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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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冷凍ジャングル

作者: 時輪めぐる
掲載日:2026/08/29

冷凍ジャングルには、夥しい数の獣が存在している。


「僕のことはPと呼んでくれる?」


「ハイ! 俺はBだ。よろしくな!」


 一か月前に知り合った、大きな体のBは、陽気で話しやすい奴だ。海外から来たと言っていた。


 摂氏マイナス20~30度の中で、僕たちは殆ど動かない。というか動けない。たまに、誰かがいなくなり、新しい誰かが加わる。


 僕には、ここを去る前に叶えたい夢があった。


 極寒の中で、強張った体を回転させたい。自分の意志で。


 そう、限界への挑戦だ。


「僕の夢を聞いてくれるかい?」


「おお! 君の夢、聞かせて!」


「僕は、六回転を成功させたいんだ」


「六回転!? ワオ! 今は四回転半が限界なのに、クレイジーな奴がいたもんだ! 俺は好きだぜ!」


「ここに来てから、ずっと練習していたんだ。ごめんよ。眠れなかった?」


「全然、大丈夫!」


 皆が寝静まった夜、少しずつ体を動かし、揺れ始めたら、回転を加えていく。丸々とした僕には中々難しかったが、一回転できるようになった後、コツを掴んだ。


先日、ようやく五回転できるようになった。


「明日、六回転に挑戦しようかと思うんだ。ここを去る時が近い気がするから」


「夜中に、ずっと練習してたよな。君ならできる。俺は信じてる。明日、楽しみにしてるぜ!」


 翌日の早朝、僕がBに六回転を披露している時、扉が開いて白衣の人間が入って来た。


「あれ、回転してる。何でかな」


 人間は、タブレットを確認する。


 僕は、他の仲間と共に、加工場に運ばれていく。


 バイバイ、B。夢が叶い、しかも、それを目撃してくれた奴がいる。


 僕はとても満足だった。


 


 ここは冷凍ジャングル。




                   了



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