21.大護の特別授業
梼木の勤める小学校にて、大護が漁師として授業をした時のお話。
梼木:漁師さんのお仕事について、みなさんよくわかりましたね。
大護:質問があれば、なんでも答えます。遠慮なくどうぞ。
梼木:質問のある人はいますか?
児童A:はい。ここ数年の有明海の海苔の不作について、漁師さんはどう思われますか?
大護:質問のレベル高!?
梼木:どうお考えですか?
大護:え、あ、えっと……不作の原因はいくつかあると思います。地球温暖化もそうですし、海苔の栄養不足もあります。潮の満ち引きが起きづらくなると、砂の下にある栄養が上手く上がってきません。プランクトンが異常発生していて、綺麗にするための二枚貝……アサリなんかを撒いて対策はしていても足りません。自分は海苔漁師ではないですが、もちろん無関係だとは一切思わないです。綺麗で栄養のある水を海に送れるように、陸での活動もしています。例えばゴミ拾いとかです。みなさんも、美味しい海鮮をずっと食べられるように、ゴミを見つけたら拾ってもらえると、漁師さんは嬉しいです。
児童A:ありがとうございます。
児童B:はい。お魚が苦手なんですけど、どうしたら好きになれますか?
大護:(よかった。子供らしい質問だ)生や焼きや蒸しや揚げなど、魚はいろんな食べ方で楽しめます。少しでもいいので、食べてほしいです。自分で釣ると、美味しく食べられるかもです。
児童B:動いてるの触れないです。
大護:なら、見てるだけでもいいです。釣りをしてる人を捜してみるのはどうですか? 漁師さんはプライベートでも釣りをするので、見かけたら声をかけてください。あと、魚は頭にいいです。漁師さんみたいに立派な大人になれます。
児童B:頭いいんですか?
大護:……はい。
児童B:先生。この人、嘘ついてると思います。
梼木:嘘はダメですね。
大護:……はい。
梼木:でも、頭にいいのは本当です。今日のお話をきっかけに、食べられるようになるといいですね。ほかに質問はありますか?
児童C:はい! 漁師さんの好きな魚料理はなんですか?
大護:奥さんの作るものならなんでも大好きです!
児童C:ラブラブですか?
大護:ラブラブです!
児童C:ヒュー、ヒュー!
梼木:質問が終わったのなら座りましょう。漁師さんも真面目に!
大護:(真面目に答えたのに……)……はい。
梼木:お疲れ様。今日はありがとう。
大護:よかよか。こっちも楽しかったけんね。ばってん、海苔の質問された時は焦った。最近の子供は難しいこと訊いてくるんだな。
梼木:学校で教えなくても、動画とかで勝手に学んでくるんよ。話し方も大人みたいだったでしょ。
大護:学校の先生は大変だ。
梼木:それより、暾君、教えるの上手だったね。
大護:だろ? 実音に聞き役になってもらって練習したんだよ。
梼木:だからかぁ。暾君にしてはよくできとるなぁって思ったんよ。
大護:ん?
梼木:海からよく話は聞いとったけんね。同じクラスになったことなくても、暾君のおマヌケエピソードはいくつも知っちょるよ。
大護:あいつ……。
梼木:期待しとらんかったけん、いつでもフォローする準備したのにいらんかったね。
大護:俺、やればできる男やけん。
梼木:はいはい。……あ、暾君の前に東君にも特別授業お願いしたって聞いた?
大護:ああ。あいつにもアドバイスもらった。
梼木:彼の方が児童の反応よかったよ。女の子たちはメロメロだし、男の子たちもいろんな雑学に興味津々って感じで。……あれに比べたらまだまだだね。
大護:それ言う必要あったか!?




