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明日が来なくてもいいよ  作者: limp-fiction
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4. オレンジのなる木

「ああ、そんな。私の妻が......私の家が......」


「ちょっとちょっと、落ち着いて」


 聞き覚えのある甲高い声。急に現実に引き戻される。

 そうだ、俺はアンディ・トレランス。

 マンションの火災で妻と子供をいっぺんに失った不幸な男、陳明龍ではないのだ。


「記憶と現実が混乱しているんだ。よくあることだよ」


 気がつくと、俺は涙を流していた。あの炎の熱、むせ返るような濃い煙、そして底知れぬ喪失感。現実としか思えなかった。ここ、記憶の倉庫とかいう現実感のない空間に比べたら、俺が見た陳の記憶のほうがずっとリアルだ。


「どうやら、幸せな記憶とは程遠いみたいだね」


「ああ。マンションの火事に巻き込まれた。最悪の気分だ」


「記憶に感情を巻き取られないようにするんだ。深く入り込むと危険だよ。自分の記憶と、他人の記憶の区別がつかなくなる」 


社長はそばの棚を指差した。


「幸せな記憶が必要なんだ。片っ端から見ていこう。アンディ、君はこちら側の棚を。僕はその反対側の棚を見ていくよ」



 ◆ ◆ ◆



 それから、俺はひたすらに棚のCDにしまわれた記憶を見ていった。

 記憶の断片を通して、俺はこの陳明龍という男の人生について知ることになる。


 生まれは日本、鳥取県。父親が中国人で母親が日本人のハーフ。混血が進み、国籍という概念が薄くなった今の日本では珍しく、純粋な中国人と日本人同士のハーフだ。子供時代はあまり幸せではなかった。父親は失業し、いつも家で寝ている。母親が短期労働で家庭を支えていた。

 ハイスクール卒業後、ミュージシャンを志し、上京。伝統的なミュージシャンの街である下北沢に移り住む。エンタテイメント複合企業と契約し、弾き語りの曲を1曲だけリリース。しかしながらダウンロード数はあまり振るわなかった。

 高度化、資本集中型、多人数化する音楽制作についていけず、引退。事実上、契約企業からの解雇だった。

 

 夢破れたあとは、短期労働を転々とし、ひとりで生活していた。寂しさにたえられなくなり、家族を持ちたいと思う。DNA情報を元に、パートナーをマッチングしてくれるサービスに登録。そこで出会った女性と結婚する。

 だが、結婚生活はうまくいかなかった。ちょっとしたことで毎日ケンカばかり。

 陳明龍の性格と、妻の性格が大きく異なっていたのが原因だった。夢見がちでズボラな陳と、現実主義で几帳面な妻。

 ケンカの内容はささいなものだった。陳が朝起きるのが遅い、とか、妻が掃除の時に、陳の大事なギターに傷をつけた、とか。

 陳は毎日イライラしていた。妻に対して、死んでしまえばいいのにと密かに思ったこともあった。

 妻の容姿も、陳のいら立ちの原因だった。体重がかなり重く、つまりブクブクと太っている。丸い顔に小さな目をした妻の容姿は、お世辞にも美しいとはいえなかった。おまけに彼女はセックスレスだった。


 このままではまずい。陳は思う。そうだ、子供を作ろう。子供は夫婦の中を良くするきっかけになると聞いたことがある。なんだっけ、子供は夫婦の接着剤、だったかな。そういう言い回しがあったはずだ。


 そして陳は人工授精センターに行き、子供を作ろうとする。だがそこで問題が発覚する。陳の精子に問題があり、子供を作るのに適さなかったのだ。センターのドクターは、「遺伝学的な問題」とだけいい、詳しい説明はしてくれなかった。

 仕方がないので、精子バンクに登録されたドナーの精子を使い、人工体外受精。その後人工体外子宮による胎児育成、出産によって1人の男の子を授かる。人工体外子宮による出産が、全出生率の9割を占める現代においては、なんら珍しいことではない。陳夫妻が子供を授かった当時でも、人工体外子宮による出産率は、6割はあった。妻と話し合い、アキラと名付けた。明るい人間になってほしいという願いから。将来日本でずっと生きていくことを考え、日本語の名前にした。

 

 家庭を支えるために、陳は懸命に働いた。無期雇用の職を見つけるのは難しかったが、東京の足立にある小さな工場の機械メンテナンスの職を得る。毎日長時間、懸命に働いた。

 だが、省人化と効率化の波が、彼の仕事を奪った。工場には彼の代わりに働くロボットが導入され、職場を追い出された。

 

 失意の陳。さらなる悲劇が彼を襲う。マンションの大火災。ある部屋の女性が、油を拭いたタオルを放置し、油の酸化熱によって自然着火したものだった。彼の住んでいたマンションは、貧困層向けの低家賃住宅であり、防火建築の認証を受けていなかったことが、火災をさらに悲劇的なものにした。

 結果、マンションは倒壊。陳は家族をいっぺんに失った。



 ◆ ◆ ◆



「疲れた......」


 ざっと、5、6千枚のCDを見ただろうか。気がつくと、俺の担当する棚の記憶を全て見終わっていた。記憶の部屋の床には、あちこちに記憶の断片を収めたCDのケースが散乱し、棚は空っぽになっている。


 なにしろ、CD1枚1枚に入っている記憶はとても短く断片的なもので、日常のどうでもいい細々とした出来事も入っている。仕事で怒られたとか、階段でころんだとか。むしろ、そういうどうでもいい記憶の方が、劇的な変化がある記憶よりずっと多い。

 人生は、ドラマチックの連続だって、昔誰かが言ってたっけ。実際の人生における、ドラマチックの割合は、ことごとく低いのではないだろうか。例えば、何万枚もある記憶のCDの、ほんの数枚分ほどの。


 陳の人生は、悲劇的なものだったが、それでも幸せな記憶はいくつかあった。妻とであった時、子供を授かった時。これらは大きな幸せだ。仕事上がりに飲んだ人工アルコール飲料の味。職場の上司に初めて褒められた時。こういう小さな幸せもいくつか見つかった。


 社長は隣の列の棚を物色中で、いちいち見せに行くのが面倒だったので、幸せな記憶は、それ以外の記憶とは別に分けて積み上げていく。


 自分が担当する棚を見終わって、隣の棚の列にいる社長に報告に行くと、すでに作業を終わらせていた社長は、床に座り込んで居眠りしていた。


「終わったけど」


 声をかけると、急に起こされてびっくりしたのか、社長はあたりをきょろきょろと見回して答えた。


「お、おわっ?.....あ、ああ。お疲れ様」


 口の端からよだれをたらしながら答える社長。


「ずいぶん時間がかかったね。寝ちゃってたよ」


 そう言いながら社長は立ち上がる。


「あんたはずいぶん早く終わらせたみたいだな。この棚全部?」


 社長の担当する棚には、最初に見たときと全く同じようにぎっしりとCDが詰まっている。1枚1枚、見ては戻していったのだろう。


「ここの列だけじゃないよ。隣の列も。これでこの人の記憶は全部見たね」


「早いんだな。驚いたよ」


 単純に、俺の倍の量の記憶を、俺よりも短い時間で見たことになる。


「ちょっとしたコツがあるんだ。君も慣れればすぐできるようになるよ。それじゃあ、シェアしようか」


「シェア?」  


「僕達が見た記憶を共有しよう。この哀れな男の人生の記憶を」  



 ◆ ◆ ◆



 それから、俺は社長に、自分が見た記憶の内容を話した。


「ふーん。なかなか苦労の多い人生だね」


 社長は、軽い感じで当たり前の感想を呟いた。


「僕が見た人生の記憶は、それから後のことだね。マンションの火事で、家族をうしなったあと、彼の人生はどん底だった。当然だね。短期の仕事を転々とし、人工アルコール飲料で絶望をごまかす日々。だがそれも続かなかった」


「最近では、短期の仕事を見つけるのでさえ、どれだけ大変か君はよく知っているだろう?収入は途切れた。危ない仕事に手を出した。違法薬物の運び屋をして金を稼ぎ、荷物の薬物をすこしちょろまかして吸ってみたことさえあった」


 ああ、その苦しみは俺にもよく分かる。危ない仕事への誘惑も、いたるところに転がっている。俺だって何度かその手の危ない仕事に手を出したことはあった。そうしないと生きていけないからだ。


「そうやってちょろまかした薬物の一つに、危ないやつが混じっていた。違法薬物の世界の中にも、一定の品質基準ってものがある。だけど、陳が手に入れたその錠剤は、基準を満たさない粗悪品。神経を破壊する危険があった。彼が70歳の時だ」


「ひどい話だ」


「今の陳明龍は、歩くことも言葉を発することもできない。ただ医療センターのベッドの上に縛り付けられている状態だ。その状態で57年がたった。今の彼は127歳だ。延命治療が行われているが、だんだんと死に近づいている」


 そうか。彼がミュージシャンを志し、上京して夢やぶれ、結婚して子供を作り、そしてそれを失ったのは、そんなに昔のことだったのか。なんだか不思議な気分だ。


「記憶は、過去に戻れるタイムマシンさ」


 俺の怪訝そうな顔を見て察したのか、社長がそんなことを言った。


「もうすぐ死ぬのか、この男は」


 社長のキザな言葉は無視して、俺は尋ねる。


「たぶんね。あと数ヶ月じゃないかな。だから都合がいいんだ。記憶を盗み出すのにね」


「なるほど。もうすぐ死ぬから、訴えられることもない」


「物分りがいいね。盗めそうな記憶は見つかったかい?」 


 記憶を盗み出す。そうだった。アインが言ってたっけ。

「私たちは、記憶の泥棒」と。



 ◆ ◆ ◆




「うわっ!ずいぶん散らかしたね......」


 俺の担当した棚の列にやってきて、社長は叫んだ。


「大きな声出さないでくれ。耳に響く」


「ああ、ごめんごめん。よく言われるんだよね、なんでかな。でもこれ、まずいな」


 社長は相変わらず高い声だが、すこし音量を抑え気味で、床を示しながら言った。

 記憶のCDが辺り一面に散乱している。


「散らかしちゃまずかったか?」


「出ていく時には、全部元通りにしとかないと。取り出せなくなっちゃう」


「取り出せなくなる?」


「この人、陳さんが、記憶を思い出せなくなっちゃうんだよ」


「それはまずいな」


「でしょ?だから、全部元に戻そうね」


 ちょっと待て、これ全部か?俺は床に散らばった数千枚のCDケースを見渡す。軽いめまいがした。


「早く言ってくれよ......」


 だから社長の見た棚は、ちゃんと全部記憶のCDがしまってあったのか。


「手伝うからさ。頑張ろう」


 まったく悪びれずに社長が言う。俺は盛大なため息をついた。


「気にすることはない。僕達の仕事はいつもこんな感じさ。出してはしまう、整理整頓。その繰り返し」


「地味な仕事だな......」



 ◆ ◆ ◆



 俺が、記憶のCDを見るのに使った時間と同じぐらいの長い時間をかけて、ようやくすべてのCDを元通りに戻し終わった。全部、元通りの場所に戻せたはずだ。


 幸せな記憶だけは、分けて床に積み上げた。幸せな記憶のCDの分だけ、棚には隙間が空いている。


「そのCDはなんだい?」


 作業を終わらせ、床に座って休憩していると、上の方から社長の声がした。彼は床に落ちている1枚のCDを指差している。


「これは......」


 それは、俺がここに来たとき、最初に手に取ったCDケースだ。表面に鮮やかなオレンジの果実が描かれてある。そういえばなんやかんやで床に放置してたんだっけ。


「これは、まだ見てないな」



 ◆ ◆ ◆



 今日も、相変わらず私の病室の天井には、シミひとつない。きれいな薄青色だ。

 この天井の景色が、今の私の全て。時々、自動体位変換ベッドが体の向きを変えてくれるが、見える景色に大した違いはない。窓から見えるのは隣の高層ビルの壁。テレビもあるが、代わり映えしない暗いニュースと、ワンパターンなバラエティ番組を流すばかり。50年前から何一つかわらない風景。


 この病室の中は、まるで時間が止まっているみたいだ。私はそう思った。

 私は、死ぬまで止まった時間のなかに縛り付けられている。きっと、普通の人間だったら発狂しているだろうな。50年間ずっと、身動きできず、言葉も発せず、ただ生き続けている。

 だが、私には、毎日たっぷりの感情抑制剤が投与されていて、そのおかげで平穏な日々を過ごせている。最後に、嬉しいと思ったのはいつだろうか?悲しいと感じたのは? 

 あんなに悲しかったはずのこと、家族を失った日のことでさえ、遠い昔だ。今はぼんやりとしか思い出せないが。


『それでは、聞いてみましょうか。あなたの人生を変えたもの!』


 部屋のテレビから、小さな音量で流れてくるのは、国営テレビのインタビュー番組だ。


『こちらの方、齢130歳。現在は子供や孫達に囲まれて、ここ、埼玉県の自宅で幸せに暮らしています』


 ナレーションが流れる。脳波センサーでベッドの向きを変え、テレビの方を見た。

 満面の笑顔を浮かべた老人が映っている。周りにはたくさんの家族。幸せそうだ。私にもこんな人生があったのだろうか。


『こんな私ですが、昔はやけになっていたこともありましてね、ええ』


『本当ですか?信じられませんね』


『大おじいちゃーん』


『おお、よしよし』


 突然乱入してきた少女をあやしながら、老人は話を続ける。ひ孫とかだろう。


『そんな時出会ったのが、この曲だったんです。30ぐらいのときだから、もう100年も前か』


『ほう、曲ですか』


『ええ。なんかね、もの凄くうまいって感じではないんですよ。でもこの歌詞とかね、歌手の方の一生懸命な歌い方とかがね、なんか心に残ってて。私ももっと真面目に生きてみようって』


『それがあなたの人生を変えたものというわけですね!』


『聞いてみます?すごくいい曲でね』


『そうして、私たちは1枚のCDを手渡されました。今はもうCDを再生できる機器はほとんどありません。我々番組班の総力を結集し、デジタルデータへの変換を行いました』


 再びのナレーション。


『それでは聞いてみましょう。陳明龍で、オレンジのなる木』

 

 ああ、これは。

 流れ出したのは、8ビートと、単純な3つのコードだけで作られた、ポップソング。

 音楽のことなんて何もわかっちゃいない。ストレートで陳腐な言葉で歌うのは、若者の人生への希望と不安。


 家を飛び出した。

 音楽で世界を変えてやるんだって思っていた。

 将来は不安だったけど、希望があった。そんな時の私がここにいた。

 

 これは、私が作った曲。たったひとつだけ、私がこの世に出した曲だ。


 テレビから流れる音楽がアウトロに入る。


 私が作った曲が、どこかの誰かの心に残り、人生を変えた。

 幸せだった。

 なんだか全てが、私の127年間全てが、報われたような気がした。



 ◆ ◆ ◆

 


 俺は、静かに涙を流していた。幸せだ。全てが満たされた幸福感を感じていた。


「どうやらかなり、幸せな記憶だったみたいだね」


 甲高い声に、現実に引き戻される。そうだ、ここは陳明龍の記憶の倉庫。俺が見ていた白昼夢は、彼の記憶。


「ああ、とても......とても満たされた気分だ。生きててよかった......」


「病みつきになりそうだろう?他人の幸せな記憶ってものは。だから高く売れるんだ」


 そういって社長は俺の手から、オレンジの実が描かれたCDケースを取り、ビジネスバッグに入れる。そして、他の幸福な記憶のCDケースも詰め込みはじめた。


「何してるんだ?」


 俺は尋ねる。社長は小さいバッグに苦労しながらCDを詰めていく。


「決まってるだろう?持って帰るんだよ」


「ちょっと待て。俺達が幸せな記憶を持って帰ったら、この男はどうなる?その記憶は」


 やっとうまく全てのCDを詰め終わった社長は、ふうと一息ついて答えた。


「全部忘れる。思い出すことはできない。彼にとって、なかったことになるんだ」


「そんな......」


 罪悪感に、チクリと胸が痛む。彼は127歳の時、死の床の上で、やっと人生に報いを感じることができた。それを奪ってしまうのか。


「記憶の倉庫にすき間を残していくと、色々問題があるからね。これを、棚の空いてるとこ全部にさしこんでおいて」


 社長はビジネスバッグの蓋を閉じ、そして俺に数枚のCDケースを手渡した。真っ白で、表面には何も描かれていないCDケース。


「これはなんだ?」


「ダミーの記憶だよ。アインが作ったんだ。彼女の仕事のひとつさ」



 ◆ ◆ ◆



 ダミーの記憶をさしこんでいく。最後の1枚を棚に入れる前に、俺はそのケースを開いてみた。


 途端、目の前が暗転。


 ノイズが見える。白と黒の粒のノイズ。

 これは、「砂嵐」というものだろう。昔のテレビジョンで見ることができたという。


 ザーという雑音が耳に入る。あたり一面の砂嵐と、耳障りな雑音。それだけだった。


 ふと、音が変わった。少しだけ優しい音に。ザーがサーになった感じ。砂嵐の中に、少女の姿が写った。途切れ途切れだけど、それは確かに。


「アイン......?」


 少女は、ゆっくりと口を開いた。


「安心して。大丈夫だから」



 ◆ ◆ ◆



「おわったかい?」


「あ、ああ」


 俺はダミーの記憶を、最後のすき間に差し込んだ。


「じゃあ、帰ろうか」


 社長はそう言い、歩きだす。この得体の知れない記憶の倉庫から、いったいどうやって帰るっていうんだろうか。社長の後をついて俺も歩く。


 俺は、さっき見たダミーの記憶について社長に尋ねることにした。


「さっき、ダミーの中身を見たんだが......アインがいたぞ」


 すると社長は、ああ、そうだねえと言い、ちいさくため息をついた。


「別に必要ないんだけどね。記憶をなくした人を励ましたいんだろう。あの子は優しすぎるよ」


 どこかで聞いた声だったよな......。

 記憶をたどって思い出そうとしていると、急に前を歩く社長が立ち止まり、背中にぶつかった。


「おい、急に立ち止まらないでくれ」


 社長は俺の抗議に返事をせず、あたりをきょろきょろしている。


「うーん」


 口元に手を当てて悩む社長。その目は大きく見開かれている。もしかして迷ったのか?


「どうしたんだ」


「何かが変だ。何かが起こる」


「何かって......」


 一体何なんだ。そう続けようとして、突然、大きな音がした。なんだろう、分厚い板を一気に割ったような音だ。


 途端、足元の床に、細くて長い亀裂が走った。


「まずいぞ、これ......ああ、どうしよう」


 社長がか細い声でつぶやいた。おい、一体何が起こってるんだ。


「倉庫が崩壊するんだ!もう時間がない......。この男の、陳明龍の人生はもうすぐ終わるんだよ!」















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