第63話「これは鍛冶?」
第63話「これは鍛冶?」
ソファに座り、少しむくれた顔をしたキャロが後から来る。怒っているのかと思ったが、俺の隣に座りくっついて来た。いつもよりキャロの体温が高い気がした。
【いきなりは駄目って言いました。】
何か俺がやらしい事したみたいじゃないか。尻尾モフモフはしたが・・・。
キャロと一緒に居て、しばらく経つと着替えを終えたティーナ達が部屋に来る。思いのほかティーナの事を長い時間連れ回してしまったのでティーナに尋ねる。
【城に戻らないで、いいのか?】
当初の予定ではティーナとある程度の距離を置きたかったのだが、毎日のように家に来て、今では食事を一緒にする仲になってしまった。個人的に美少女が増えるのは嬉しい事だが、王家の人だ有る程度距離は置きたい。
ティーナはキャロの座ってない反対側の俺の隣に座って
【私が城に居ても、何もする事はございませんの。】
ティーナの隣に立って居たクラリスが少し慌てる
【姫様には勉強もあります。他にも・・・。そろそろ城に戻りませんと・・。】
姫だもんな、作法など色々練習するのだろうな。クラリスに言う事にそっぽを向き、俺にしがみついて帰りたくないアピールをするティーナがたまらなく可愛かったが、先ほどの距離を置くと言う考えが過る。
【今日は買い物にも行って楽しんだし、勉強も必要な事だからしないとね】
優しく言って、ティーナの頭を撫でる。俺は見た目と歳こそ、皆とほとんど変わらないが精神年齢はオヤジだ。勉強が大切なのも分かる、減り張りはつけなければいけない。
ティーナは俯いてしまった
【ルイン様がおっしゃるのなら・・・。】
どうせまた明日の朝になれば来るのだろうと思い
【また明日朝に来ればいいじゃないか?】
顔を上げて笑顔で
【はい!】
元気よく返事をする。本当に単純な子なのか?それとも純粋なだけなのか?それがティーナの長所でも有るのだろう。玄関までティーナとクラリスを見送った。最後までティーナは名残惜しそうにこっちを見ていたのが少し可哀そうに見えたが、勉強も大事だ。
ティーナとクラリスは今日は自分の乗って来たバロンで帰る。今日はまだ外も暗くはないし、クラリスも一緒だから危険はないだろ。
結構長い時間買い物に行っていた気がするが、日はまだ高く感じるお昼過ぎくらいだろうか?この世界に時計が有れば便利なのだが、時計を見た事が無い。俺の感覚で時間を予想はしているが、この世界の1日が24時間とは限らないのだから正確には把握出来ていない。
まだ夕食にも早い。俺はポルンの様子を見に工房に行こうとすると、エルートにどこに行くか尋ねられたので素直に答える。2人に自由にしてていいと言ってポルンの元に向かった。
外に出て、少し歩いた所に綺麗に掃除された工房が見えた。最初に見た時は物置かと思ったが、どうやら工房だったらしいな。ポルンでさえ、工房のような所と言うほどに荒れていたし、物は山済みだったし工房とは思えない場所だったしな。
掃除をしたと聞いてはいたが、中だけではなく外観も少し綺麗にしたのだろうか?エルートの水魔法で流したのだろうか?高圧水威力あるもんな。
俺のイメージでは、工房の近くから熱気が漂って来ると思ったが、そんな事は無く中に入っても熱さは感じなかった。
ポルンは俺が中に入った事にも気づかない、何やら考えている様でただ立って素材を見つめていた。
俺が居ても何も出来ないだろうし、邪魔しては悪いと思いその場を立ち去ろうとしたが
【主人様!手伝いに来てくれたんですね。】
ポルンに近づき頷く。
【邪魔なら出て行くが・・・。?】
【そんな事ないです。今主人様を呼びに行こうと思った所です。】
俺を呼んでどうしようと言うのだろうか?鍛冶の知識何てまるでないのに・・。
【何か俺に出来る事が有るのか?】
【僕では魔力が足りないので、主人様にお手伝いして頂こうかと思って・・。】
ポルンのレベルは低い、基本値でも魔力が特別高い訳ではない、足りなのは仕方のない事だ。
【俺に出来る事なら何でも手伝うぞ!】
ポルンの肩に手お乗せて言うとポルンは嬉しそうに俺の事を見た。
ポルンから何を手伝えばいいのか聞く。ポルンに火が付いたようで、そこから鍛冶の知識を叩きこまれた。ポルンの長い、長い、説明がやっと終わる。さっぱり理解できなかった・・。
この世界の常識を基本に説明されても基本が分からないのだから理解不能だ。何とか分かった事は、ポルン1人では足りない魔力を俺が補う事くらいだった。
まず工房に有る大きな魔法陣に魔力を通す為に魔法陣の一部に俺が触れる、すると魔法陣が光りだした。光っている魔法陣の上に今日買って来た素材をポルンが置く。
その後ポルンが光っている魔法陣に文字など線など足していくと、その場所も光っていく。ポルンが魔法陣に何か書き足すたびに、俺の魔力も魔法陣に吸われていくのだろうか?少し力が抜ける感じがした。
ポルンが書き足し終わり俺は魔法陣から手を離した。今度はポルン愛用のハンマーを手に取りポルンが呪文だろうか?何か唱える。、魔法陣に書き足した事でポルンも魔力を使っていたので、ハンマーが少し光るが
魔力が足りない。
ポルンは右手に持ったハンマーを俺に向け、俺はポルンが握っている上から手を重ねてハンマーを握る。俺の魔力がハンマーに注ぎ込まれる。ハンマーの光が強くなり、
【主人様ハンマーを離さないで下さい。】
俺は頷き、ポルンの手の動きに合わせて一緒に魔法陣の上に置いて有る素材に、2人で勢いよくハンマーを振り下ろす。
光が辺りを包み目を開けて居るのは無理だ。ハンマーを持っていない腕で目をかばって、目を閉じないようにしようとするが、まるで四方八方が光っているように、とてもじゃないが、かばいきれない。たまらなく目を瞑る。
光が収まり目を開けると、大喜びしているポルンが目に入った。ポルンは俺に抱き着いて来て
【大成功です!主人様のおかげです。】
大喜びするポルンの頭を撫でて俺は魔法陣の方に目を向ける・・・。




