Es「晩夏の三日月を見上げ杯を交わす二人」
200文字小説企画「Es」の参加作品です。
批評をいただき、それに基づいてそれっぽく改定しました。
夜、秋も近づき涼やかになった風の元で、
霞が架かり朧気な三日月を眺めながら、
二人は縁側に腰掛ける。
「随分と久しぶりだね、君とこうしてお酒を飲むのは」
浴衣を着て大和撫子を体現した様な女は、
隣に座る同じく浴衣を着た男にそう話しかける。
「一年ぶりだからな、随分と綺麗になったもんだな」
男は徳利から酒を注ぎ、その水面に月を這わせてから女を見る。
「まぁこれからは毎日、でしょ?」
「勿論、だから最初の――」
――乾杯