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バーサーカー、推しである悪役令嬢の破滅をぶっ壊す  作者: おとら@9シリーズ商業化


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ヒロイン視点

……私は一体、どうすれば良かったのだろう?


もうすぐお別れになる部屋の窓から外を眺める。


でも、答えは一向に出てこない。


「私はただ……殿下に良き王になって欲しかった。確かに大変なことも多いけど、私はそれを全力で支えるつもりだったのに」


物心ついた時には殿下の婚約者となり、人生の大半を生きてきた。

王太子の婚約者として様々な勉強をしたり、他国に行って挨拶をしたり。

殿下が恥をかかないように、見た目や所作にも気を配ってきた。

それなのに会えば文句ばかりで、最終的には……この有様。


「何か、私が間違ってたのかな?」


いつのまにかあの子が殿下に近づいていて、確かに私は注意をした。

だけど神に誓っていじめなどはしていない。

なのに何もかも私がやったことになっていた。


「まるで、そうなるのが決まっていたかのように……」


お父様とお母様も抗議したが、仕事相手の家々はどんどんうちから離れていった。

王太子に婚約破棄されたのだから仕方のないことではある。

ただ、二人に申し訳ない。

そのせいで、我が家は多額の借金を背負うことになった。


「っ……嫌だ」


あんな男に嫁ぎたくない。

自分の親よりも年上なのに、いつも私を舐め回すかのように見てきた。

だけど、多額の借金を返すには同じく公爵家である彼を頼るしかない。

そう思うと、泣きたくないのに涙が溢れそうになる。


「いっそ、誰が連れ去って……ううん、無理ね」


王太子に婚約破棄された私なんて、誰も貰ってくれるはずがない。

私が可愛げがないのは事実だし、身体は好まれても私自身に惹かれる人はいなかった。

そもそも、そんなことしたらお父様とお母様に迷惑がかかる。


「……明日、あの脂ぎった公爵と会うのね」


おそらく私はろくな扱いを受けず、愛人のような感じになるだろう。

嫌悪感から身体が震えてくる。

そして頭の中をずっと『どうして?』『嫌っ』という言葉がぐるぐるする。


「相手があのアイク殿のような方だったら良かったのに……って私ってば何を!」


私は殿下の婚約者で……もう違うけど、他の男性に目移りするような真似はしてない。

でも、あの時……物凄く素敵だったなとは思う。

すると、ドタドタと足音が聞こえてきた。


「「セレナ!」」


「お父様? お母様?」


珍しく二人は慌てた様子で、息を切らしていた。

私が戸惑っていると、二人から強く抱きしめられる。


「あ、あの……」


「すまなかった! もうお前があいつの嫁になる心配はいらない!」


「そうよ! 本当に頼りない親でごめんなさい!」


「え……? ど、どういうこと?」


「だから! もう良いんだって!」


「そうよ! うぅ……」


聞き間違えかしら? もう、嫁に行く必要はないって。

ううん、ぬか喜びはダメ。

ほんとだとしても、両親が無理をして借金したとかだったら大変だ。

私は深呼吸をしてから、改めて両親と向き合う。


「お父様、お母様、詳しく話してください」


「そ、そうだな、私としたことが」


「確かにあまりの出来事に慌てちゃったわ」


「ではソファーに座って話すとしよう」


そうして席に着き話を聞くと……それは驚愕すべきことだった。

なんと、あのアレス殿が借金を全て立て替えてくれたという。

正確にはアスカロン辺境伯家ではあるが、彼は私財をほぼ投げ売ったとか。


「な、なぜでしょうか?」


「何でもご迷惑をおかけした詫びだそうだ」


「流石に辺境伯家から出たお金は返して欲しいが、自分の私財については気にしないで良いと。更に利子とかもいらないから、ゆっくり返してくれたらいいって言ってくれたそうよ」


「そ、そんな、助けて頂いたのは私なのに……」


不敬ではあるが、アレを見てスッキリした自分がいたから。

もしかしたら、私が手を上げていたかもしれない。

私の代わりに殴ってくれたのに、どうして助けてくださったのだろう。


「そうなのだよ」


「そ、それで、アイク殿は? 私もお礼を言わないと……」


「そういうのは良いと、既に王都を出て行ってしまったらしい。私達も国王陛下から聞いただけで、彼と直接会ったわけではないのだ」


「本当に噂通りの騎士道に溢れる殿方みたいね。私達に会うと礼を言われてしまうので、それはご遠慮願いたいと。ただ貴女に謝罪と、次の幸せを見つけてくださいと伝言があったわ」


なんということだろう、未だにそのような殿方がいるなんて。

なぜだか、胸の奥が熱くなってくる。

さっきまでの絶望感から一転して、まさかこんなことになるなんて。


「で、でも、何かお礼をしたいです」


「うむ。我々も何かお礼をせねばと思ったのだが……」


「私達に出来ることは早く借金を返すことくらいしか……」


確かにうちにはお金がない。

あのアイク殿のことだから、勲章とか爵位はいらないだろう。

そうなると、本当に我が家にはできることがない。

私が悩んでいると、お父様が何かを思い出したように手を叩く。


「そういえば……かの家は父親が身体を悪くしていて、アイク殿が早めに後を継いだとか。戦争で家臣も減り、中々に人手不足な状態とか」


「だったら……私がお手伝いに行っても良いでしょうか? 何かお礼をしないと気が済みません」


「確かに貴女は回復魔法の使い手でもあるわね。それに、人の目があるから暫く王都を離れるのも良いわ」


「幸い、これから夏休みに入る……うむ、早速陛下に聞いてみよう」


この胸の熱さが何なのかはわからない。


でも、このまま何も言わずに享受するなんて私には無理です。


アイク殿のお役に、少しでも立てたら良いのですが……頑張りましょう。

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