VR世界へ
難産です。
政府云々の下りは書き直すかもしれないです。
脳過病患者は病院に収容されると、まず外へ出ることができなくなる。
これはもちろん患者を一般人と接触させない為だが、さて、これまで普通に過ごしてきた人間が、食事や娯楽では優遇されるとはいえ、これからの人生を病室から出ないで過ごせと言われて納得できるだろうか。
一昔前では、ひきこもりと呼ばれるような生活をしていた人もいたが、それは結局、引きこもって心の整理なり現実逃避なりをしていただけで、一生外へ出ない生活を送るかといえば、それは否だろう。
さて、脳過病患者は、思考レベルが上がった人達であり、それはもちろん暇つぶしの手段に乏しい、ということになる。
考え事やネットを通したボードゲームも、一般の人と比べ圧倒的な情報量の思考を行えるため、マンネリ、飽きが起こりやすい。
もちろん患者の中にはその思考力を生かし、圧倒的な深さと質のファンタジー小説を出版したような人物もいたが、病院から出ることができない以上、お金があっても使い道がなく、結局作者本人には娯楽以上のモノのはなりえなかった。
このような娯楽に乏しく、外の自然に触れる機会が皆無な患者達にとって、ほぼ際限のない娯楽と、バーチャルとはいえ他人と会話でき、自然と触れ合えるVRの世界は、まさに憧れの楽園であった。
直接人と向き合うわけでもなく、声も機械を通すため、通常と比べて圧倒的に相手の感情が読みづらいため、世間としても「これくらいなら」と許可を出しやすいのだった。
というか、政府に脳過病患者のVRゲームの使用を認めさせるために数多くの患者が結託し、政府としても認めざるを得なかったのだ。
そんな背景があり、多くの脳過病患者達は、バーチャルの世界へと生活の起点を移すことになるのだった。
魔王「やっと次回からVRか」