第8話「花畑」
第8話「花畑」
何とか眠りにつく事が出来たがやはり寝袋なしの野宿はきつい。初めての野宿、結界が有るとは言え魔物の存在、ダメ押しのエルートの存在、起きると体があちこち痛い。日は昇り始めたばかりだろう。
俺が起きたのが分かったのかエルートが動き出す。
【おはようございます。ご主人様】
【ご主人様は辞めない?ルインでいいよ】
こちらに向きエルートは首を横に振る。
【私は奴隷になったのでご主人様と呼ぶのは当たり前の事です。】
【分かった。】
それがこの世界の常識ならば従うしかない、エルートの勢いにおされた。エルートも笑顔で頷く。
町に行ったらこの世界の一般常識くらい学んでおこう。エルートに反論出来ないし。
朝ご飯には早かったかもしれないが昨日の残りの果物を食べてる時に、管理者の力を使って地図を見て向かう方向を確認しておく、エルフが使う道とは随分それてしまったが、もう野宿はしたくないので最短ルートで町に向かう事にする。急げば今日中に町に着けるかもしれない。
【無理をさせてしまうかもしれないが最短ルートで町に向かおうと思う。疲れた時はいつでも言ってほしい。それと俺は色々魔法とかスキルが使えるが他言はしないように。】
【はい。分かりました】
さほど驚いてはいなかった。昨日色々使ったし、武器も見られたしそれに比べれば驚く事ではないのだろう。道をそれたせいなのか魔物と出会う機会が多くなった。この辺りは縄張りなのだろうか、イエプル〔ウサギのような奴〕こいつはいつからだろうもう余裕で倒せるようになっていた。
魔物を倒してこの世界の通貨が手に入るのなら倒し続ければお金持ちになれるんではないかと喜んでいた。
途中小休憩をしながら道なき道を切り開き進んで行く。昼過ぎくらいだろうか途中に有った果物を食べながら進んで行くと、見た事も無い花畑が目の前に広がる、向日葵にも似ているが黄色ではなく赤いこれは危険なのか。近くに行って見て見るが特に危険はないようだ。念の為にエルートにも確認する。
【この花は危険なのか?】
【本で見た事は有りますが特に危険はないと思います。】
何故か嫌な予感がする。花が赤いからだろうか。悩んでも仕方ないので用心して花畑を通り抜ける。
通り抜ける途中でエルートが【キャ】驚きの声をだす。
どうしたのか振り返ると、エルートの近くにコガネムシっぽい何かが居た。これに驚いたのだろうか、近くに駆け寄り虫を払う。小さい魔物でもないらしい。
エルートは森に住んでいたのに虫が苦手なのかな。なんて思いつつ足早に花畑を抜けた。
日も傾きかけ今日は町に着くのは無理かもしれないと諦めかけた頃町が視界に入る。良かった今日は野宿しないで済みそうだ。
町に着く頃には夜になっていた。町の探索は明日にするとして今日は宿屋を探す事にする。
そんなに夜遅くではないとは思うが町の人は少なく何人かしかいなかったが、町の人に聞くと何件か宿屋は有るらしい。この世界の通貨を知らないので取り合えず一番安い所を教えてもらった。教えてもらった宿屋に行くとさすがに一番安いだけあってボロい。
中に入り犬族なのだろうか犬耳のおじさんがカウンターらしき所に立って居るので話しかけ宿泊費など聞いた。
宿泊費は1人40クル銅銀貨4枚分だそうだ。朝夜食事付きで70クル。魔物を倒した時に出た、銅銀貨で支払いをしようとした。この間エルートとの何気ない会話の中でこの世界の通貨の事は聞いていた。
銅銀貨1枚=10クル 銀硬貨1枚=100 金硬貨1枚=1000 黒金貨1枚=10.0000
と言う事だった。端数はこの世界では無いとの事らしい。
おじさんはうんーっと言う表情
【後ろのお嬢ちゃんは連れだろう?奴隷か?】
【奴隷です。】
俺が言うと宿屋のおじさんが手招きでエルートを呼ぶ。エルートの額に手をやり何かブツブツ言って手がほんのり光るとエルートの額に契約した時に現れた古代文字見たいのが浮き上がった。奴隷と確認したんだろうか?
確認を終えるとおじさんはエルートの額から手をどかし、額からも古代文字みたいなのも見えなくなった。
【2人分で60クルだ。食事付きだと2人で120クルだ。】
俺は120クルだした。奴隷だと宿泊費が20クル安くなっている、なんでだ。
部屋の場所を聞いて、今日の夜の食事時間には間に合わなかったようで残り物のパンのような物を2人分貰って部屋に向かう。
木のベットの上に何年も使い古していそうな敷布団、その上にタオルっっぽいのが1枚、部屋の真ん中にはテーブル、部屋も広くはないのでちょうどいい大きさに見える。
2人分払っているのにベットは1つなぜ!?一緒に寝る前提なんだ。
俺の奴隷と分かったからこの部屋に案内されたんだろうか。奴隷は床で寝ろって事か、だから俺よりも宿泊費が20クル安かったのか。
部屋に入りエルートにベットで寝るように言うと、俺はどこで寝るのか聞き返され床と答えると怒られる。
主人よりいい所では寝たら駄目ってわけではないだろうがエルートは納得しない。それなら自分も床に寝ると言い出す、結構頑固だなぁ。
それならと冗談半分でなら一緒にベットで寝ようと提案した。これはどう断るのかと思ったが、顔を赤らめそれならと納得した。嘘だ・ろ・・。
貰った食事を食べ、横になると先ほど言っていた通りにエルートが横に寝る。ベットのサイズは、大きくはない1人用みたいだからそれなりにくっつかないと落ちてしまう。
俺が仰向けで横になっている、エルートはこちらを向いている。
腕には柔らかい感触、エルートの方に向いただけでキスできるほどに近かった。それでも俺は理性を保ち
【おやすみ】
【おやすみなさいませ、ご主人様】
少しするとエルートは寝入ってしまった。今日は最短ルートを通ったとはいえ、かなり無理をさせていしまっただろう。ゆっくり休んでと言わんばかりに頭を軽く、優しくなでた。
それにしても体に悪い、自分で言い出した事とは言え。エルートの可愛い寝顔、寝息。拷問だなぁ。そして言うまでもなく寝るのには相当の時間がかかった。




