13.食べ物を粗末にしてはいけません!
部活後の大学の教室で、黒田と白浜が話している時のお話。
黒田:帰省組ってこんなもん? 思ったより残る奴いるんだな。
白浜:そうですね。……なんかすんません。冬休み中の部員の管理までクロさんにお願いしちゃって。
黒田:しょうがないだろ。今までやってた人がいないんだから。ひとり暮らしの居残り組の生存確認くらい、俺がやってやるよ。ハメ外して何かやらかされたら困るし。ハマも実家でちゃんと休んどけよ。
白浜:ありがとうございます。その代わり、大掃除の日は何もしなくて大丈夫なんで。
黒田:了解。あと確認しとくことは……ん?
白浜:ノック? 誰だろ? 俺出ますね。
黒田:悪いな。
白浜:いえいえ。……何か用ーー。
黄山:おりゃー!!
白浜:うわっ!?
黒田:は?
白浜:……あ。
黄山:……ありゃ?
黄山:クロっち、メンゴメンゴー! 今日、あいつの誕生日じゃん? だからサプライズでパイ投げしようと思ってさー。これ、わざわざ豆乳クリームで友達に作ってもらったんだよね。日頃の恨みも上乗せして、思いっきりドーンってやるつもりだったのに。
黒田:……食べ物は粗末にしちゃダメだって、親から言われなかったか?
黄山:もっと上手く投げる予定だったの! 口の中に全部入れるイメージでさ!
白浜:ヤマさん。ネロの誕生日、明日です。
黄山:そうだっけ? ってか、ハマが避けるのがいけないんでしょ。……だいぶクリーム取れたかな? うん、OK、OK。
白浜:いや、全然取れてないですって。床も滑るし。
黄山:大掃除の時にでもちゃんとやれば問題ないって。
白浜:その日絶対来ないでしょ?
黄山:だって呑み会あるからさー。
白浜:今日は呑んでないんですね。珍しい。
黄山:ちょっと聞いてよ! みんな私を置いてデートだよ!? マジで、リア充、滅びろ!!
白浜:イブですもんね。
黒田:ハマは? デートの相手いないの?
白浜:ゼミの子とかから誘われはしましたけどね。部活あるし(タイプじゃなかったから)断りました。……ヤマさん、睨まないでくださいよ。例年どおりパートで軽くお菓子パーティーするだけです。クロさんは?
黒田:……ははは。
白浜:あ、すんません。よかったら、この後うちのパートに来てください。今頃みんな楽器片し終わって準備してるんで。
黒田:いいのか?
白浜:もちろん。
黄山:私も!
白浜:え? ……あ、はい。
黄山:おい。今のなんの間?
白浜:いえ。お菓子の量足りるかなって。
黄山:ビール用意してあれば、こっちは構わないから。
白浜:大学内なんですからダメです。十代もいるし、部内でそういうのよしてください。
黄山:はいはい。わかってますって。……ところで、なんでここにいるの? オーボエの教室なのに。
白浜:ちょうど空いてたんですよ。
黄山:ふーん。……あれ? ネロは?
黒田:今日は休み。雅楽川ちゃんと演奏会聴きにいってる。
黄山:……はぁ!? あいつ、生意気にJKとデートかぁ!?
黒田:高校の自由曲の参考にするためだよ。デートじゃなくて勉強。
黄山:そんなのどうでもいい! 先輩を差し置いて、あいつがイブに可愛い子と出かけてるのが許せない! ハマ! こっちもクリパ始めるよ! 今日はあんたの顔でも見ながら食べるので我慢してあげるから!
白浜:……え。
黄山:嫌そうな顔すんじゃない! いつもの爽やかさはどこにいった? 久々に部活来てあげたんだから、しっかりもてなしてよね!
黒田:ヤマはまだ一応現役の部員だぞ。OGじゃないからな。サボってるだけだからな。
白浜:これでも、役員の時はまともだったのになぁ。反動なのかな?
黄山:さっさとトロンボーンの教室行くよ! ほら、クロっちも!
白浜:先に行って準備できてるか見てきますね。……あと、今日は帰るの遅くなるかもってみんなに伝えとかなくちゃ。
黒田:ヤマは行く前にここの片づけしろよ。ここは大学から借りてるんだから。俺は顔洗ってくる。
白浜:まだ髪にもクリームついてますよ。
黒田:はぁ。
黄山:クリパの時間なくなっちゃう! 早く行動して!
黒田:お前が言うな!




