルド
冒険者ギルドに登録をしに来たサスケとソーレルは受付嬢から冒険者ギルドについての説明を受けることとなった。
「改めまして、私は冒険者ギルドで受付嬢をしているリールといいます。これから、王都にいる間、サスケ様の担当受付嬢となります。」
「よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね。それでは冒険者ギルドについてご説明していきたいと思います。
そもそも冒険者ギルドとは何か。それは初代ギルドマスターが始めた冒険者の支援団体が大本になっています。今は魔物の討伐等の対魔物傭兵としての側面が大きくなっておりますが冒険者としての本質である冒険への支援も行っています。
冒険者と言ってもその実力はランクによって異なります。
一般人とほぼ大差ないとされるEランク。
軍の兵士ほどの実力があるDランク。
一つ目の壁といわれるCランク。
軍の騎士クラスの実力を持つBランク。
軍の精鋭クラスの実力を持つAランク。
そして、英雄と呼ばれるレベルにあるSランク。
この六つにランク分けされています。
各ランクから上のランクに上がるには基本的に昇格試験を受ける必要があります。
また、魔物も冒険者ランクと対応するようにランク分けされています。
魔物の場合はランクをレートと呼び、BレートならばBランク冒険者が単独で倒せると判断できるレベルの魔物とされます。魔物のレートには+-もあり、細かい等級分けがされていますが個体差等もあるため、あくまで目安ということを忘れないでください。
最後に、依頼についてです。冒険者ギルドに登録なされた以上、依頼は全て冒険者ギルドを通していただきます。もし、通されていない依頼が発覚した場合には罰則が与えられます。
依頼の種類ですが、薬草の採取等の採取依頼。
新たに発見された遺跡等の調査依頼。
特定の魔物を討伐する等の討伐依頼。
商隊の護衛等の護衛依頼。
以上の4つが依頼内容の種類です。
依頼の達成は魔物討伐証明部位の持ち込み等の達成条件が設定されています。
依頼形式としては指名依頼と非指名依頼の二つがありますが指名依頼はBランク以上の冒険者のみが受けられます。
冒険者ギルドとしての説明は以上です。何か質問などはごさいますか。」
リールは説明を終え質問の有無を問う。
「大丈夫です。何かあれば、改めて話させてください。」
「分かりました。それではこれからよろしくお願いします。」
サスケ達はリールに別れを告げ、冒険者ギルドを後にする。
その後、今後の修練で必要となる服や道具、本等を購入し、サスケ達は帰った。
余談だが、この世界は古代文明の遺産の解析に一部成功したため、紙に関しては地球の現代社会と変わらない品質と値段で取引されている。
それに伴い印刷技術も発達し、白黒印刷は可能となっている。そのため本類の値段も地球の中世などに比べ押さえられているのである。
─ソーレルの独白─
儂はソーレル=ドラク=フローズ。広い世界を見ようと[龍の里]をドラグーン兄弟と出たのじゃが、始めに来たこの大陸を訪れた当時大陸を支配していたアルダート帝国に対して反乱を起こしたのじゃ。
結論から言うと、反乱は成功しドラグーン兄弟の兄ルレリオは龍王国を建国したのじゃ。
反乱軍の功績者達が次々と貴族位等を貰うなか、公爵に任じられることになっていた儂が望んだのは世界を回ることじゃった。
ルレリオは儂の願いを聞き入れてくれ、国王直属の部隊とするこで各国を見回ることを許可してくれた。
その後、この国で暮らし、妻が出き、子供も生まれた。ルレリオが帝国との戦争で戦死してしまうことや短命種族だった妻が先に死んでしまうなど不運な出来事もあったが概ねこの五百年平和に暮らしてきた。
息子であるセーロは将軍となり、帝国との国境の街で息子の嫁と孫の三人で暮らしている。
この平和は五年前に突如崩れた。
セーロが暮らしていた街をある龍が襲ったのである。セーロの妻も孫も殺され街はいまだに復興の目処が立たない程破壊された。
街を襲ったのは堕龍出会った。
堕龍というのは強い負の感情を持ち、それが振り切れたときになる種族、堕族へと龍がなったものである。
儂も復讐心にとらわれたが、堕族に堕ちるほどのものではなかった。とはいえ、敵討ちを誓い堕龍の情報を集めていた。
ある調査から王都への帰路で不思議な少年を見つけた。その少年の事情等から一時代に数人現れるという転移者ではないかと思われる。
とりあえずその少年を保護することとなった。少年の名前はサスケというらしい。
サスケは素直で礼儀がある程度身についているようじゃった。儂はサスケを気に入り、この世界について教えると同時に魔力量を計らせてみた。驚くことに佐は軍の高官クラスの魔力量出会った。
そして、儂はサスケを利用しようと考えた。正直に言って息子と孫を殺した堕龍は儂には殺せないだろうと考えておる。せめて一矢報いる気でいたが、サスケを育て上げれば堕龍に勝てるような戦士とすることができるかもしれないと考えたのじゃ。危険なことを押し付けることになってしまうだろうから、儂の技術全てを伝えるのは勿論のこと、教養を始めとする知識を身に付けさせ、養子とすることで身分を保障しようと思ってもおる。
サスケには危険を犯してもらえことになるが、堕龍討伐後なども困らないような力量や身分を用意することでせめてもの報いとさせてもらおう。
全てはあの堕龍への復讐のために…。