第42話「建国記念日」
第42話「建国記念日」
ダクス王子が何人と魂誓していようと実際は関係ない。俺がどうこう言う事ではない。俺自身複数の人に魂誓を申し込まれ先延ばしにしている身だ。ただ魂誓相手を大切にしていない事に腹が立ったのだ。それがダクス王子の愛し方だ言われればそれまでだが、俺から見れば気に要らない。親心なのかそんな相手にエルートを渡したくはなかった。
【ダクス王子にはやっぱり沢山の奴隷も居るんでしょう?】
俺はこの王子が嫌いだ。なので少しでもエルートと会わせるのを辞める為の口実を探す事にした。
【奴隷は居ないんだ。】
【そうなんですか?】
【欲しいと思った物は手に入れる!クードの魔法も使わせる訳にもいかない、跡継ぎの事も有るからな。】
奴隷が唯一、主人に反抗出来るのがクードの使用の有無である。エルートにこの魔法を教えた時に魔法説明で載っていた事を思い出した。奴隷ならクードの魔法を使って避妊されてしまうが魂誓していれば使う必要もない、それに黙って使い続ければ相手を裏切る行為になりかねない。奴隷とは違い捨てられる心配などないのだろうから基本クードは使わないだろう。
その後色々話したが、エルートと会わせない口実は見つからなかったがこの王子は俺から見れば最低だと言う事はよく分かった。エルートに会わせても、エルートは必ず魂誓を断るだろうと確信した。
俺がここで無理に断ったり、会わせないでいたらダクス王子はしつこくエルートや俺に纏わり付いてきそうだし。それならいっそエルート本人に会わせて断らせた方が後腐れなくスッキリすると考えた。エルートにダクス王子を会わせるのは勿論嫌だったが。
ダクス王子との話も終わり、部屋の外に出るとガランさんがギルドの前まで送ってくれた。
ギルド前に送って貰って俺は移動魔法で家に戻った。家の前に着くとチルトさんが小屋を建てる材料を運んでいた。
【お~兄ちゃん!小屋はこの辺りでいいのか?】
【そうですね。よろしくお願いします。】
チルトさんと少し会話をして家の中に入った。
玄関に入ると4人でテミアも一緒に出迎えてくれた。自由にしてていいと言ったのに4人でまだ終わってない部屋の掃除をしようとしていた。
皆に掃除はまた今度でいいと伝えてこっちに来るように言った。広間のソファに座り王子と話した事を伝えようとしたら。
【ご主人様が出かけられて間もなくまた王子様から大量の食料が届いたんですよ】
エルートは嬉しそうに言っていた。もうお昼近いはずなのに今から掃除を始めようとしてたのは、その前に食料整理でもしてたのか。
ダクス王子の事をエルートに全部話した。ダクス王子と魂誓の事は言わない約束をしていたが、それもエルートに言ったうえで全部はなした。エルートは驚いていた、キャロとポルンは怒って、エルートにそんな相手と魂誓しちゃ駄目だとエルートに詰め寄る。テミアはその場に座ったまま何か考えて居るのだろうか?
【ご主人様はダクス王子との魂誓に反対ですか?】
エルートが真剣に聞いてくるので
【最初はいい話しかと思ったが、王子の性格を知って勿論反対だ!】
エルートは複雑な表情ではあったがどことなく嬉しそうではあった。
【ダクス王子との明日の夕食会でちゃんとお断りしてきます!】
【一緒に行こうか?】
【いえ。1人で大丈夫です】
話しを終えてお昼ぐらいだったので軽食を皆で取り服屋に行こうとした。ポルンの下着を買ってなかったので買いに行く。
移動魔法で服屋に着くと
【生地が有れば私とポルンで作りますよ】
服も作れちゃうのか!キャロはどうやら細かい作業が苦手で無理らしい。
エルート達に下着だけではなく新しい服を作る為の生地を選ばせている間に、俺は服屋の店員に俺がうまくはないが、書いた服のデザインを渡して作って貰う事にした。メイド服を4人分!テミアが着てくれるか分からないが1人買わないのも可愛そうなので4人分頼んだ。
生地を選び終えて4人が戻って来たので支払いを済ませて、今度はギルドに向かった。
ギルドでポルンが登録してアイテムボックスを使えるようになった。ついでに簡単なクエストを受けておく。その時に目に入ったのが、もうすぐ建国記念日で祭りのような事が何日間開催されるらしい。
その中でも目玉は国一大会と言う行事らしく、ギルドのお姉さんに聞いた所、簡単に言えば武道大会なのだが今回優勝者には建国800年らしくかなりの豪華賞品が出るうえにシークレットも用意されているらしい。参加してみるのもいいかもしれない。
【ご主人様なら優勝間違いなしです!】
【ご主人出て優勝するです!】
【大会が始まるまでに僕が防具を作ってあげるよ】
3人は進めて来るがまだ先の話しだ。建国記念日で各地から色んな人や種族も集まるらしいのでテミアの事を知っている人が見つかるかもしれない。大会はともかく祭りの日はテミアを連れて少し聞いて回るか。
【3人が大会に出たっていいんだぞ】
俺は冗談半分で言って見た。
【私達も出ていいのですか?】
俺が頷くとエルートとキャロは喜んでいたが、ポルンは浮かない表情だった。
【ご主人と戦う事になっても本気でやります】
キャロが普通に俺に言ったつもりだろうが、それがなぜか可愛く見えた。エルートやキャロに負けないと思っているからだろうか。
【僕は戦闘は苦手だから・・。】
俯きながら言う。俺はポルンの頭を撫でて
【無理に参加する事はない。ポルンは今皆が使ってるより丈夫な防具を皆に作ってあげてくれ】
顔を上げ笑顔でポルンは返事をした。
エルートもやる気満々らしく
【手加減しないでくださいね。】
と一言言った。俺は返事をしたが、勿論2人と戦う事になったら手加減はする。
建国記念日近くになればもっと詳しい情報が色々出て来るだろう。その時にでもまたギルドで聞けばいい。俺達は受けたクエストを開始すべくギルドの外に出た。




