第53話「魔法書」
第53話「魔法書」
ティーナ姫は皆とも話して仲良くなった様に見えたが、時折俺にくっついたり、手を握ってきたりなどしてエルート、キャロ、ポルンは不機嫌な顔をして俺を睨んできた。俺は何もしてないのに・・。
十分休んだし、3人の目線も痛かったので俺は城に行く事にした。ティーナ姫と一緒に行こうとすると3人もついて来ようとしたが、それは止めた。管理者の事が書いてあるだろう書物を見るのに連れて行く事は今は出来ないし、城に連れて行って面倒事を起こされても困るし。
皆に行って来ると言って家を出て、バロン車に乗る前に隣のハクリが居る場所に向かってハクリにも朝の挨拶をして何か不便はないか?何かして欲しい事はないか聞く。
ハクリは頭がいいので一般語を少しづつだが覚えつつある。俺が教えるのは無理だが、ハクリの前で皆と話しているだけで、ハクリは少しづつ覚えている。たまに俺が意味や通訳する事も有るが。ここ何日かエルートの事でハクリの所に来れなかったので城に行く前には行こうと思っていた。
ハクリと話した後ティーナとガランさんの待つバロン車に向かった。ガランさんがバロン車の前で俺が乗り込むのを待っていた。すでに乗り込んで待っていたティーナの横に俺は座る。
ガランさんがバロン車を出発させて城に向かう。
【ダクス王子は何か罰を受けるのか?】
ティーナは少し笑いながら
【お兄様は今日から1か月間、城で下働きですわ】
ダクス王子が下働き・・かぁ。真面目にやらなそうだし、1か月も無理だな。
【そうなのか】
【下の者の気持ちを知るいい機会だと母上様がおっしゃってましたわ】
いい経験になるだろう。考えるのと実際に経験するのでは全然違うからな。
ティーナと色々話していると会話が楽しかったのか城に早く着いた気がした。
バロン車から降りた俺はティーナが案内するまま城の書物庫に向かった。中に入ると色々な本が有る。
ティーナが1冊の本のような物を持ってこちらに来る。
【こちらになります】
ティーナが持って来た本と言うより木の本とでも言うのだろうか?厚さは薄く中に何か書いて有るページが有るようには見えない。
【ありがとう】
受け取ったが、どうしていいか分からない。
【これどうやって見るんだ?】
ティーナが慌てて
【すみません。この魔法書は王族の魔力に反応して読む事ができるのでした。】
俺は持っていた魔法書をティーナに渡す。
開いた魔導書にティーナが魔力を送り込むと魔法書がほんのり光だし、過去の王様らしき人が映像で浮かびあがり、語り始める。
何か管理者としてのヒントが有るかも知れないので集中して聞いた。
だが・・・。この昔の王様だろう人が語るのは、管理者には決して逆らってはいけない事、接する時は美しい女性が接する事、周りに男を連れて行かない事など王妃から聞いた内容だった。管理者の事は語らなかった。
【逆らってはいけない人物について知るような魔法書はないですか?】
ティーナも考えて居るが
【書物庫の中になければ、分かりません。母上に聞いて参りますので、どうぞご自由に他の魔法書を見て居て下さい】
ティーナは部屋から出て王妃様の所に向かって行った。
1人取り残された俺は色々な魔法書を手に取り魔力を込めて内容を見たが特に気になる物はなかった。書物庫の本当に奥の隅にホコリをかぶってさっきまで有るのが分からなかった本を見つけて手を伸ばす。
他の本と棚が邪魔して中々手が届かない。王妃様の所からティーナが戻って来て、俺の近くで邪魔な本をどかして手伝ってくれるが後少し手が届かなかった。
少し強引に手を伸ばして、本に手が届いたがその拍子に本棚がこちらに倒れて来て伸ばしていた反対の手でティーナの手を掴み引っ張りかばう、倒れてきた本棚は横の本棚に当たり完全に倒れる事はなかった。
引っ張った拍子にティーナは倒れ、俺がティーナに馬乗りになっている状態でしかもティーナの手を引っ張ったからなのか、ティーナは両腕を上げ手首がクロスしそのクロス部分を押さえつけるような格好になっている。
俺がまるでティーナの事を抵抗できないように襲っているみたいじゃないか!
【ルイン様・・・手が・・。】
押さえつけてごめんねと謝ろうとすると本を掴んでいたはずの反対の手がティーナの胸をしっかり掴んでいる!中々の大きさ。着痩せするタイプかも知れない。しかも柔らかい王族でもノーブラなのか・・・。エルートと同じかそれ以上かも!これで発展途上だからこの世界の子達は恐ろしい。
違ぅ~。俺は急いでどこうとするが倒れた本棚が完全に倒れていないのは、隣の本棚と俺が支えになっている、俺が力を抜けば隣の本に比重が更にかかり横の本棚も倒れてしまうかも知れない。
だかティーナの胸から手だけでもどかさなければと思い手を動かす
【あ・・ル・・イン様・・手を。動かさない・・で下さいませ。】
そんな事言われても。これじゃただティーナの胸を揉んだだけだ・・。
今は俺の両膝とほんの少しの力の手で本棚を支えているし、どちらかの手の力を抜いて動かそうとすれば、反対の手に力が入ってしまう。どちらの手もティーナの上に有るので今は均等に少しの負担が有るがどっちかに力を込めると、ティーナの片方に負担が大きくなる・・。
どうしようか?身体能力上げる魔法でも使うか・・など考えて居ると誰かが書物庫に入って来る。
【まぁ~ルインさんこのような場所で・・】
王妃様!状況を見ようよ。
【母上様誤解です。本棚が倒れてきて】
【それは大変】
おっとりマイペースな王妃様だな。昨日とは違う人に見えるくらいだ。状況を理解した王妃様が兵士を呼んで本棚をどかしてくれたおかげで助かった。
手をどけてティーナを起こして
【その・・ごめんな】
【いいえ。かばって頂いてありがとうございました。それにあれは・・不可抗力ですわ】
ほんのり顔を赤くしたティーナは可愛かった。
立ち上がった俺に王妃様が1冊の本を俺に渡してきた。
【これは代々王妃にのみ伝わる書物です。お探しの事が書いて有るかも知れません。】
渡された魔法書を受け取った。




