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バーサーカー、推しである悪役令嬢の破滅をぶっ壊す  作者: おとら@9シリーズ商業化


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ヒロイン視点

……デートだなんて。


恥ずかしくて、その後のことは覚えてない。


気がついたら屋敷に戻っていて、アイクに失礼な態度を取っちゃったかな。


「うぅー……でも、そんなつもりはなかった。ただ、一緒にお出かけっていうか」


買ってもらった人形に顔を埋めて、ベッドの上でゴロゴロする。

はしたないけど、そうしないとどうにもならない。

このもどかしい気持ちはなんなのだろう?


「確かに王太子様と二人で出かけたこともあったけど、王太子様と会った時は感じたことない……」


ドキドキして、それでいて少しの安心感?

隣にいてもそんなに話すわけじゃないけど、別に気まずいわけじゃない。

それどころか、少し楽しい。


「……わからない」


だって男の人にあんな風にエスコートされたことない。

いつも女は後ろを歩けとか、俺より目立つなって言われてきた。

アイクはなんというか……暖かく見守ってる感じがする。

歩くスピードもあわせてくれるし、こちらを気遣ってくれた。

すると、ドアをノックする音が聞こえた。


「セレナ、少し良いかな?」


「はい、お父様。入って大丈夫ですよ」


「失礼……おいおい、なんだその格好は?」


「へっ?」


慌てて起き上がり鏡を見ると、そこには髪がボサボサな私がいた。

寝転がっていたら、どうやら寝癖みたいになってしまったらしい。


「ご、ごめんなさい」


「まあ、お前は完璧が過ぎるから丁度良いか……アイク殿とのお出かけは楽しかったかい?」


「は、はいっ! アイクって凄く落ち着いてるっていうか……紳士的で大人っぽいです」


「それは私も感じたな。噂ではもっとやんちゃというか、威圧的な人物だと聞いていた。しかし、実際は男の中の男といったところ……ダメだな、噂など当てにならん」


「そうなのですね。でも、可愛らしいところもあるんですよ?」


女性や子供に対してどう接して良いのか戸惑ってたり。

それでいて、冗談なんか言ったり。

それに……プレゼントを買ってくれたり。


「ほう……良い顔だ。これなら、安心して娘を任せられる」


「お父様?」


「いや、連れてきて良かったと思っただけさ……お前には苦労をかけたな」


そう言い、娘である私に頭を下げてくる。

そんなことは初めてだった。


「お父様が謝ることじゃないです!」


「いや、アレの導き方を間違えた私達大人の責任だ。お前はしっかりしてるから、手綱を握ってくれると思ってしまった」


「……いいえ、私の力不足でした。でも、ありがとうございます」


「まあ、あんな男は忘れるとして……ここに残るで良いんだな?」


お父様は明日にはここを発つ。

一人なのは不安かと思っていたけど、今はそんなことはない。

それはアイクが言ってくれた嬉しい言葉があるから。


「はい、何が出来るかわかりませんがお役に立ててみせます」


「頼んだぞ。我々も家を立て直し次第、改めて礼をするとしよう。それで、何か案はあるのか?」


「一応、回復魔法が使えるので前当主様の様子を見ようかと」


「確かに彼の方が良くなれば……ふむ、それよありか。では、私は話があるのでな」


そう言い、慌ただしく部屋から出て行く。

私は何だったのだろうと思いつつも、再び今日のことを思う。

お父様に聞かれて自覚した。


「私、楽しかったのね」


デートかどうかというより、そっちに驚いてしまった。

楽しいって感覚を久しく忘れていたから。

ずっと気を張ってきたから気づかなかったわ。


「……楽しんで良いのかな?」


王太子を導くことも出来ずに、借金まみれになった私が。

お父様達は帰ってからも大変だというのに。


「ううん、だから私はここに来たんじゃない。アイクに、救ってもらったお礼をするために」


私は両頬を叩き気合を入れる。


楽しむのは後回しにして、まずは何とかお役に立って見せないと。


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