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幻界星霜 ウィスタリア ー幾度も移り行く転生者ー  作者: 弓削タツミ
ー首都を目指してー
49/138

47.旅立ちの前日

ーーーーーーー

ーーーーー



シャリアさんと別れてから早いこと一週間が経ちました。

朝が遅くなった気がします。エルキュール=グラムバルクです。



今日もゆったりと目を開くと、まぁ何時もの事ですが、やはり私の布団が膨らんでます。

そして肌に直接毛布と人肌が触れる感触から…まぁ脱がされてますね。

まぁなんて言いますか…ふふ、慣れて来てる自分が悲しいです。まぁ三段活用です。

さぁて、今日はどの様な処刑を行なってやりましょうか…と、布団を開いてみると


………白いふわふわの毛が見えました。


一瞬、「アリシアの勇者モード?」…と思いましたが、はす向かいのベッドを見てみると、膨らんだ布団から茶色い毛が生えてます。

ーーーと言う事は。


「うにゅぅ…おねえちゃん…」


シャルロットちゃんでした。

…シャルロットちゃんの場合、どう対処するかを一切考えてませんでした。

うーん…シャリアさん達と別れてから少し経ちますし、淋しくなって来たのかもですから、強く当たるのも可哀想ですよね?

しかも私にしっかりとしがみ付いて胸元に擦り付いてます。

アリシアとはまた違ったかわいさ………いえ、ジャンルは同じですね、これ。小動物系です。

アリシアなら遠慮なく制裁を加えますが、私はシャルロットちゃんには随分と甘い気がします。


「………おかあさん……むにゃぁ」


おかあさん!?…以前も言ってましたけど、そんなに似てるのでしょうか?

………それともシャルロットちゃんの理想的なお母様像が私だとするなら少し嬉しくもあり、なんだかとても愛おしく感じ始めて来ました。

…ですので、シャルロットちゃんの顔をぎゅっと抱き締めてみる事にしました。

ふへへへ…髪も撫でてみますが、サラサラでふわふわで可愛いです。

シャルロットちゃんが涎を垂らしながら私の胸に擦り付いてますが、構いません。子供可愛いです。体温高くて気持ち良いです。しかもほっぺも体もプニプニで柔らかいです。

成長期の子供って本当にかわいくて美味しそうで………おっと、失礼。

成長し切って私より大きくなって、逆に包まれるとか、そう言うシチュエーションって良くないですか?

つまりシャルロットちゃんって実は私の好みドストライクなのでは無いでしょうか?

うへへへ…これは是非とも私好みに美味しく育てて…」「久し振りにそれやってると思ったら浮気?」


思わず声に出てたみたいです。

しかもはす向かいで怪訝な視線を向けてる赤茶色の可愛い仔猫さんがいらっしゃいます。


「こんの浮気肉!!」


そのまま私は顔面を紅い剣の腹で叩かれました。




ーーーーーーー

ーーーーー



ーーー正午になり、それぞれの旅支度を含めて買い出しに行く事となりました。

因みに私のアルバイトは昨日まででおしまいです。凄く惜しまれた事はとても嬉しいのですが、私にもやるべき事が有りますから。

…私は買い出しに、シャルロットちゃんとアリシアを引き連れて来ましたが、アリシアは未だにぷりぷりと怒ってる様子でした。

私が暴走したのが原因ですので仕方ないですし、アリシアの言う事を何でも聞こうと思います。


「アリシア…?」

「何?エロ肉。」

「むぐぐっ…なっ、何か欲しい物はある…?」

「機嫌取り?いいよ別に…」

…取り付く島もありません。…とほほ

「けんかしないで?アリシアちゃん、エルおねえちゃん…シャルがわるいことをしたから…」

「むぎぃ…っ、…シャルちゃんが言うなら…」

「ごめんね?シャルロットちゃん、お姉ちゃんが悪いのよ。アリシアの気持ちを傷付けちゃったから…」

「むぐぅ………わたしが悪者みたい…」

やっちゃいました。折角下がった溜飲を再び上げてしまったみたいです。

………では、こういう手は卑怯ですが……

「あっ!アリシア!そう言えばそろそろお昼だし、美味しいご飯を食べていきましょう?」

「突然何さ?………いいけど」

「シャルもお腹すいた…」

……よし!食い付いてくれたならここからが勝負です!



ーーーーー私達は、近場の食事処へと足を運びました。

「さぁアリシア、シャルロットちゃん、何でも好きな物を頼んで?私がごちそうするわよ!」

ーーーと、私はお財布を握って言いました。ふふふ、アルバイトのお陰で少しはお財布が膨らんでますから。

「まーた無理言って…。………でもありがと」

「ありがとーおねえちゃん!」

二人の小動物のお礼に、思わずきゅんきゅん来るのは私がそう言った趣味だからなのでしょうか?なのでしょうね。

ーーー二人は遠慮なく注文してくれました。とほほ



「所でエルキュール、明日には旅立つけど、ドワーフの工房には挨拶してかないの?」

アリシアの問い掛けに首を傾げました。あなた、あの人達に良い思いを持って無かったのでは?ーーー主に私のせいで。

「ん、そうね…この後ちょっとだけ顔出して来ようかしら?」

「分かった、じゃあシャルちゃんと一緒に買い出ししとくから、行って来なよ?」

「…エルおねえちゃん、どこかに行っちゃうの…?」

「お世話になった人達に挨拶しに行くんだよ?シャルちゃんはわたしと一緒にお買い物に行こうね?」

「あの臭いところ?」

地味にシャルロットちゃんの評価が酷いですが、その通りです。




ーーー私は、二人に甘い物をご馳走した後、一人離れてドワーフの工房へと訪れました。

…工房内はやはりと言いますか、忙しそうです。お客様も数多くいらっしゃいますし、私に構う余裕は余り無いのでしょう。

………しかし、何時もの様に挨拶をすると、無愛想ながらも丁寧に返事をしてくれました。

こうして来て見ますと、ゴルドーおじさまやアメスさん、ズィールさんやジーリさん、そしてゴラムさん達が代わる代わる店員さんを交代してたのだと知りました。

やはり私は自分の事で精一杯だったみたいです。


……暫くここへは訪れないのであればと、店内を見て回りますが、やはりおじさま達の製品は素人の私が見てもとても美しいと思いました。

そうして店内を物色してると、おじさまが声を掛けてくれました。


「おう、嬢ちゃん。悪ぃな忙しくってよぉ。」

「いえ、とんでもないです。お忙しいのにすみません!」

「まぁそりゃ良いんだが…ここに来たっつー事ぁ、そろそろ行くのか?」

「はい…明日には旅立ちます。」

「………そっかぁ、もう嬢ちゃんで遊べなくなっちまうのか。ジーリの野郎も寂しがりやがんなぁ」

ジーリさん…若いドワーフさんですね?人間と似た体躯で線の細いマッシュルームカットの職人さんです。…どちらかと言うと美容師さんをやってそうな佇まいなのですよね、あの方は。

………しかし何故彼が出て来るのでしょうか?

「まぁなんだ、明日は見送りに行くからよぉ、嬢ちゃん達も身体ぁ壊すんじゃねぇぞ?」

………ゴルドーおじさまからの温かい言葉に思わずウルっと来ました。年でしょうか?…と、そこへどなたかがやって来ました。


師匠センセイ、交替だよ。…余計なこと言わないでくれる?」

噂をすれば若いドワーフのジーリさんがやって来ました。

ジーリさんが私に耳打ちをして来ました。

「ねぇエルキュールさん?明日良かったらウチの話を聞いてくれる?朝一で行くから。」

………?

よく分かりませんが、とりあえず私は頷きました。

「じゃあ明日の朝ね?あ、鎧着てくれてありがとう。お陰で良いデータが取れたわ。」

………あはは、余り思い出したく無いのですが、とりあえずお力になれた様で良かったです。


ーーー私はゴルドーさん方に挨拶をして、アリシア達の元に帰りました。




「あれ?エルキュール?どうして分かったの?」

「私はアリシア限定で居場所が分かるからよ。」

ちょっと見栄を張りましたが、何時もの様に聞き込みをして探しただけです。

今回はシャルロットちゃんも居るので探すのは簡単でした。

「エルおねえちゃん…シャルは?シャルは?」

「ふふふ、きっとすぐにシャルロットちゃんの居場所も分かる様になるわ?だからもっともっとお姉ちゃん達と仲良くしましょう?」

「うん!シャルなかよくする!」

素直な子はかわいいです。

「所でエルキュール…挨拶はもう良いの?」

「えぇ、大丈夫よ。明日、若いドワーフさんが話に来るらしいけど。」

その言葉にアリシアは猫耳をピョコンと立てました。

ーーーですからあなた人間ヒューマンですよね?


「………まーたエルに悪い虫が………わたしのエルなのに…」

いやいや、話が有るってだけで悪い虫とか………いえ、アリシアの場合、私に話し掛けてくる人全てが悪い虫なのかも知れませんが。

「アリシアちゃん…?」

「うぐむぅ…ほら!行くよ二人共!」




こうしてアリシアに先導されて、私達は買い出しを済ませました。

そして宿泊所にて、最後の夜の過ごしたのでした。

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