第28話「クルド国」
第28話「クルド国」
翌朝、テミアを助けた付近に移動魔法で飛ぶ。テミアを守りながら次の街に向かった。戦闘は出来ないわけではないみたいだが、記憶喪失の子を戦わせるのは気が引けたし、武器も防具も持ってはいない、街も近くだったので今回はテミアの戦闘参加は無しだ。次の街に着いてから移動魔法で連れて来ようとしたら何か思い出すかもしれないから一緒に行きたいと言われ一緒に行動している。
テミアを助けた場所から少し街に向かって歩いていると、キャロが突然止まり周囲を気にしはじめた。俺は足を止る。
【キャロどうかしたのか?】
俺は振り向む、テミアは俺の服を強く攫む。
【何か違う匂いがします。】
キャロはウルフ族元々匂いを嗅ぎ分ける力は持っている、スキル〔超嗅覚〕を使いより正確に匂いを嗅ぎ分けようと周りの匂いを嗅ぐ。エルートも警戒態勢になる。
俺は周囲のをマップで確認しだが何もない。潜伏スキルを使ってる奴でもいるのだろうか!
考えて居た瞬間キャロが斬りかかる、何も無い所から人が姿を現す。
【ウルフ族か】
男はそう言うと男の近くから、後2人が姿を現した。山賊か?敵は3人、相手は奇襲に失敗した。
【その白い髪の娘を大人しく渡すなら他の奴の命は助けてやる】
男の1人がテミアを指さし言い放つ。テミアは完全に怯えている、俺の服を掴む手が少し震えているようだ。服を掴む震えた手を握り
【テミアの知り合いか?】
テミアは首を横に振る。俺はテミアの手を離し、テミアを少し後ろに下がらせる。
【テミアは渡せない、テミアの事を知ってるならどこの誰なのか教えてもらおう】
俺は男達を睨み尋ねる。エルートとキャロは戦闘態勢のまま待機している。
【知ってたとしても教えねぇ。渡す気がねぇなら全員殺すまでだ】
男3人が襲い掛かって来る。俺は前に出て1人を剣で迎え撃ち、もう1人を魔法で攻撃する。もう1人はキャロが迎え撃つ、エルートは後からキャロの援護をして、テミアにはエルートの近くに行くように言った。
男2人が俺を狙ってくれて好都合の展開になった。2人が斬りかかって来るが相手が左程強くはないのか2人相手でもきつくはなかった。俺は一旦下がり足元にトラップ魔法を仕掛ける、1人の男は突っ込んで来るのでもう2~3歩下がり男は見事にトラップに引っ掛かる、もう1人が助けに行こうとするが火魔法を飛ばしてそれを阻止、トラップにかかって居る男を斬る。
もう1人が怒り顔で何か呪文を唱えて振りかざした剣から斬撃を飛ばして来る。ポタヌイを盾に変えてこれを防ぐ。
【なんだ!その武器は・・。】
男は驚き動きが止まった、俺はすかさずポタヌイを弓に変えて魔力の矢を放ち男に命中し男は絶命する。
キャロと戦っていた男もエルートとキャロのコンビネーションになすすべなく、キャロのスキル〔2段斬り〕が決まり倒れる。
【みんな大丈夫か?怪我はしてないか?】
俺が聞くと、テミアが駆け寄って来て俺の腕にしがみつく。エルート、キャロもこちらに駆け寄って来る。
【私もキャロさんも怪我はありません。】
俺は周囲にまだ敵が居るかもしれないので警戒しながら
【キャロもう敵は潜んでないか?】
キャロはスキルを再度使い確認する。
【居ないと思いますが、匂い消しを使っている可能性も有るので警戒は必要だと思います。】
キャロにお礼をいい。キャロの相手をしていた男はかろうじて生きていたので、3人をその場に残し近づき、テミアの事を聞いて見る。
【知ってる事を話すなら回復魔法をかけてやるぞ】
【は・はなす・・から】
【ご主人危ない】
キャロが俺に飛び掛かり、俺とキャロは男の場所から離れた。その瞬間、男は雷に撃たれた絶命する。
【ありがとう。よく雷が落ちるのが分かったな】
【スキルを使っていたので匂いで何となく分かりました。】
俺とキャロは立ち上がりキャロの頭を撫でた。雨が降りそうな時に雨の匂いがするのと一緒なのだろうか?キャロの超嗅覚は雷まで嗅ぎ分けるのか?でもあれは魔法だ。自然の匂いを嗅ぎ取ったってより魔法の何らかの匂いを嗅ぎ取ったのだろうか?俺には分からないが、キャロのおかげで助かった。
だが魔法を使った奴がまだこの辺に居るはず、もう一度キャロに確認してもらうが怪しい匂いは無い、匂い消しでも使っているのか。俺もマップで探査はかけるが見つからない、探索範囲もそこまで広く探査出来ないので範囲外なら見つける事は出来ない。
立ち止まって居ても危険なので辺りを警戒しながら街に向かって歩き始めた。
あの後誰も襲ってくる事もなく、しばらく歩くと無事に街に着いた。あの男達はテミア1人を狙っていた。連れ去るのが無理なら殺す。テミアがあいつらに何かしたのか?テミアが何か悪い事をするようにも見えない、むしろ聖女の様に見える。人は外見で判断したらいけないから、何も分からないのだが。
着いた所はクルド国。この国はカールド国よりは広くはないが結構大きな国だ。国で統治していると言っても城壁の範囲内だけらしいので城壁の外は誰の統治でもないらしい。一様境界線は存在するらしいが魔物も居るのでその辺はあやふやだ。
国に入る時に兵士が立って居たが特にチャックされる事もなく、素通りで通れた。テミアを狙ってる奴も街の中で襲っては来ないだろうと、思ったが警戒はしていた。
街中を適当に歩き回りテミアが何か思い出すか、テミアの事を知っている人が居るかもしれないので歩いたが、テミアを知ってる人も何か思い出す事もなかった。
俺達はこの街のギルドに向かう事にした。ここでも尋ね人の張り紙は多かったが、テミアの事を探している張り紙はなかったので、ギルドのお姉さんに裕福層の住む場所など色々聞いてそっちで再度テミアの事を知ってるい人が居ないか訪ね歩くが知っている人は居なかった。
【今日はもう遅い。家に帰って明日また来よう】
日はすっかり落ちかけていて辺りも薄暗い。雷魔法を使った奴の正体も分からないし、何も手がかりもない。エルート、キャロは返事をする。テミアは俯き落ち込みながらも返事をして家に戻った。




