第32話「ポルン」
第32話「ポルン」
ドワーフの族長に宜しくと言われ今日はもう遅いので、誰も使ってない横穴を使わせてもらった。中には藁を置いたような寝床と松明が用意してあった。寝る前に明日の事を話す。
【エルート何か追い払ういい方法でも有るのか?】
【・・・分かりません。】
下を向いていたエルートは顔を上げて上目ずかいに言ってきた。
おぃ~やっぱり俺が考えるのか!でも今の言い方が可愛かったから許す。
俺はキャロの方を向き
【キャロは何かいい方法ないか?】
キャロは一族で旅をした経験の持ち主ドラゴンと戦った事も有るかもしれない。キャロは考えて居ると言うより何か思い出そうとしていた。
【確かドラゴンは知能が高いはずです。自分より強い者が現れればどこかに飛んで行くかも知れません。】
なるほど。俺はキャロの頭を撫でた。エルートが羨ましそうに見ていたので、エルートにも明日頑張ろうと言って頭を撫でた。
テミアは頭を撫でられて喜んでいる2人を見て、どうして喜んでいるのだろうと不思議がっていたのでテミアにも同じ事をしたら、喜んで居る様には見えなかったが何か納得している様子だった。
【明日はまずドラゴンの所に行ったら、俺が先頭で戦う。ドラゴンより強い所を見せてどっかに追い払おう】
3人が頷いた。その時
【僕も連れて行ってくれ!】
俺達が振り返ると薄暗くてよく見えないがドワーフの子が立って居た。ドワーフの子はゆっくりこちらに近づき
【僕はポルンと言います。】
松明に照らされ、ポルンが姿を見せる。クリーム色の長髪の子でズボンを穿いた子だ。幼さの残る顔は可愛い美男子と言った所だろうか、でも男の子にしては髪が長い気もするが今の時代長髪の男は珍しくない、まして異世界だしな。
【女の子供は連れていけない。】
俺はすぐに断る。当然だろう、連れて行かない理由、何て沢山有っても、連れて行く理由が一つもない。それと確認の為に女の子と言ってみる。
ポルンは俺にさらに近づいてくる
【僕は子供じゃない明日で13歳だ!それに男だ!】
目に力を込めて訴えかけている。この世界の大人は13歳からなのか?ドワーフの世界では13歳から大人なのか?分からないがどちらにしても連れて行く理由にはならないな。男の子だとしてもだ。
【明日で大人だとしても、相手は子供とは言え危険なドラゴンだ。ポルンを守れる保証もないし、ポルンの軽率な行動で誰かが傷つくのもごめんだ。】
冷たいようだが、これが現実だ。ポルンは俯き黙ってしまった。
見かねたエルートがポルンに近づき
【どうして一緒に行きたいの?】
優しいエルートらしいが、理由を聞いたとしても連れては行けないぞ。危険度が高いのが分かっているからキャロはポルンの理由を聞こうともしてないだろう。
ポルンは顔を上げてエルートに話す。
【僕は世界最高の鍛冶屋になります。あのドラゴンは普通とは違います。あんなドラゴンどの本でも見た事は有りません。1度だけですがあのドラゴンは魔法を使っているのを僕は見ました。】
近くに居たキャロが驚き
【本当にドラゴンが魔法を使っていたのですか?】
【そうです。あのドラゴンは特別です!あのドラゴンの素材を使えば最高の装備品が作れるはずです。】
ポルンは手を握り力が入る。キャロは俺の方を向き
【ご主人。ドラゴンが魔法を使うなら本当に危険です。】
【そうなのか?魔法ぐらい使うんじゃないのか?火吹いたりするだろう?】
キャロは唖然・・・。ため息をつく
【子供のドラゴンが魔法を使うのですよ?魔法を1つでも使えると言う事は普通のドラゴンより知能が高いと言う事です。】
なるほど。知能が普通より高いのなら言葉も通じるんじゃないか?そうすれば戦わなくて済むかもしれない。キャロは何焦ってるんだ。
【危険度が増したって事だな。】
キャロはもっと何か言いたそうだったが、言っても無駄だと思ったのか何も言わなかった。
エルートと話して居るポルンの方を向き
【ポルンやっぱり危険だから連れては行けない。ドラゴンの何が欲しいんだ?約束はできないが取って来る事はできるかもしれない。】
ポルンは納得は出来ないようだが、危険度が上がったなら連れて行く事は絶対にできない。これが精一杯だろう。
【血と鱗と爪】
ポルンは小声で言って、走ってどこかに行ってしまった。エルートに軽く睨まれた。
でもこればかりは仕方がない。皆の命の方が最優先だ。他に面倒見れるほど、今の俺に余裕はないのだから。
明日も早いので、軽い食事を済ませて寝る事にした。食事中もエルートは俺に怒っているみたいだったが、どれだけ憎まれたとしてもエルート達の命を守るのが最優先に変わりはない。
翌朝。俺が寝た後にキャロがエルートにドラゴンがどれだけ危険か話したらしく、エルートの胸で目覚めた俺に挨拶をした後に昨日の態度を謝ってきたので
【気にする事はないよ。これから先もエルート達の安全が最優先なのは変わらないよ。】
エルートの頭を撫でて言っら、照れている姿がたまらなく可愛かった。俺がキャロと話している時もエルートはポルンと話して居たから何か聞いたのかもしれないな。
洞窟の中に居るので朝なのか分からなかったが、ご飯を食べて出発する。
出発前にドワーフから道を聞き進む、ドラゴンの所まではあと少しだ。途中俺が何度が道を間違えそうになるとエルートとテミアが【こっちです】と教えてくれた。
進むに連れて段々暑さが増していくのが分かる。氷の魔結晶を持ってはいるが、暑さで頭がぼやけそうになるのを必死に堪え進むと、出口だろうか外の光が差し込んでいた。俺達は出口から外に出ると、日はまだ昇ったばかりで遠くに村が見え景色は素晴らしかった。
【この先を少し登った先に居るそうです。】
エルートが小声で教えてくれた。全員の装備を再度確認して、俺は皆に各防御魔法をかけて登り始める。




