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幻界星霜 ウィスタリア ー幾度も移り行く転生者ー  作者: 弓削タツミ
ー首都を目指してー
69/138

67.アスクレピオスの治療開始


ーーーーー

ーーー


山賊のアジト攻略から翌日、首都『ファルネリア』へと戻って来たアリシアとシャリア一行は、すぐに仮宿へと向かいました。

砂埃や泥でドロドロ状態のアリシア達は、ディアナの手に寄って入室を許されず、浴室へと押し込まれました。

マックスは別室にて四本腕の偽医師と山賊の頭領こと、ライネルを見張ってます。


「なぁニイちゃん、酒くれよ?なぁ?どうせ俺様ぁ短い命だ、そんくらい聞いてくれても罰は当たらねぇだろ?」


「やめといた方がいいっすよ?残念ながら俺に交渉しても無駄っすから。」


「クソックソックソッ!!!ワタシはワタシはワタシはワタシはぁぁぁ!!!未来永劫語り継がれる高名なぁぁぁぁ!!!!」


「うるさいっすよ?ジジイ、ガタガタ抜かすとその舌から千切ってやるっすよ?」


その後も交渉を続けて見るも、頑として譲らないマックスに何時しか諦めがついた山賊ライネルは不貞腐れた様にスヤスヤモードに移行します。

偽医師もまた、ブツブツと何かを呟き続けますが、マックスは無視し続けました。ーーーが、それはまた別のお話。




そしてアスクレピオス医師によるエルキュール=グラムバルクの治療が開始されました。

そもそも脳死状態や植物人間状態と言う物は通常、医療によって回復すると言うのはとても難しい事です。脳を移植したとして、それは本人で有るとは言えないでしょう。

では、本人のまま意識を取り戻す方法としては、脳に微電流で刺激を与え続け、緩急をつける事によって刺激の与え方を変えたりと言った方法などが近代医学的には手段と言えるのかも知れません。

しかしそれもまた現代の科学技術でこそ出来る事なのでしょう。しかしこのファルネリアは残念ながら、地球で言う所の中世代を少し過ぎた程の技術力です。

CTや放射線治療機、またレントゲンやAED等の聞き覚えのある様な高度な医療機器は存在しません。

ですので電気的な刺激を、しかも外部から微調整を繰り返しながら超長期間行う技術等、この国には存在する筈が無いのです。

では、アスクレピオス医師がどう対処したかと言いますと…まず、エルキュールの服を脱がせ、身体の異常が無いかを診断します。次に現在の体調や体内に残留する薬物濃度を血液検査で確認し、これから行う医療行為による負担が掛からない事を確信し、




巨大な十字架を開き、中にエルキュールを詰め込みました。




すると、内部で蠢く機械の束がエルキュールの身体を飲み込みました。

ウネウネヌタヌタとうねり、ヌメるコードの束はまるで触手の様で、とてもとても卑猥な光景に見えます。

アリシアはその光景に卒倒しました。シャリアは何やらジュルリと生唾を飲み込みました。シャルロットは両目をシャリアに抑えられてます。きっと姉としての最小限に残った理性なのかも知れませんね?

ディアナはその光景から視線を逸らしてます。体験者でしょうか?

久しぶりに顔を出したシェリーおばさんは、最近の医療は過激なのねぇと他人事の様子です。

アスクレピオス医師は…



「これで長期間に渡り、脳細胞の修復と電気的刺激を与え続けて経過を見る。暫く私はこの一団に身を置く事とするよ。…シャリアさんはそれで構わないかな?」

ーーーと、商隊の主人に告げると、その主人は


「構わないわよん?その代わりその十字架についてちょっと教えて頂戴?」

アッサリ許可を出してしまいました。


「答えられる範囲なら。ーーーと言う事で、ディアナ、私は「分かってます。」


アスクレピオスの言葉を遮り、ディアナはその続きを紡ぎます。


「先生程の医師は今後現れないでしょう。…ですが、先生の医療を求める患者様は世界中に存在します。………私の診療所も、十分過ぎる程に進歩をさせて戴きました。………ですので」


ディアナがアスクレピオスの手を取ると、まるで恋焦がれる少女の様に頰を赤く染めて言いました。


「何時かまた、お会いする事が出来たなら…その時はまた手解きをお願いしますね?」


「うん、君は私の誇りだ。………では、何れまた会える日を。」


二十代女性同士の美しき師弟愛は、その場の誰からも言葉を奪い去りました。



「はっ!?えっ!?アスクレピオス先生来るの!?って言うかあの診療所ってアスクレピオス先生のじゃなかったの!?」


言葉を奪い去れませんでした。赤い子がガバッと起き上がると、空気をぶった切って質問責めです。


「アリシアちゃん?………そういうところだよ?」


シャルロットの鋭いツッコミがアリシアの心を穿ちました。



ーーー

ーーーーー



ディアナは診療所へと帰り、アスクレピオスは旅支度を整えて戻り、仮宿内の荷物も殆ど運び出して一日が経ちました。

そうして、旅の準備が始まると、何やら仮宿の玄関先からザワザワと喧騒が立ちました。


「シャリア商会の者達に告ぐ!!貴公等には逮捕状が出ている!!大人しく投降せよ!!不服や抵抗が有るならば、即拘留する!!!」



ーーーーどうやら街の警察機関による物の様でした。

しかし一体何故逮捕状等が出てるのでしょうか?捜査すら飛ばしての逮捕状等と、横暴以外の何物でも有りません。アリシアには何一つ意味が分からないのですが、シャリアは舌打ちをして呟きます。


「チッ、時間を掛け過ぎたわね。…隠れ宿が簡単に割れるとなると………売られたか。」


どう言う事なのでしょうか?シャリアさんは本当に悪い事を?

そう思うアリシアの前にセシルの姿が現れました。


魔王シャリアよ、路は既に開かれている。…俺が先達となり、切り拓こう。」


ーーーどうやら床を抜いて現れた様でした。恐らく地下を通ってここに来たと思われます。

その黒き星蝕者の言葉から、アリシアは顔を逸らしましたが、シャリアはセシルの顔を睨んで言いました。


「どうしてこうなったか理解わかってる?」

「俺が始末し損ねたからだ」

その言葉に、シャリアは睨んだまま溜め息を吐くと、すぐにマックスに指先で指示を出し、言いました。

理解わかってるならよろしい。さあ皆、引き上げるわよ!」


そう言うと、シャリアはある程度の荷物を何やら詰め込み地下へと飛び降りました。続いてセシルも先導の為、飛び降りました。

アスクレピオスもまた、エルキュールが入った十字架を担いで飛び降ります。地味に怪力です、この人。

シェリーも飛び降り後に続きます。シャルロットもまた、シェリーにおぶさり逃避完了の様です。

アリシアは………


「ヒィッヒィィッ!!ワタシはワタシはワタシは!!!助かったのだぁぁぁ!!!おぉぉぉおおい!!ワタシを助けてくれえええ!!!」


何やら羽虫の騒めきの様な聞き苦しい声をあげて飛び出して行く偽医師を見送りました。ーーーというか、間に合いませんでした。………すると、次の瞬間…


ガガガガガガっと、大量の銃火器による発砲音が鳴り響き、偽医師は絶命した様に思われます。

いやこれ拘留とかする気全く無いじゃないですか。

恐らく、『拘留しようとしたが、凶暴な暴徒と化した商会のメンバーが凶器を用いて抵抗した為、正義を持って実力を行使し、根絶した』…とかそんな所でしょうか?

あり得ません、頭がおかしい程に身勝手過ぎます。横暴です。

一切意見を聞く気が無い、寧ろ始末しようとしてる事が余りにもアリシアにとっては現実離れし過ぎてて頭がクラクラして来ました。

そんなアリシアの横で、山賊ことライネルと護衛のマックスが言葉を交わします。


「アンタはどうするっすか?」


「はっ、あんな話を聞かない連中の前に出たら俺様とて蜂の巣だろ?丸っきり山賊だしな。………ってな訳で、俺様もアンタらと逃げさせて貰うぜ?」


「勝手にすりゃいいっすけど、………ウチの連中に手ェ出したら殺すからな?。覚えとけよ?」


「おいおいニイちゃん、その怒りは外の連中にぶつけてくれや。………ってお嬢ちゃんまだ居たのかよ?ほら、サッサと逃げんぞ?」


マックスによって手足が自由になったライネルに頭をボスボス踏まれて、アリシアは地下へと落とされました。


「えっ!?ちょっ!?きゃっ!!押すなぁぁぁ!!!」


その後、マックスとライネルが地下へと降り、床を元に戻した暫く後、誰も居ない仮宿に突入して来た警察機関は、もぬけの殻となった宿から地下への道を見つけるのは暫く後の事でした。

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