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SS_イベリスとグスターのマナー講座?

お久しぶりです(Tω)

「プロット作成はミスって大空で空中分解&墜落して修復不能」、「実生活でもバイクで事故って入院」、「そして続きを描けなくなった」3重苦の大馬鹿作者ですが――ちょっと元気になりました。

=イベリスの視点=


我の目の前で、1匹の狼耳娘がふさふさの尻尾をフリフリして喜んでいる。

ぱっと見た感じ17歳の我よりも幼く見える彼女の正体は、伝説の中に出てくる“星降りの魔神_スプリン・グ・スター・フラワー”らしい。言い伝えでは――人間や魔族を支配する無数の神々をその圧倒的な戦闘力で屠り、カリスマにより維持された同盟によって数多の国家を掌握し、200年前の人々に世界統一の夢を見させることが出来た――聡明な女王様だとされている。


事実、神々への反逆者とされているのに、星降りの魔神が登場する物語は、今でも人々の間で熱く語られている。時に英雄として、時に咎人として。

そう、“星降りの魔神_スプリン・グ・スター・フラワー”という存在は、良くも悪くも人々の記憶から消えない、伝説の存在なのだ。


……それなのに。我の目の前にいる、駄犬の名前は何って言うのだったかな?

「ふっふっふ~♪ グスターのテーブルマナーは完璧なのだ!!」

いやいや、ナイフを右手に持ったまま、ガッツポーズをするのはマナー違反だからね?

3回くらい教えたよ? 4回目が必要かな?

「おっといけない! 外交の場面では、おしとやかに(・・・・・・)――だよな?」

我の視線に気付いたグスターさんが、慌てた様子でテーブルにナイフを置く。

それでよろしい。


「……まぁ、一応、テーブルマナーは合格ということにしておきましょう。マナーの基本が、グスターさんが封印される200年以上前から変わっていなくて本当に良かったです。おかげで、所々古めかしい感じがしますが、半日とたたずにマナー講座が終わりましたね」

「うむっ♪ 美味しいお昼ごはんが待っている~♪ 美味しい午後のお菓子も待っている~♪ 美味しい番ご飯が待っている~♪ イベリス、本当にありがとうなっ!」

弾けるような、女の我ですら可愛いと感じる笑顔で言われてしまうと――「もう少しおしとやかにした方が良い」とか「威厳があるように振る舞いなさい」とは言えなくなる。


「いいえ、どういたしまして」

口で返事をしながら、頭の中で考える。

多分ミオさんは、“威厳のある女王様”とか“伝説の魔神”としてのグスターさんではなく、“普通の女の子”をしているグスターさんのことが好きなのだろうから――あえて我がグスターさんの性格に口を出す必要は無いだろう。

余計なことをして、ミオさんやグスターさん達に、嫌われたくはない。

それに、政治は我とレモンさんが何とか出来るから、グスターさんには得意分野(戦闘&物資輸送)で的確な行動をしてもらえれば大丈夫だと思う。

うむ、それが良い。でも、そうだとしたら――


「イベリス~。今日のお昼ごはんは何だろうな?」

話しかけてきたグスターさんの声で、我の意識が“思考の深淵”から現実世界に戻ってくる。

「そうですね……朝がお肉でしたので、塩漬けのお魚なんてどうでしょう?」

「お魚は良いな♪ 塩漬けはしょっぱいけれど、魚は美味しいからな」

「まだ決まりじゃないですよ? 我の勝手な想像です」

本当は、未来予知スキルがあるから、98%の確率でお魚に確定なのは知っている。例えば、焼いてほぐした身をサラダにあえたモノや、スープにした料理が視える。とはいえ、それを知ったらグスターさんはつまらないと思うかもしれない。


そんなことを考えていたら、グスターさんに右手をつかまれた。

「イベリス、ぼうっとしていないで、料理長にメニューを聞きに行くぞ! さぁ!!」

次の瞬間、グスターさんが、我の手を引っ張って走り出した。

ディルさんが憑依してから我のレベルは大幅に上昇したとはいえ、星降りの魔神であるグスターさんのスピードにはついていくのは、少しキツイ。

「ちょっ、ちょっと、待って、待って下さい!」


「待てない! お昼のメニューが待っているのだから!!」

「もう、仕方ないですね。我も本気で走りますよ?」

「よし、それじゃグスターも本気で――「やめて下さい、冗談です! 3%の確率で“引きずられて死ぬ未来”が鮮明に見えましたから! ディルさんから警告が入りましたから!!」――それもそうだな、ゆっくり歩いて行こう♪」


ああ、何だかもう、グスターさんには振り回されてばかりだ。

「ふふっ♪」

「ん? イベリス、何を笑っているんだ?」

「内緒です♪」

思わず口元が緩んでしまう。

振り回されているのに、それが楽しいだなんてとても言えない。

「気持ち悪いぞ?」

「きもちわる――怒りますよ!?」

「冗談だ――と言いたいが、実は本気だったりする♪」


悪戯っぽく笑ってから、グスターさんが我から距離をとる。

「こら~!」「に~げ~ろ~!!」

多分、グスターさんは、本気では逃げていない。我が追い付けているのがその根拠。

「もう、グスターさん、遊んでいないでお昼のメニューを聞きに行きますよ!? 遅くなっても良いんですか?」

「良くないな。イベリス、ごめん。許してくれ♪」


てへっといった感じで両手を合わせるグスターさん。本当に、この人は“伝説の魔神”なのだろうか? どう考えても“出来の悪い妹みたいな感じ”がして、なんだか放っておけないんだけれど。

「仕方ないですね、さぁ、行きますよ!」

グスターさんの手を取って、歩き出す。自然な動作で、自然な感情で、それが普通という感覚で。


そして気が付いた。

実の姉妹ですら暗殺を警戒する我が、実の妹にすら放っておけないという感情を持ったことの無い我が、こんなに無警戒で親しみが持てるなんて――グスターさんはかなり貴重な存在だということに。


「ん? イベリス、固まってどうしたんだ?」

「……ちょっと変なことを聞きます。……グスターさんは、我のことをどう思いますか?」

好きですか? 嫌いですか? 邪魔ですか? それとも――何も感じませんか? 路傍の石のように。


真面目な表情を浮かべているであろう我と視線を合わせて、グスターさんがゆっくりと口を開く。さっきまでの雰囲気とは違い、背中にぞくっと来るような、凄みのある真剣な顔をしていた。

「そんなの、決まっているだろ?」

小さな沈黙を作って、ニヤリと笑うと、グスターさんが言葉を続ける。

「イベリスとは、永遠の嫁仲間(ライバル)だ♪ グスターは負けないッ(≡ω)b」

グスターさんのドヤ顔と返ってきた言葉が“予想の斜め上”過ぎたせいで、思わず噴き出してしまった。


こういうところが、グスターさんの良いところなのかもしれない。

(前書きの続き)

……念のため、作者は“3重苦”ですが“39歳ではありません”のであしからず。


余談ですが、作者が元気になったきっかけは、10日前に“この小説は2カ月以上更新されていません”と表示され、何だか悲しくなったことです。グスターの物語が完結しないのは、なんか違うなと逆にやる気みたいなモノが出てきました。

1話1500文字程度でも良いので、なるべく更新するようにしていこうと考えています。


なお、しばらくは、リハビリとして「SS」を投稿予定です。ほんわかした話が続きますが……温かい目で見て頂けると幸いです。新連載の「ヤンデレ&ケモ耳娘多数といちゃいちゃする話」も更新中なので、よろしかったら見てみて下さい。

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