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虐げられていた私を引き取ったのは、王国騎士団元帥でした!  作者: 青空一夏


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16 ここから始まる未来へ 

 彼は満面の笑みを浮かべた。

「なんと……あなた様が新しい当主様ですか。存じ上げていなかったです。就任したばかりであればこちらに知らされないのは当然のこと。改めてお見知りおきを……引き続き新しい当主様のために誠心誠意仕えてまいります」


「畑で女性に鞭を打つ領地管理官など要らないんですが……」

 オフェリーが言い出すと、ピーターは慌てて弁解を始めた。


「鞭ですと? いやいや、そのような指示を出した覚えはありませんよ。おそらく監視役の勝手な判断で……」


 騎士に突き出された監視役が、大声でわめく。

「ふざけるな! あんたが言ったんだろうが! 『休ませるな、使い潰しても構わん』って!」


「な、何を言い出すんだ! この男は虚言癖がありまして……」


「虚言だと? だったら作業指示書を見せてやるよ! “代えはいくらでもいる。休ませる必要はない”そう書いてある。監視役の休憩所だ、引き出しに全部残ってるぞ!」


「黙れ」

 ピーターは焦ったような顔で怒鳴る。


「私の部下を付き添わせる。持ってこい」

 トリスタンは監視役に命じた。


 ピーターは訝しげにトリスタンを見て、その身分を問いただした。ギラマン公爵の名と、オフェリーの後見人であることを告げられた途端、彼の態度は一変する。

 先ほどまでの余裕は消え、腰を低くし、媚びるような笑みを浮かべた。


 やがて 監視役が種類を持って戻る。指示書に押されたサインを問い詰められた瞬間も、ピーターは見苦しく責任を逃れようとした。

 自分は知らなかった、細かい運用は現場に任せていた、鞭など命じていない。

 だが、どちらでも同じことだ。

 命じていたのなら言うまでもない。命じていなかったのだとしても、この惨状を把握できていなかったことは無能でしかない。


 オフェリーは冷えきった目でピーターを見た。

「……もう言い訳はいらないです。あなたを総括領地管理官のままにはしておけません。不正に蓄えた財産はすべて没収します。それから、あなたにはサリム管理官を殺害しようとした疑いもあるんですよ」

 その一言で、ピーターはびくりと肩を震わせた。


 サリムを襲った男たちが前に突き出される。いずれも縄で縛られたままだった。

 この件についてもピーターは 否定するが、男たちが自白してしまったので、認めざるを得ない状況になっていた。

「……地下に、人がいるんですよね? 案内してください」

 オフェリーの問いに、ピーターがびくりと肩を震わせる。


 屋敷の地下、暗い通路を進み、やがて重い扉の前で足が止まる。

 開けられた扉の向こうには、薄暗い空間が広がっていた。

 そこにいたのは、痩せ細り、怯えた目でこちらを見る人々だった。

 オフェリーは一瞬だけ息を呑む。

 それでも、すぐに歩み寄った。


「……大丈夫です。もう、怖がらなくていいです。ここから出られますよ」

 できるだけやわらかく、そう声をかけた。

 その言葉に、誰かが小さく泣き声を漏らした。

 オフェリーはその光景を見つめ、新たな決意を固めた。


(こんなこと、二度とさせない。これからは私がヴィダル伯爵領を守るんだ!)


 その後、ピーターと監視役・サリムを襲った男達は、最も厳しい鉱山へと送られた。新たな領地管理官が選ばれ、大農園の経営も信頼のおける別の者が引き継いだ。


「私、これからますます、一生懸命勉強しようと思います。そして将来きっと立派な領主になってみせます。お父様のように」

 ギラマン公爵領へと戻る馬車の中で、オフェリーがそう言うと、トリスタンは嬉しそうに笑いかけた。


「そうだな、頑張れ。オフェリーならきっとできるさ。もう少ししたら王都の学園にも通うことになるし、新しい世界も開けるだろう」


「俺の方が年上だからな。一足早く学園の寄宿舎に入るよ。お前が困らないように、先に整えておくから安心して来いよ」

 ダリルがそっと手を握った。


 オフェリーは期待に胸を膨らませた。

 これから始まる新しい日々へと、まっすぐに目を向けながら。



完結




❀┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❀

ここまでお読みいただき、ありがとうございました<m(__)m>

本作はこの形で一区切りとさせていただきます。

もし楽しんでいただけましたら、ポイント☆で応援していただけたら嬉しいです。

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