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バーサーカー、推しである悪役令嬢の破滅をぶっ壊す  作者: おとら@9シリーズ商業化


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新しい日常

……朝か。


記憶を思い出したとはいえ、習性というのは恐ろしいものだ。


朝六時の金が鳴る前に、勝手に眼を覚ます。


「前世の時は目覚ましを止めるのが億劫だったというのに」


そもそも、今更だが身体のスペックが違いすぎる。

若さもあるが、この身体に疲れなどほとんどない。

それもあって、あまり前世のことを意識することがないのかもしれない。


「本当に、なんで思い出したやら……やはり、セレナを救うためだったのか」


だとしたら、今の状況にも納得がいく。

結局、彼女は危険なままだ。

ならば、それを排除せねばなるまい。


「……そういえば、ストーリー上のアイクはどうなったのだろう?」


ゲームには名前しか出てこなかったな。

無論、俺が知らないだけかもしれないが。

しかし、アイクほどの立場の者が何も出てこないのは少し違和感がある。


「まあ、恋愛ゲームだしそんなものか……ひとまず、鍛錬あるのみだな」


何となく嫌な予感がするが、何は無くともまずは強くなる。

俺はいつも通り顔を洗ってから庭に出て、一心不乱に木剣を振るう。

そのまま振るっていると六時の鐘が鳴り、辺りが完全に明るくなってきた。


「ふぅ……セレナ、おはよう」


「お、おはようございます……あの、これ」


「ああ、ありがとう。しかし、こんなメイドみたいなことをしなくても……」


縁側に座ってセレナ様から水とタオルを受け取るが、未だに戸惑ってしまう。

ここに来てから一週間が経ったが、彼女はこうして俺の世話を申し出た。

どうにか断ろうとしたのだが……あまりのお願いに負けてしまった。

いつもオドオドしてるし、視線も合わないから乗る気ではと思っているのだが。


「いえ! これくらいはさせてください!」


「まあ、セレナがいいなら」


「はい、お願いします……うぅー、上半身裸が慣れないです……」


「ん? どうした?」


「い、いえ! 何でもやりますから!」


俺が受け入れたのも、彼女がこうなったのには少し訳がある。

彼女が仕事を欲しがったのもあるが、俺の父上が原因だ。

実は回復魔法をかけてもらったのだが、大した効果がなかった。

それで彼女は落ち込んでしまい、それを紛らわす為にサーラが提案したというわけだ。

俺達は気にしなくて良いと言ったが、生真面目な彼女はそういうわけにいかなかったらしい。


「さて……何か生活に困ったことはないか?」


「皆さん、とてもよくしてくれますので……ただ、何故かお姫様扱いなのが」


「それは当然だろう、貴女はまごう事なくお姫様だ。こんな田舎では見ないくらい上品で綺麗だしな」


「そ、そういう意味ではなくて……上手く言えないのですが、暖かく見守ってるといいますか」


「ふむ……何だろうな。気になるなら聞いておくか?」


「い、いえ! そこまでは……あっ、時間ですね」


通路にある時計を見ると、六時半を指していた。

今更だが、この世界はゲーム世界。

流石に近代文明的なものはないが、それなりに発展はしてるので日用品には困らない。

魔石という魔法を込めることができる石もあり、前世の記憶が蘇った今も不自由は特にないのは助かる。


「ああ、では行くとしよう」


「はいっ」


「今日の予定は何だったか?」


「えっと、午前中はサーラさんのお手伝い……雑務的なものですね。午後はまだ決まってない感じです」


「そうか。あまり無理はしないで良い」


そのままセレナ様を伴い、日課となった朝の食堂に向かう。

最初は弄られもしたが、睨みつけて黙らせた。

誰が奥様候補だ、セレナ様に失礼だろ。

指定席に座り、共に静かに朝食を取る。

それが終わると、サーラがこそっと耳打ちをしてきた。


「兄さん、ちょっと良い?」


「どうした?」


「ん……セレナさん、ちょっと無理してる感じ。だから、何か気晴らしになるものを考えて」


「わかった。しかし、何をすれば……」


「そんなの兄さんがお出かけに誘えば良い」


「俺で良いのだろうか? 女性であるお前の方が気を使わなくて……痛いのだが?」


何故か足を踏まれている。

更にはジト目で睨みつけられた。


「兄さんのアホ、鈍感、馬鹿」


「……酷くないか?」


「ん、そんな事ない。ほら、セレナさん待ってる」


振り返ると、セレナ様が首を傾げてきょとんした顔をする。

俺はその自然体の可愛さに、悶えそうになった。

全集中力を高めそれを抑え込み、セレナ様に近づく。


「セレナ……良ければ、午後は一緒に出掛けるとするか」


「っ……はいっ」


すると、花が咲いたように微笑む。


それをくらって、俺は耐えきれずに膝をつくのだった。


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