16.先輩たちへ贈る曲
プリンスたちが卒部式について話し合っている時のお話。
プリンス:じゃあみんな、卒部式で先輩たちに歌いたい曲、どんどん挙げていって。
村里:はい!
プリンス:(村里はそっち側なの? 部長なのに?)
村里:はいはい! はい!!
プリンス:……村里。
村里:『旅立ちの日に』!
プリンス:それは卒業式のやつだよ。
村里:『仰げば尊し』!
プリンス:それも。
村里:『三月九日』!
プリンス:時期がちょっとね。村里以外は?
北浦:はいはい! はい!!
プリンス:……北浦さん。
北浦:『道化師のソネット』!
プリンス:あぁ。それならいいね。
北浦:あと『案山子』! 『風に立つライオン』! 『長崎小夜曲』! 『Birthday』! 『北の国から』! 『いのちの理由』! 『広島の空』! 『防人の詩』! 『償い』! 『無縁坂』! あとーー。
プリンス:ちょっとストップ! 全部同じ人なんだね。どれもいい曲だけど、後半重いし暗いよ!
北浦:今のは有名どころです。まだまだ言えますよ?
プリンス:もう大丈夫。ありがとう。で、村里と北浦さん以外の意見は?
文:校長に頼まれた雑用、やっと終わったよー。みんな、曲決まった?
プリンス:あ、先生。今、候補はこんな感じです。
文:えっとー、『未来へ』『空も飛べるはず』『愛をこめて花束を』『ありがとう』『沈丁花』『キセキ』『プレゼント』『Kizuna』……。黒板いっぱいだね。これ、絞れそう? 去年も時間かかったよね。
プリンス:今年は全国大会があってあんまり歌の練習時間が取れないですし、ピアノの楽譜も揃ってて編曲しなくていいのを選ぼうって意見が出たところなんです。
文:楽譜ね。そうだね。準備室にあるのも見た? 合唱の曲、結構置いてあるよ? あ、僕がおすすめのを取ってきてあげる。ちょっと待ってて。
文:お待たせー。音源もあったから聴かせるね。
北浦:やっちゃ(すごく)よか曲! ブンブンよくやった!
文:でしょ? この『虹』って曲はね、合唱コンクールの課題曲で歌われたんだよ。今はポップスの人が作るのって毎年恒例みたいな感じだけど、この時は斬新だったね。みんなの三年生に対する想いって、言葉だけじゃ上手く伝えるのが難しいだろ? だから、この曲で気持ちを届けて、それで送り出してあげてほしいな。
プリンス:みんな。この曲でどう?
部員たち:賛成!
文:気に入ってくれてよかったぁ。で、ソロはどうする? ソリでもいいけど。
北浦:はいはい! はい! 私やります!
文:おぉ。北浦はプレッシャーとか感じないタイプなのかな。
村里:これで一曲目は決まりだね!
プリンス:一曲目?
村里:みんな、あれを忘れちゃダメだよ。
プリンス:あれって?
村里:あれはあれよ! 先輩たちに感動で泣いてもらおうね!
頴川:歌、マジよかったぁ。
実音:みんな立派になって……。
七種:実音ちゃん。保護者目線になっとらん? あと、涙脆くなったね。
村里:では、もう一曲歌のプレゼントを!
御厨:まだあるの?
頴川:なんでここで『島原の子守唄』?
実音:島原を忘れないように、みたいな?
七種:さっきまでの感動ムードが消えたね。これじゃ泣けんって。
御厨:見て。海はさっきより大泣きしとる。
七種:いや、泣きすぎだって。
頴川:これってハネ子のせい? 絶対そうでしょ? そうに決まっとる。
七種:どういう教育してきたん?
頴川:ハネ子のずれた感覚はどうにもできんって。
実音:でも、みんな心を込めて歌ってくれたから嬉しいよ。ね、海。
海:わーん!!
三年生:(だから泣きすぎだって)




