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世界を駆ける者  作者: クロ
12/12

世界を駆ける者11 土の日

土の日は椿の武術の指導から始まる。サスケは着替えなどを済ませ地下修練場へと向かう。


修練場に着くと、サスケは全員に済ませておくように言われている柔軟とランニングを始める。ちなみにウィルはこの授業には参加しない。ウィルが参加するのは剣術、体術、魔術、歴史、地理、教養である。


椿はサスケが柔軟を終えランニングを始めてから少したところでいつも来る。これは人によって違いセラであれば全てが終わった時に来るし、キルトであれば最初からいて一緒に柔軟とランニングをする。


ー椿の刀術ー

「基礎は身につけられているから、今日からは私の流派の技を教えていくわ。」


「それって教えて良いもんなのか。」


サスケがこの世界に来てから三ヶ月程経ち、サスケの口調も砕けたものとなった。


「私は師から免許皆伝を受けているし、責任が取れるなら弟子をとっても構わないと言われているから大丈夫よ。」


椿は軽く言っているがまずこの年で免許皆伝を受けているのが凄いことである。しかも免許皆伝の者から指導を受けれるのはほぼあり得ることでない。サスケはその辺りも考え聞いたのだが、椿の答えを聞いてこの世界では事情が違うのだろうと考えた。


「私の流派の名前は青嵐流。青龍という聖獣から来ているそうよ。単発の威力を重視した技が多いわね。技は系統化されていて大まかに四つに分かれているわ。速度を重視した風の太刀、手数が多い林の太刀、威力を重視した火の太刀、カウンターなどが多い山の太刀の四つで、今日からしばらくは風の太刀系統をやるつもりよ。最初に見本をみせるわね。」


椿は予め用意してあった木製の人形の前に立つと腰を落とす。


「〈風の太刀〉」


椿の声が聞こえた時には椿が人形の後ろに立っていた。そして、人形の首は落ちるのであった。


「今のが〈風の太刀〉よ。基本的には居合斬りね。〈縮地〉、〈認識加〉、〈身体強化〉の並行発動に加えて、刀を抜く時に鞘の中で小さい爆発を起こすことで刀を抜くスピードを上げているわ。とりあえず縮地はできるかしら。」


「セラ姉から体術の授業の時に基本は教わったから発動はできる。連続とかの応用は無理だな。」


「今は基本で十分よ。とりあえず一回見せて。」


サスケは〈縮地〉を発動し修練場の中央から端へと移動する。


「発動速度とかは問題ないわね。短距離もできるわね。」


「ああ。」


サスケは返事を返しながら短距離の縮地をやってみせる。


「縮地は大丈夫そうね。他の三つも確認するわよ。」


「確認するって言われても〈認識加速〉と〈身体強化〉の術式は知らないし鞘で爆発を起こす抜刀法なんかやったことないぞ。」


「それぐらい分かってるわよ。ほらこれ〈認識加速〉と〈身体強化〉の術式。今から三十分で覚えなさい。その後、抜刀法も教えるから。」


サスケはこの後一時間程かけて〈風の太刀〉の発動に成功する。





「発動速度は遅いし、威力も低いわ。今後練習して練度を上げないと実戦では使えないわよ。残りの時間は模擬戦でいいかしら。」


椿は修練場に備え付けられている時計の魔道具を確認する。


「残りの三十分はいつも通り模擬戦をするわよ。」


「はい。」


サスケと椿は木刀を持ってきて礼をして構える。


最初に動いたのはサスケである。〈縮地〉を用いて一気に距離を縮めて袈裟に斬りかかる。椿はサスケの袈裟斬りを後ろに下がることで避ける。避けられると判断したサスケは木刀を空振ることで体勢を崩さないようにする。


今度は椿が突きを繰り出す。それに対してサスケは逸らし、空いた体に武技〈閃弧〉を使って斬りかかる。


セラは逸らされた勢いのまま木刀を回転させ、体とサスケの木刀の間に滑り込ませる。武技の威力を殺さずにあえてそのまま吹き飛ぶ。


サスケは直ぐに追いかけず、構え直す。以前このまま追いかけて負けたことがあるからだ。セラはある程度距離が取れたところで急停止する。


「今度は私から行くわよ。」


セラは宣言と同時に〈縮地〉で距離を詰める。居合斬りの武技〈一閃〉がサスケを襲う。サスケは木刀で受けるが弾かれ、体勢が崩れる。そこに椿の木刀が突きつけられる。


「参りました。」


「最後は受けるよりも下がって回避した方が良かったわ。居合斬りの弱点は間合いの変更がし辛いことにあるから。」


椿は突きつけていた木刀を下ろしながら模擬戦の批評を行う。


「それじゃあもう一回やりましょ。」




ーソーレルの魔術講座ー

「今日は近接戦闘で使われる魔術系統を中心に教えていくつもりじゃ。〈身体強化〉と〈認識加速〉に関しては2人とも使えるはずじゃな。まず、この二つの練度を見たいと思う。」


ソーレルの指示を受けて、サスケとウィルは二つの魔術を発動させる。


「サスケは練度が低いが、2人ともできておるな。む、ウィル。その術式は旧型じゃが、新しい術式を知らんのか。」


「え、ああ。以前教わったこの術式しか知らないな。」


「ふむ。その術式の構成は指定:部位→補強+増幅となっていて魔力消費が低いのが特徴なんじゃが、魔力量の増幅方法が安定した今では消費量が多くとも強化量が高い新型の術式が推奨されているはずなんじゃが…。サスケの復習も兼ねて新型の術式の解説をして、習得してもらうかの。まず、術式構成じゃが、サスケお主が答えよ。」


「えーっと、指定:全体→補佐+増幅です。」


「正解じゃ。旧型は部位のみを強化することで消費魔力量を減らしつつ、効果をある程度出せるようにした物じゃ。新型は全体の強化と補佐術式で行動の効果を最大限に引き出すと言う物じゃ。」


「なるほど、やってみます。」


ソーレルの軽い解説と渡された術式でウィルは〈身体強化〉を発動し直す。


「大体できとるの。とりあえず今日は後三つの魔術を教えていくつもりじゃ。〈認識加速〉、〈魔刃〉、〈魔力放出〉じゃな。最初に解説をして、実践ということで発動し身につけてもらおうと思う。


まずは、〈認識加速〉じゃな。その名の通り認識能力を加速させる物じゃ。この世界での戦闘は基本的に〈身体強化〉で肉体の能力を底上げし戦う。しかし、体の動きを速くしても認識能力が低くては体を上手く動かせん。その解決策がこの〈認識加速〉という魔術じゃ。一定以上戦闘に慣れたものは特段意識することなく〈身体強化〉と〈認識加速〉を発動しておる。


次は、〈魔刃〉じゃな。これは魔術というよりは魔力の扱い方じゃな。〈投影〉や〈転写〉と言われる物体を魔力で再現する魔術があるのじゃが、その下位互換と考えても良い。魔力を武器に纏わせることで強度や切れ味を上げることができるのは知っておるな。この時、魔力はその武器を覆う形になっている。これを武器なしで再現するのが〈魔刃〉じゃ。この応用として〈魔糸〉という技術がある。


最後は〈魔力放出〉じゃな。これも〈魔刃〉同様、魔力の扱い方じゃな。これは言ってしまえばただ魔力を放出するだけじゃ。ただ、その使い方の応用性は非常に高い。例えば放出の際に絞り込めば、人を吹き飛ばすこともできる。」


解説を終えるとソーレルは術式が書かれている紙と棒を出す。


「ウィルはまず〈認識加速〉を使えるようにするのじゃ。それで〈魔刃〉の鍛錬じゃが、この棒を使う。」


「その棒って何か特殊な効果でもあるんですか。」


「いや、ただの棒じゃ。いきなり魔力で刃を作れと言われても無理じゃろうからこの棒に刃を付けるイメージでやってもらおうと思ってな。最終的には刃だけでなく刀身も作れるようになってもらうがの。〈魔力放出〉は〈魔刃〉が作れるようになってからじゃな。」


ソーレルの指導を受けながらウィルは〈認識加速〉、サスケは〈魔刃〉の練習をする。


結果を言うとウィルはできなかったが、サスケは刃を作ることには成功した。集中してようやくと言う程度なので実戦では使えないレベルだはあるが。




ーエマの教養講座ー

この講座教養ということになっているが中身はあまり関係のない、戦略や戦術、経済学など政治色の強い内容になっている。


「今日はウィルのお爺様であるレオギル陛下が〈老龍〉と呼ばれる所以となった戦いについて話しましょう。」


龍王国五代目国王レオギル=ドラグーンは龍族の血を薄くではあるものの引いいているため普通の人族よりは長い寿命を持っている。しかし、三代目に王位が移ってからすぐ生まれたレオギルは百歳近い。これは通常の人族では六十歳ほどである。


「十年前でも十分高齢であったレオギル陛下は大規模進行を始めた魔族を総大将として撃退しました。老齢でも戦場にて指揮をしたことから〈老龍〉と呼ばれています。


当時魔族は魔王が代替わりし、古代文明の転移門を利用することで大陸を越えて各国に襲撃を小規模ながら行っていました。龍王国にもその被害は出ていて国軍はその対応をするため各都市に軍を分けていたのです。そのため、魔族の大規模侵攻に対応できず、王都近郊の都市まで攻められました。そこでようやく軍をまとめ上げ救援として向かうことができるようになったわけです。


ここから龍王国の反撃が始まります。攻められた都市の奪還ではなく、魔族の殲滅を主体とした行動をとることで魔族の本隊は国境まで押し戻されます。その結果、各都市に散っていた魔族が補給を絶たれ、本隊に戻ろうと攻めてくるわけです。それを各個撃破することで魔族の数を減らしたそうです。


ここで魔族に関して軽く説明をしましょう。魔族というのは単体種族を指すのではなく、龍王国より東部から広がるレルレード森林とレルロード山脈を越えた土地に住む種族たちのことを指します。各種族同士の争いの絶えない地域でしたが五十年ほど前にとある魔族によって統一がなされました。これが魔族の王、魔王です。それから二十年ほどは我が国との交易関係にあったのですが、突如世界中の国へと宣戦布告がなされました。そこから魔族との戦争が始まったわけです。」


「前から魔族と戦争状態にあるとは聞いていたがそんなにやってんのか。」


「サスケ、分かっていると思うが三十年間ずっと戦っているという訳ではないぞ。」


「いや、それは分かってるけどさ。一国で世界相手に三十年間持ち堪えるどころか、優勢気味なんだろ。四方が敵だらけで良く持ってるなと思って。」


「サスケの意見は正しいです。実際、他の国では難しいでしょう。魔族が戦えているのは転移門と五魔将のおかげです。」


「転移門は分かるけど五魔将って何。」


「五魔将というのは圧倒的な能力を持つ魔族五人のことですよ。


一人目は紳士の出で立ちをした〈紳士の魔将〉、魔王軍内で参謀的な立場にあると推測される者ですね。


二人目は〈赤霧の魔将〉、この者は暗殺や隠密行動を得意とすると推測されています。その理由として中央大陸のとある国の首都を魔族が襲った時、都市内部に霧が満ちて晴れた時には何人もの貴族が斬殺されてたことが有名ですね。


三人目は〈剛腕の魔将〉です。ある戦場で複数のSランク冒険者や国を代表する猛者と交戦し、互角以上の戦いを繰り広げた圧倒的強者です。」


Sランク冒険者になった者が最低でも一人で都市一つを破壊できる力を持つことからも〈剛腕の魔将〉の異常さが分かるだろう。


「四人目の〈破剣の魔将〉は一人で都市や砦に現れて、一太刀で大半の建造物を壊し去っていくそうです。


最後、五人目は〈憤怒の魔将〉です。戦場で穏やかに降伏勧告を勧めて来て、断るとその後は一切の降伏を認めずに皆殺しにすることから憤怒という異名がついたそうです。勧告時に前に出て来たところを射抜こうとしたのがバレ、その射手がいた一帯を吹き飛ばしたらしいので本人の戦闘力も非常に高いと推測されていますね。


この五人の他に軍団長と呼ばれるSランククラスの強者が八人いて、魔族の侵攻はこの十三人の誰かが率いているため被害が大きくなっていると言われていますね。」


魔族の強者達は今までまともに戦ったものは少ないため、その強さはあまり分かっていない。ただ、戦闘をした一部の者から推定された実力に過ぎない。もし、彼ら全員が本気で力を振るえばどうなるかを口にする者は現在の世界にはいない。


「さて、魔族の話をしたところで本題に戻りましょう。レルレード森林付近まで魔王軍が撤退したところまで話しましたね。ここで一度両軍の戦力を考えて見ましょう。


魔王軍は約五千の本隊と合計して二千ほどの各都市の占領部隊の七千が戦力ですね。この大半はB,Cランクの実力者達です。率いていたのは八人の軍団長の一人である〈破炎〉です。


それに対する龍王国軍は陛下率いる一般兵八千と騎士二千。それに加えて高位冒険者の集団五百。一般兵はランクD、騎士はランクB、冒険者達はランクB以上でSランク冒険者は五人。


正面からぶつかるのであれば龍王国軍がいくらか有利という状況ですね。魔王軍本隊は動かず、龍王国軍は後方から合流しようとする部隊を叩くという形で膠着状態となりました。


しかし、ある日を境に膠着状態が解け、昼夜関係なしにあらゆる方向から魔族の軍が攻めて来たのです。最初、龍王国軍の上層部は大部隊が合流しようとしているか、たまたま合流しようとした部隊が多かったのだろうという判断を下します。龍王国軍としてはここで魔王軍の数を減らして、次の侵攻を無くそうという考えがあったからです。


三日後の夜、魔王軍から全方向同時攻撃を受けました。後で分かったことですが、攻めてくる部隊が増えたのは合流部隊が増えたのではなく、転移門による本隊が移動したものだったのです。


陛下は冒険者達を魔王軍本隊に当て、龍王国軍でそれ以外の方向を防ぐことに決めたのです。これが英断でした。冒険者達は転移門の移動によって人数が減った魔王軍本隊を叩き、そこから各方面を挟撃する形を取ったのです。唯一状況を覆される可能性のあった〈破炎〉は本隊に残っていたため、Sランク冒険者と遭遇し戦闘状態。結果、魔王軍は〈破炎〉含め百人ほどを残し全滅。龍王国も被害は出たものの五千近くは戦闘が可能な状態であったため〈破炎〉は撤退を選択しました。


現在は最も魔王国と国境の近い都市であるアロレス・レーロを城塞都市化し、一般兵五千と騎士二千が常駐しています。冒険者ギルドもSランク冒険者を最低でも三人常駐させているそうです。


陛下の〈老龍〉は同時期に起きた八つの大規模侵攻で唯一国を守りきったためです。残りの七つの大侵攻は他の大陸で行われたのですが首都陥落という結果になり、国としての体制を残せたのは三カ国のみだそうです。老いても国を守りきったことを称えた名が〈老龍〉です。」


「エマ姉、一つ質問があるんだけどいい?」


もちろん、というエマの返答を聞きサスケはこの世界の国際情勢について尋ねた。


「現在人が住んでいることが確認されているのは七大陸中五大陸です。国の数は大小合わせて五十ほどで魔王軍によって二十カ国ほどは首都陥落や滅亡という状態に追い込まれていますね。そのため、魔王軍から国を守った陛下は希望的な意味も含めて支持者も非常に多いです。他に何か質問はありますか。」


エマはサスケとウィルの顔を見て質問の有無を確認する。


「ないようですね。時間も調度良いですし、今日はここまでにしましょう。」


授業の終了を宣言し、エマは部屋を出て行く。


ウィルはサスケに気になったことがあると話しかけた。


「一回目の質問の時、お前は世界相手に戦っていることではなく三十年戦争状態であることに驚いていたな。」


「あー。俺の世界も昔似たような状況だったんだよ。三カ国が同盟を結んで世界相手に戦争して十年持たなかったけどな。」


「む、どうやってそんな短期間で戦争を終わらせられたんだ。」


「俺も詳しい訳じゃないんだけど、当時の大国が連合軍を作って攻めて来たんだよ。」


「ふむ、国交問題よりも共通の敵を倒すことを優先したという訳か。」


「まあ、そんなところだろ。それでお前この後時間あるか。」


「ああ、今日は特に何もないが。」


「ちょっと模擬戦をやって欲しいんだよ。素振りとか形の確認だけだと感覚がつかめないだよな。」


「模擬戦か。俺としてもありがたい話だ。」


二人は模擬戦を行うため地下の修練場へと向かう。


「爺さんが致死レベルの攻撃を受けた場合外に転移する結界を張っているから魔術有りでやるぞ。」


「了解した。」


ウィルは剣だけを持つ。しかし、サスケは刀を手に持ち、腰に剣を差し、背中には槍を背負う。お互いの距離は50メートルほど。


「さてそれでは始めるか。合図は以前と同じ銅貨が落ちたらで良いな。」


サスケの肯定を受けウィルは銅貨を弾く。


最初に仕掛けたのはウィルである。〈火球〉の連射がサスケを襲う。サスケは〈火球〉を避けながら距離を詰めていく。ウィルは〈火球〉では当たらないと判断し、〈雷球〉をサスケの近くで弾けさせることでダメージを与えようとする。


弾けた雷はサスケにあたらず、サスケの魔力障壁で無効化される。サスケはお返しとばかりに〈飛斬〉の斬撃をウィルに当てようとするが、ウィルの〈風刃〉で相殺される。


それを見たサスケは背中の槍を手に取る。すると、槍が薄く虹色に輝きサスケの手から投げ放たれる。武技〈飛燕〉である。ウィルやサスケの魔力障壁は薄いため、槍のような貫通系統の攻撃ならば突破される可能性がある。


ウィルと槍の間に土の壁が出現する。〈土壁〉の魔術によるものである。槍は土壁へ突き刺さり止まる。この間にもサスケは距離を詰めるため、走って来ている。ウィルは魔術による攻撃を諦めたのか、剣を抜き炎を纏わせる。


サスケは壁の手前で止まり、岩の槍と氷の槍を生み出す。〈岩槍〉、〈氷槍〉という魔術である。岩槍を使い土壁を破壊する。ウィルは土壁が破壊されると同時にサスケへと飛びかかるが氷槍が撃ち込まれたため、失敗に終わる。


三メートルほどの距離で対面する形となった。隙を見せれば〈縮地〉で距離を詰められ負けるだろうことが分かっているため、お互いに動けない。


先に動いたのはサスケである。サスケは腰の剣を抜きウィルへと投げる。地球であれば十分脅威であるが、この世界では素人の鉄の剣の投擲など簡単に対処できるものでしかない。ウィルは剣で弾く。


しかし、これは悪手であった。投げられた剣を弾くことは即応できる態勢を崩すこととなる。即応さえされなければ、サスケの〈風の太刀〉はウィルのように同レベルの相手に決定打となりうる。


サスケがウィルの後ろへと移動し、ウィルは結界に致命傷をおったと判断され結界の外へと弾かれる。サスケの勝利である。


補足です。魔王軍と魔族に関してです。

魔族…特定の地域に住む少数種族をまとめて呼ぶときの呼び方。魔物を無条件に従えさせるなどの人類の敵となるような種族ではない。

魔王軍…魔族をまとめた人物を魔王と呼び、魔王を王とする国である魔王国の軍を魔王軍と呼んでいる。魔王軍との戦争はあくまで国家間の戦争である。

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