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幻界星霜 ウィスタリア ー幾度も移り行く転生者ー  作者: 弓削タツミ
ー エルキュールの初仕事 ー
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29.鉱山の町並み


「ーーー号外!号外だよー!!」



やけに賑やかな少女?か少年?かの声が鉱山の町に響き渡るお昼前、両手に華を添えて優雅に町並みを散策する私はエルキュール=グラムバルクです。

…まぁ、一輪は前方をとぼとぼといった調子で歩いてるのですが。


ーーー所で私は旅をしています。

ですので、世界の情勢を知ることはとても大切な事だと…思い!ます!!

なので号外の新聞を買っちゃいました。

この世界の通過は上からG (ゴールド)、S (シルバー)、C (カッパー)と、三種類存在します。一般的に出回ってるのはSかCです。Gともなれば富裕層や高名な冒険者の方々が支払う様なお金です。

まぁお釣りの殆どがSかCで帰って来るのですが。

ーーーと言う訳で、私はこの新聞売りの子供にSで支払いました。お釣りはチップとしてお断りしましたが。


読みながら歩くのは危険なので、私は前方を歩く一輪の華、アリシア=バーネットに声を掛けて近場の喫茶店にお誘いしました。

因みにもう一輪の華であるシャルロットちゃんはと言うと、少しは打ち解けてくれたのか、ソワソワしながらですが私の手を振ってくれてます。

シャルロットちゃんは私がお世話になってる………なってる?商隊のご主人であるシャリアさんと言う、とてもとても豪快なお姉さんの妹さんです。

とても人見知りで気弱な恥ずかしがり屋さんです。いつも壷の中で生活してます。

…流石にそれは色々と健康にも足腰にも悪いので、今回私は彼女をお誘いして、買い物に出掛けたと言う訳です。

勿論アリシアとのデートもしたかったので、両方とも誘っちゃいました!!

シャルロットちゃんはちょっと嫌そうにしてましたが、珍しい事に、お誘いに乗ってくれました。

アリシアも珍しく、何故か乗り気では無かったのですが、それでも仕方なくといった感じで着いて来てくれてます。



………なんか二人共ギクシャクしてるのですよね?



やはり私が死闘を繰り広げている (ただ震えて見てただけ)間に何かがあったに違いありません!!

この歳の女の子は色々と複雑なのです。前世では男らしい男だった私ですが、現在は花も恥じらう乙女の私が言うので間違いありません!のです!!

………ですのでここは私が人生経験的に大人として、キッチリガッチリ二人の仲を取り持つ必要があるのだと思います!」


「何大人ぶってるのさ?町中でそれはやめなってば。」

「どんびき…」


あらー…?何故か二人共距離を置いてますよ?


「………コホン、それはそうと………えぇーっと、氷の大陸で過去からの襲撃者?…遥か過去に観測された魔王、過去より飛来した伝説の勇者に討たれる………ですか。」


ほげー…色んな勇者が居る物ですね。


「それから、聖王国家『サンクト=ヘルメシュタイン』、竜の帝国の勇者により、前線を押し返される………。」

「あぁ、あの国は戦争中だからね。」

「戦争?」

「知らなかったんだ…いつこの国に飛び火してもおかしくないのに。」



知りませんでした。私はつくづく情弱だったようですね。



しかしまぁ戦争ですか。

やはりどの様な世界でも人間同士、または多種族間だろうと知性を持つ生き物には避けては通れない道なのでしょうか?


戦争を行うにも様々な理由が在ります。

例えばお互いの理念、価値観、宗教などが絡んでいたり、はたまた憎しみやら怒りやらの精神的な物が発端だったり。

領土侵攻や食糧、財産、または資源の奪い合いだとか。それ以外にも単に経済を潤す為だとか、科学の発展だとか、本当に色々と理由があるみたいです。

普通の人には戦う理由にならない様な事も、偉い方には戦争を行う理由に挿げ替えちゃったり、そもそも自分達が何の為に戦争を行ってるのかすら分かってない…と言った様な事も多々あります。

私は戦争とは縁遠い時代の国に生きてましたからね、やはり新聞で読んでも自分自身には何処か遠い世界の話に感じてしまいます。




「空の皇国の皇太子、御結婚………ですか。」

「あぁそれ、一月前の情報らしいよ?うちは田舎だから情報が遅いよね。」


なんと!?


「………おねえちゃん、じょーほーつーだから」


成る程、シャルロットちゃんはシャリアさんから聞いてたのでしょう。妹さんには甘々ですね、シャリアさん。

………しかし何故アリシアがそんな事を知っていたのかは聞かない方がいいのでしょうか?

そんなアリシアは何処か物憂げな表情でホットコーヒーを飲んでます。………はぁ、アリシアはどんな表情でも可愛いですね。

シャルロットちゃんはイチゴ・オレ。私は勿論、温かい紅茶を戴いてます。今回はカモミールティーです。


「ほら、飲んだら行くよ?服を買ったらシャリアさんに呼ばれてるんでしょ?」

「あ、えぇ…シャルロットちゃんは大丈夫?」

「………がんばる」


人見知りの子がキャラバンから遠い場所まで本当に頑張ります。昔の私を見ているみたいでとてもとても微笑ま…………んん?

………はっはーん?読めましたよ?どうせアリシアが昔の私に似てるシャルロットちゃんに色々と重ねて失礼な事をしたに違いありません。

全くアリシアってばツンツン猫さんなんですから。帰ったら思いっきり甘やかしてやりましょう!

そしてオ・ト・ナ!な私は勿論シャルロットちゃんへのフォローも忘れません!

昨日もたっぷりふぁいあぼるとを頂きましたし、どんな仕打ちも甘んじて受けて見せましょう!!

さあシャルロットちゃん!!私に幾らでもふぁいぼ (略)を浴びせてください!!」


「恥ずかしいから帰っていい?」

「やっぱりこわい…」




あっるぇー!?あっるぇー!?




ーーーーー

ーーーーーーー



ーーー私達は無事に洋服店に辿り着きました。

どうやらここは人間大の妖精フェアリーさんがショップ店員さんらしいです。物凄いギャル系ファッションです。ギャップが酷いです。

着くなりに店員さんに凄く笑われました。もうゲラゲラ笑われました。

…なにせ今の私はダボダボのおばさまのお洋服に身を包んでますから………アハハ。


アリシアは………居ません。

シャルロットちゃんは………店員さんに怯えて入って来ません。

…えぇ〜…私一人ですか?


むぐぐ…私も人慣れをしてる方じゃ無いんですよ?せめてアリシア位は私を助けてくれても良いのでは無いですか?



ーーーもう全部店員さんにお任せでお願いしても良いですか?



ーーーーー

ーーーーーーー





「ない!全ッッッ然ない!!」





店員さんの仕立てを見て貰おうと、外で待機中のアリシアを呼んで貰った所、とても厳しいお言葉を賜りました。

下は黒のハイソックスにブーツ、紺のタイトスカートは短めで、上には白いもこもこニットに灰緑色のモッズコート。黒のバッグと顔はギャル系メイク。長い髪は纏めて細かく編んで上げてます。ちょっとおだんご風です。現代日本風です。もうツッコミません。


こう見えても百六十五センチ (現代日本換算)程有る高身長の私ですが、結構攻めてて恥ずかしいのですが、それでも中々可愛いと思うのですが?


「わたしのエルが汚されてる!!エルはもっと清純なイメージなんだよ!!」


えぇー…

それなら最初から一緒に来てくださいよ。


「わたしのコーデを見せてあげる!」

「そっ…そんなに似合わないかしら…?」

「わたしのかわいいエルは綺麗系よりかわいい系だから!!」


いやいや、凡そ百四十六センチ (私の見立て)程の小さなアナタの方が可愛い系は似合ってますよ?

しかしまぁアリシアがやっと私の事を見てくれたので、お任せしちゃう事にしました。

それとわたしのかわいいエルって、嬉し過ぎてドキドキしちゃいます。もうアリシア結婚しましょうよ?ね?



ーーーーーーー

ーーーーー






「ーーーどう?」






はい、なんと私は真っ青です。………いえ、顔色的な意味ではなくて。

下から黒のブーツは変わりませんが、白のサイハイソックス。青に緑を落とした様なチェックのスカート。白のニットに青いファーカーディガン。濃紺のショートマフラーを着けてます。バッグは削り取られました。冒険者向きじゃないので。

髪は三つ編みで纏めてます。

因みにメイクはチークを薄ーく、リップも自然体に近いかなりナチュラルな仕上がりです。


「エルと言ったらコレだよね…?」


そして最後に髪に緑色のバレッタを着けて貰いました。リボン付きのです。


「お客さんけっこーアレ系のやつ?マジやべーやつじゃん。でもいんじゃね?」


ツッコミません…ツッコミませんよ…


「アリシア………似合うかしら?」


「………わたしは好きだけど?」


私も好きですよ?あなたを。…………では無くて


「ふふっありがとう、アリシア」


………こうして私はアリシア指導の下、青緑のコーデを身に纏ったのでした。

うーん、でも旅向けでは無いですよね?結構お高めでしたし。



ーーーーー

ーーーーーーー



アリシアとシャルロットちゃんには二人のコーデを丁重にお断りされましたが、気を取り直して私達三人はお昼ご飯を終えて、シャリアさんと約束したドワーフのおじさまの工房へと向かいました。

何時もの服では無く、まるで首から二の腕と太腿までを覆う全身タイツの様な、なんとか人の戦闘服の様な服を纏った姿のシャリアさんは、どうやら待っててくれたみたいなので早速お声を掛けさせて頂きました。


「ごめんなさいシャリアさん、遅れました!」

「あらー、可愛くなったじゃない、あたしのエルちゃん!あたしも今来た所よん………っと、あら?アリシアちゃんに…シャルロットも来たんだ?恥ずかしがりのアンタが、よく出て来れたわねー?」


…と言うとシャリアさんはシャルロットちゃんを抱きしめて頬擦り………からちゅっちゅとほっぺにキスをしてました。


「ふへへー、姉ちゃんは妹の成長が嬉しいわよー?んー!ちゅっちゅっ」


シャルロットちゃんは恥ずかしそうに、しかし居心地が悪そうにしてましたが、素直に受け入れてました。

姉妹愛でしょうか?とても良い物です。………と、私はアリシアをチラリと覗き見ましたが


「………要件はなんですか?」


アリシアには冷たくあしらわれました。

先程のデレは一体何だったのでしょうか?


「あぁ、そうそう!エルちゃん!朗報よ!」


はい?



「オジサマにあたし達の装備の仕立てを頼めたのよ!!」



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