第40話「小さな反逆」
第40話「小さな反逆」
チルトさんの店に入ると
【お~兄ちゃん!家はどうだ?】
最初に会った時のように元気に声をかけて来てくれた。
【家、気に入ってますよ】
俺はチルトさんに近づきながら話した。
【今日は何だ?欲しい家具でも有るのか?】
【実は家の近くに小屋を建てたいのですが。】
【小屋かぁ?何か飼うのか?物置作るほど荷物が余ってる訳じゃないだろう?】
正直にドラゴンが住む小屋と言ったらやっぱりまずいんだろうか。だが主従契約が存在する以上どこかの家では一緒に住んで居る事だってあるかもしれない。キャロは人間でドラゴンと契約した事を聞いた事もないと言っていたが。
【ドラゴンでも飼って見たくて。】
チルトさんの反応を窺うように冗談まじりで笑って言った。
【ドラゴンだとぉ~!そんなの契約するのに命がいくつ有っても足りないぞ】
チルトさんも笑いながら答えてくれた。
言っても大丈夫だろうか?悩んでいた。俺が街から離れた所に住んで居るとは言え、いつかはドラゴンを目撃される可能性も有る、見つかって騒ぎになる前に俺のドラゴンだと知っていれば皆も騒いだりはしないだろう。
【で!何飼うんだ?】
再度チルトさんに聞かれた。
【ドラゴン・・・です。】
大笑いするチルトさん
【もうそれはいいからバロンか?ドルンか?】
バロンは馬の様な存在で馬車の用に使い、ドルンは簡単に言えば食用豚だ。
【本当の事を言うと、もうドラゴンと契約して小屋を建てたいんですが・・。】
真顔で言って見るがチルトさんは信じない。むしろ真顔で言った事でさらに大笑いされた。いくら言っても信じてもらえないと思った俺は
【チルトさん少し時間有りますか?】
【もうすぐ飯の時間だが、すぐ済むなら大丈夫だぜ】
俺はチルトさんに触れ、移動魔法で先ほどドラゴンに作った仮住まいの洞窟の前に飛ぶ。移動先で辺りを見回したチルトさんが
【ここは兄ちゃんの裏山か?】
【そうです】
洞窟内に居るであろうハクリを呼ぶ。チルトさんは不思議な表情になる
【なんだ今の言葉は?】
【ドラゴンの言葉らしいですよ】
そう言うと洞窟の中からゆっくりとハクリが姿を現す。それを見たチルトさんは驚き腰を抜かし、その場に尻もちをついた。俺がハクリに近づきハクリの頭を撫でて見せた。
【に・にぃちゃんそいつは本物のドラゴンかい?】
【まだ子供ですがそうですよ。触ってみますか?】
チルトさんは顔を左右に振って拒否した。少し落ち着いたのか立ち上がると
【本当だったんだな。すまなかった・。】
【こちらこそ驚かせてすみません。こうでもしないと信じてくれそうになかったので。】
【目の前で見てるが、今だって信じられねぇー。人間のしかも若い兄ちゃんがドラゴンと契約しちまったなんて!】
やはり人間がドラゴンと契約出来る事自体、稀と言うより無い事なのだろうか?
チルトさんもハクリに近づき見ている。
【何百年かもっと前に人間がドラゴンと契約したって伝説だか、噂は有ったらしいが実際に契約した奴を見た事はないな。】
チルトさんも信じてくれたようなのでハクリに別れを告げて、チルトさんと店に移動魔法で戻る。
【小屋を作るのは構わないが、大人になったらさすがに小屋を寝床にするのは無理が有るかもしれないなぁ。】
子供とは言え俺達から見ればハクリは大きい、それが大人になれば当然小屋で暮らすのは無理だろう。
【今取り合えずの小屋でいいのでお願いできませんか?】
ハクリの母ドラゴンの亡骸は見たが実際どのくらい大きいのかは分からない、ハクリが成長したら考えるしかないか。
【分かった。小屋を作るだけなら俺でも出来るから、明日から作りに行くからな!】
【よろしくお願いします】
俺は小屋代の代金を先に支払い、チルトさんの店を出た。外に出るとすっかり暗くなっていたので移動魔法で家に戻る。エルートがポルンから何を聞き出しているか、怖かったが家に入る。
家に入ると3人が出迎えてくれた。テミアは何かしているのか?玄関には現れなかった。奴隷でもないので出迎える義務もないのだが。お腹も空いていたので、早速夕食にする事にする。
食べている時にポルンの視線がやけに気になった。どの料理かをポルンが作ったんだろうな、俺の反応を見たいのだろう。何種類か食べた時に
【それ!私が作りました。美味しい?】
【美味しいが。ポルン自分の事僕と言っていたのは辞めたのか?】
さっき家に帰って来てポルンにエルートの手伝いを進めた時も確か僕ではなく私と言っていたなぁ。
【主人様の奴隷になったので僕は辞めました。】
ちょっと待ったぁ~!確かポルンと契約した時にポルンは俺の事をルインさんと呼ぶように言っておいたのだが、まさか俺の予想が的中するご主人様系にされている!
【自分の事を僕と呼んで、いてもポルンが言ってると可愛いよ。そのままでもいいんじゃないのか?だから俺の呼び方も前と一緒で名前でいいんじゃないか?】
ポルンは少し考えて居たが
【私っていいずらかったので、まだ当分は僕にします。奴隷になったので名前で呼んではいけないとエルートさんに聞きました、ので主人様と呼ばせて貰おうかと。駄目でした?】
【駄目ではないが、名前でもいいぞ。言いにくいだろ?】
俺とポルンが話して居ると黙って食べていたエルートが食べるのを一旦やめて
【ご主人様。ポルンさんはご主人様の奴隷になったので、その呼び方でいいと思います。それとも私とキャロもしましょうか?】
うぅ!やっぱりポルンにした意地悪を聞き出していたか。エルートやキャロとはお風呂を一緒に入ってるとは言え、あれはまた別だ!破壊力もさる事ながら、生殺しされるそんな事はごめんだ!
ポルンは俺とエルートの顔を交互に見て不思議に思っていた。どうやらエルート達は俺に話しを合わせてくれたようで2人も俺に同じ事をやった事にしてくれているらしいな。
俺は俯き【ポルンその呼び方でいい・・。】




