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バーサーカー、推しである悪役令嬢の破滅をぶっ壊す  作者: おとら@9シリーズ商業化


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手作り弁当

見張り小屋の表にあるベンチに座ると、眼下には草原が広がる。


その中を日差しを浴びたオルトスが駆け抜け、背景にある山々と共に目に入った。


それは何だが神秘的で、思わず見入ってしまうほどだ。


「綺麗ですね……」


「ああ、そうだな」


「あの山々を越えた先がヴェルダンでしょうか?」


「その通りだ。あの自然の要塞である山があるから、彼奴らは川を渡って攻めてくるしかない」


ヴェルダンがうちに侵攻するには方法が限られている。

それもあって、我が家だけでも守りきることが出来ていた。

基本的には川を渡ってくるので、発見することは難しくはない。


「今も、戦っているのでしょうか?」


「大きな戦闘はないが、小競り合いくらいは日常茶飯事だ」


「そうなのですね……王都や都市の平和は、それによって保たれている。改めて、アスカロン家に……いえ、アイクに感謝します」


そう言い、じっと見つめてくる。

嬉しいが照れてしまうので、話を変えることに。


「それより、食べていいだろうか?」


「えっ? ……もちろんです。ただ、期待しないでくださいね?」


すると、恐る恐る網状のボックスを取り出す。

その形状から、中身が何か察する。

開けると、予想通りにサンドイッチが入っていた。


「うん? 普通に美味そうだが?」


「そ、そうだといいんですけど……」


「とりあえず、食べていいだろうか?」


「はいっ、どうぞ召し上がってください」


なんだ? 目を瞑ってしまったが……もしやめちゃくちゃ緊張してる?

もしかして、セレナ様は『そういうキャラだったか?』

いや……例えドブのような味がしようとも、推しが作ったものなら死んでも食べる。

意を決してタマゴサンドから口に含むと……普通に美味かった。


「美味いな」


「ほ、ほんとです? 嘘はダメですよ?」


「嘘などではない。どれ、他のも食うか……ハムも美味い」


確かに見栄えはお世辞にも良いとは言えない。

形は何だが歪だし、具がはみ出ている。

サンドイッチの味付けなども大雑把だが……ちゃんと一生懸命作ったのがわかった。

公爵家の姫なので、きっとそんなに経験などないはず。

それでも作ってくれたことが嬉しいではないか。


「……っ」


「……何故泣く?」


「ご、ごめんなさい……違うんです」


こ、こういう時はどうすれば良いのだ!?

慰めるにしても、俺はもちろん前世の俺も経験値が浅い。

ええい! 前世の俺も役に立たん奴だ!

……ただ、何もしないのは男としてダメなのはわかる。

俺は意を決して、彼女を優しく抱きしめた。


「大丈夫だ、ここには俺しかいない。何が原因かわからないが、吐き出したければ好きにすると良い」


「アイク……ありがとうございます。そうですね……私は手料理などしたことがない家柄でした。だけど、王太子様が手料理を食べたいって言うから頑張ったんです。だけど、不味くて食えたもんじゃないって。あの子はちゃんとした料理作れるぞと……目の前で捨てられました」


「っ……!」


その瞬間、俺の怒りがピークに達する。

あのクソ王子、やはり拳1発では足りなかったか。

今度会ったらタダじゃすまんぞ。

そもそも、公爵家の姫と成り上がりの子爵令嬢を一緒にするのが間違ってる。

あっちは日頃からやってるし花嫁修行するだろうが、セレナ様は王妃になるための勉強をしてきたのだから。


「はっ、そりゃ見る目がないな。こんなに美味い飯を食わないとは」


「……ふふ、お世辞でも嬉しいです」


「言っておくが、俺はこの世で一番お世辞が苦手だ。そもそも、そんな器用な男なら王太子を殴ってなどいない」


すると、俺から離れて分かりやすく『きょとん』とした顔をする。

そのまま見つめていると……一転し破顔した。

それはとても魅力的で、心臓を鷲掴みにされる。


「……もう、アイクってば。でも、確かにそうですね」


「……ああ、だから素直に受け取ると良い」


俺は誤魔化すようにサンドイッチを食べ進める。


時折顔を上げると、セレナ様がニコニコと眺めていた。


それも見て思う……やはり、女の子は笑っている姿が一番だなと。

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