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幻界星霜 ウィスタリア ー幾度も移り行く転生者ー  作者: 弓削タツミ
ー勇者と一般人の旅立ちー
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25.オルゴイコルコイ

ーーーーーーー

ーーーーー



「死なないでねん?」



シャリアさんの言葉はまるで悪魔の囁きの様で、坑道全体を揺るがす様な、落盤の心配すらしそうな程の坑道内の揺れに私は内心も外面も酷く脅えてしまいました。

地面が裂けて隆起したかと思うと、先程まで見てきた一メートル程のロックワームとは打って変わって巨大なサイズのロックワームが現れました。

五メートル程でしょうか?オルゴイコルコイやグラボイドを連想させます。ですのでここは便宜的にグラボイドと呼びましょう。

正直、前世では問題無かった虫ですが、少女として生まれ変わった今の私には卒倒しそうな光景です。


「うっひゃぁー!デッカいわねぇマックスぅ?アンタのよりデカいんじゃなぁい?」

「姉御、ふざけてないで迎撃するっすよ!!」

「わーかってるわよぅ。くひひひ、久し振りにアレを使えるのね!クヒャヒャハハハアヒャハハハ!!」


マックスさんが背中のアレを盾に右手に構えたショートソードを上段に振り翳し、そして稲妻の様に豪快に斬り掛かりました。…と、同時に奇声の様な笑い声を上げるシャリアさんがピッケルを二本ともグラボイドへと向けて投げ付けました。

さよなら、クライマーの相棒。


「!!!!!!!!、!?、!、。?!!。。!?」


ぶにょんと可愛くピッケルが弾かれましたが、マックスさんの気迫を込めた一撃はグラボイドの表皮を傷付けました。

するとグラボイドは声にならない様な不快な声で周囲を振動させました。鼓膜が破れそうです。


「ーーーー!!!……可愛くないわねー?………さぁて、あたしのオモチャ。魅せてあげるわん!」


シャリアさんが腰布の裏から取り出したのはなんと……………嘘ですよね!?




………ライフルでした。ボルトアクション式のウィンチェスターM70?とか言うのでしたか?





ーーー待って下さい。この世界の時代設計はどうなってるんですか?私いらなくないですか?坑道でそんな物を撃つつもりですか?って言うか何処にしまってたんですか?え?撃てるんですか?私いらなくないですか?あ、撃ちました。跳弾とか怖くないですか?私いらなくないですか?ちょっとツッコミが追いつかないのですが…。

一応弓を構えた物の思わず口を開けてポカーンとしてしまった私は、一部始終を眺めてました。


「オイオイあの嬢ちゃん無茶苦茶しやがる…跳弾もだが、反響音もヤベェし、こりゃ他の魔獣共も集まっちまうぞ?」


はい、おじさまも何をおっしゃってるんですか?

もしかして着いて行けてないのは私だけですか?






ーーーーーー魔法と科学の入り混じった幻想的な世界でーーーーーーー (キリッ)






いえ、言いましたよ?言いましたけども!

え?近代武器も有りなんですか?いえ、良いんですけど!

必死に弓の練習をして、外の世界に夢を見てた私は確かに世間知らずですよ?ですが!!


ターン!カシャっ…ジャコッ!………ターン!カシャっ…ジャコッ!………ターン!



あああああああああああっ!!!!!!良いんですよ!?全体的に戦力が高い事はとても喜ばしい事なので!!


ですが、正直言って前世の私すら使った事が無い近代武器をいとも簡単に使用されては、弓なんて原始的な物を使用してる私が本当に意味が無いのでは?…と思うのですが。

慣れた手付きでライフルを撃ち続けるシャリアさんはまるで戦場の………戦場の…………。すみません、形容する言葉が思い付きません。考えたくありません。悪魔とかそんなのでいいです。


「姉御!上っす!」

「あいよ!」


頭上に酸性の液体を吐いたグラボイドにマックスさんがいち早く判断し、短く注意を促すとシャリアさんはひょいとその場を離れ、遠距離狙撃のポイントを変えてまたしても的確に撃ち始めました。シャリアさんが元居た場所からは不快な臭いと共に身体に悪そうな煙が立ち上り、溶けてました。

因みにマックスさんはシャリアさんの射線を完全に読み切り邪魔をしない様にグラボイドを引き付けてます。

私いらなくないですか?


「ちょっとちょっとエルキュールちゃぁん?援護援護!ほら早く!楽しいお遊戯が終わっちゃうわよ!」

「え?アッハイ」


私はシャリアさんの指示に従い安全に大きなオーク素材の弓を構えて矢を射りました。

汚い悲鳴をあげるグラボイドに確かな手応えを感じましたが、………未だ心の中のモヤモヤ感は拭いきれません。

これ私いらなくないですか?


「あっはははははヒャハハハヒヒヒヒ!!!良いわよぉエルキュールちゃん!もっと殺戮を楽しみましょう!!」


シャリアさんの狂気に満ちた獰猛過ぎる笑顔を見ると、やっと気付きました。

これ私にこの弓に慣れさせようとしてるのと、少しでも長く楽しむ為に敢えて急所を外してる (その分マックスさんが苦労しますが)のと、そして何より………




私 を そ ち ら 側 へ 引 き ず り 込 も う と し て ま す ね ?





「ねぇねぇエルキュールちゃん、楽しい?」

「いえ、グラボイドさんが可哀想だなぁと…」

「グラボイド?もう!素直じゃないわねぇ。ほらほらエルキュールちゃん!もっとテンション上げて上げて!ながぁ〜く楽しみましょうよぉ。」

「マックスさんも可哀想なのですが!?」


何やらシャリアさんが腰にライフルをしまうと、今度は二丁の拳銃を取り出しました。

ペッパーボックス式拳銃でしたか?回転式銃創 (薬室?)と銃身が一体化したアレです。渋いですね。お金持ちですか?

この人六連装なのを良い事に、超近距離でガンガン撃ちまくってますよ?ビチャビチャと体液塗れになってます。

グラボイドさんが本当に可哀想です。


しかしグラボイドもただではやられません。その大きな身体を振るってハンマーのように私やシャリアさんに体当たりを仕掛けて来ました…………が


「させないっすよ」


マックスさんが受け止めてました。

…………いえ、何処から取り出したか巨大なペンチの様な物でグラボイドの身体を挟み込んでました。ショートソードは手放したのか見当たりません。

巨大ペンチの持ち手部分は鋼製のナックルガードで守られてます。


「お別れっす。」


マックスさんがそのペンチで捻じると、グラボイドの身体が横半分程捻じ切られて絶命しました。





…なんだこれ。

あ、これさっきの盾の中身ですか?





ーーーーー

ーーーーーーー



……目の前の惨状を直視出来ない私はエルキュール=グラボイド………では無く、グラムバルクです。

オルゴイコルコイ(暫定)の悲惨な最期を目の当たりにした私は改めてシャリアさんに新たな認識が生まれました。




この人頭おかしい




世界観ぶち壊しの様な………やっと科学の発達振りの一部をお伝え出来た様な………この人頭おかしい

………そしてこの頭がおかしいシャリアさんに気に入られてる私は一体何なのでしょうか?

マックスさんはマックスさんでおかしいです。自分より遥かに巨大な相手をペンチ一つで捻じ切りました。

とんだ怪力です。

それで、…私いらなくないですか?



「嬢ちゃん達、頭おかしいんじゃねえか?」


あ、それ私も思います。

「いやねぇオジサマ!こんなのちょっとしたお遊びよん。青空が見える広場ならもっと面白い物も出せたんだけどぉ。」

はい、見たくありません。

「まさかこのキングワームが嬢ちゃん達みたいなヒョロっちいのにやられるとはなぁ…。しかも捻じ切っちまった…」

巨大なロックワーム(キングワームだそうです)の死骸をポンポン叩きながら言うドワーフのおじさまでしたが。

「姉御が捻じ切り易くしてくれたからっす。俺一人じゃこう上手くはいかねぇっすから。」

…と、ペンチを盾にしまいショートソードを回収するマックスさんでした。


「ほぉ〜、キチンと考えてんだな?やるじゃねえか姉ちゃん!」

シャリアさんの評価が嬢ちゃんから姉ちゃんにランクアップした様です。

まぁねぇ〜と得意げなシャリアさんを無視して、おじさまは私に振り返りました。

「で、お前さんは何をしに来たんだ?」

ですから、私いらなくないですか?




………それから少しして、ドワーフのおじさまが素材を回収し終え、ついでにオルゴイコルコイ (グラボイド)正式名称はキングワームの死骸から使えそうな牙やら触手や吻などを回収していると、周囲を凍り付かせる様な悍ましい圧力プレッシャーがこの広場内を包み込みました。

シャリアさんとマックスさんは即座に武器を構えました。

私は何も分からずオロオロと狼狽えてましたが、おじさまは大槌を両手で構えて冷や汗を流してました。


「ヤバイのがお出ましっすね。」

「あらあらぁ?………マジでやっべーのかしらん?」

口調はふざけてますが、シャリアさんの真剣な表情からしてふざけて居られない状況なのは読み取れました。

「おいおいおいおい!!!なんなんだよこのマジカ量は!!」

まじか?

「何?そんなに魔力量やっべーのかしらぁ?」

「オメェさん方人間にゃ見えねえだろうが、こんなのは普通じゃあねえ!まるで魔将軍でも来たのかってえ位だ!!」

あ、魔力ですか、マジか。

「逃げるって選択肢は…」

「ねぇな、兄ちゃん達も腹ぁ括んな。」

マジか。


「嫌よ!こんな広場になんて居られないわ!!あたしは来た奴からブッ殺すわん。」

再びライフルを片手に残忍な笑顔を見せてます。



「ほぉ?私を殺す………ですか?」




キングワームの影から空間を裂く様に現れたのは虫が人間と融合した様な紳士でした。

そして私達は集まって来た魔物達に完全に囲まれてしまいました。



ーーーーー

ーーーーーーー

シャリアさん頭おかしい(褒め言葉)

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