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第13話 付和雷同・先利後義

 やっとの事で2人を宥め、晩飯をありがたく頂いていると


「で、月乃さんはどうして此処にいるんですか?」


郁那が唐突に質問してきた。

月乃さんと呼んでいる辺りからすると、互いに自己紹介を済ませていた様だ。


「えっ、何でって此処に住んでるからだけど…」


郁那は月乃の言葉に驚きの色を隠せない、と言った顔で固まってしまった。


変な誤解を防ぐ為に少し言い足そう。


「実は父さん達と月乃のご両親がアメリカに仕事で行ってるんだ。それであの人達が一緒に住む事を勝手に決めて……あっ、だけど今はこっちが助かってるよ。……月乃といると楽しいし」


すると月乃が近付いて来て、如何にも嬉しそうに微笑んだ。

おもわず頭を撫でると気持ちいいのか目を細めている。


前方から殺気を感じ顔を向けてみると、怒りを顕にした郁那が僕を見下ろしていて。


「光兄ぃ…そんな事、何で言ってくれないの!!」


彼女はかなり御立腹の様です。

もう少し詳しく言うべきだったのでしょうか?


「私だって一緒に暮らしたいんだよ!」


………へっ?


「そんなんで、私も此処に住んでもいいよね?」


……ん、郁那何て言った?

此処に住む?

ああそうか……って何言ってるのこの子は?


「郁那、ちょっと待とうよ、ね?」


僕の宥めは意味を為さない様で、郁那はいいよね、とぐいぐい引っ張ってくる。


月乃、助けて。


月乃に目で合図すると気付いてくれたみたいで、


「郁那ちゃん、ちょっと落ち着こ。光ちゃん、混乱してるよ」


 と言い、郁那を僕から引き剥がした。

何故に剥したのかは不明であるが。


「へっ?あっ本当だ。ごめんね光兄ぃ」


ふぅー……。

月乃、ありがとう。

この借りはいつか返すよ。


「郁那、そう言う事はいけないと思うんだ。それに久遠さんと悠希さんだって許さないでしょ?」


「それはお母さん達が許してくれたらいいって事だよね。じゃあちょっと電話借りるね」


郁那はそう言うと軽快な足取りで電話の前に行き、受話器を取った。


「………あっ、お母さん、私だよ。うん、そう光兄ぃん家だよ」


呆れて苦笑いしていると、月乃が話し掛けてきた。


「何だかややこしい事になってきたね…」


「うん…そうだね…。だけど多分大丈夫だよ」


僕の言葉が良く理解出来ていないのか、月乃は首を傾げている。


「………そう、うん、うん。分かった。うん、じゃあね」


郁那は電話し終わると浮かない顔の様で浮かれた顔の様な微妙な顔でこっちに歩いてきた。


「光兄ぃあのね、お母さんはいいって言ってくれたんだけど、お父さんが…」


思った通りだ。

久遠さんは許さないと思ったんだよね。


「じゃあ仕方ないけど、ちょっと無理「でね、私が引き下がらないで頼んでたら、こっちに引っ越そうか、だって」


ああ…はい。

あの微妙な顔はこれね。


「もちろんそうしたいって言ったら、ゴールデンウィーク中に探して明けには引っ越すって」


目前には今にも飛び上がりそうな郁那。

横には安堵の表情を浮かべた月乃。


 何で月乃がほっとしてるのだろう?

謎は深まるばかりです。


そういえば、郁那は高校どうするのだろう?

そんな疑問が生まれ聞いてみた。


「郁那は高1だよね?高校は何処にするの?」


しかし郁那からの返答はなく、高校は何処かと質問で返って来た。


「渚高校だけど…」


「じゃあそこで」


……随分と適当なんですね…。


「渚高って進学校だけど、郁那ちゃん大丈夫?」


月乃の問いにええ、と笑顔で郁那は答える。


でも簡単に入れる訳じゃないよな…。

何かないかな?


ピンポーン


考えていると突然チャイムが鳴る。


月乃が出て行こうと立ち上がったが、それを制して玄関に向かった。



扉を開けると、肩に竹刀を乗せた爺ちゃんが。


「久しぶりじゃの、光。元気にしとったか、おなごにちょっかいでも出しとったか」


うぎゃあー!!

爺ちゃんだぁ!!

殺される、殺される!

逃げなきゃ!!


 「何を言っておるんじゃ、殺しはせんぞ。半殺しにはするかもしれんがの」


 半殺しにはするんだ…。

はははっ……はぁ…。

って、心読んだよ、この人。


 「まあこんな所で立ち話もなんじゃから、とりあえず上がるぞい」


 爺ちゃんはそう言うと、ズカズカ家に上がってきた。



「……ふむ、そう言う事かの」


こう言う時は老人の知恵を借りようと事情を説明すると、爺ちゃんはおもむろに立ち上がり、電話をかけ始めた。


「どうしたんですか?」


「ちょっと知人に電話をするだけじゃよ。すまんが少し静かにしていてくれんかの」


「………皓一じゃが、雨琉うりゅうはおるかの?ん、雨琉か、久しいの。それでなんじゃが……」


爺ちゃんは“うりゅう”という人に電話をしている様だ。


「ああ、頼むぞ。ん、楽しみに待っておる。それではまたの」


爺ちゃんは受話器を置くと、郁那に話し掛けた。


「郁那、渚高の転校大丈夫じゃぞ。テストも受けなくていいそうじゃ」


「本当、お爺ちゃん!ありがとう♪」


郁那は爺ちゃんの腕をぶんぶん揺さぶっている。


いやいや何したのよ、この人。


「なあに、校長にして理事長の親に話しただけじゃぞ。光も知っておると思うがの」


あっ、そういえば爺ちゃんと校長は親友だったっけ。

でもそんな事していいのか?


「光は頭が堅いの。もう少しズル賢く行かねば、この世の中やってけんぞ」


そうだった、この人の座右の銘は

『先義後利でなく先利後義』

らしいから…。

勝手に四字熟語を作っちゃいけませんよ…。


まあいいや。

郁那が渚高に入れる訳だし。


「ねえお爺ちゃん、渚高校って何で渚なの?ここら辺って波打ち際何てないよね?」


余計な思考を止めお茶を啜っていると、郁那が手を顎に置いてそう聞いた。


確かにそれは僕も疑問だった。

燈陵は桜の名所なのに何で渚?と去年は考えていたのだ。

結局答えは出なかったけど。


「そんな事かの。ふむ、じゃあ昔話でもするとしょうかの」


爺ちゃんはそう述べた後、一息吐いて重々しく口を開いた。


「あれは儂が胎児だった時の話しじゃ…」


つまらない冗談はやめようよ…。


皆さん、ご無沙汰しておりました。


気付けばこの小説を書き始め、早1ヶ月が過ぎています。


今でも文章力の向上が見られない私ですが、これからもどうぞ宜しくお願いします。


尚、今後は1週間に1度は投稿したいと思っています。

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