12.ゲームしようぜ!
縫と友人の休み時間中のお話。
友人A:なぁなぁ。吹奏楽部って女子ばっかだからよ、ハーレム状態ってわけやろ?
友人B:羨ましいよな。
縫:……は?
友人A:せっかくモテたくてサッカー部に入ったのに、クラスの女子たちは応援に誰も来んし、うちの部は女子マネおらんし……。俺も吹部入ればよかった。
友人B:毎日女子に囲まれる生活ってどんなだ?
縫:今だってそこに女子おるぞ。話しかけたらよか。
友人A:それができんけん、お前が羨ましいんだよ。
友人B:部活ならクラスメイトより距離が近かろ? 一度でよか。俺も雅楽川さんと話したか。
縫:あれは部活を仕事だと思っとるけん、話せるったってお前らが望むようなことは絶対に起こらんよ。基本、部活はパートでの行動が主だしな。
友人A:お前と同じパートって誰だっけ?
縫:海と紣谷と隈部。
友人A:あー。
友人B:何話すん?
縫:ほぼゲーム。
友人A:お前はそればっかだよな。
縫:ゲームは最高だ。
友人B:俺も好きだけど、そこまで熱中はせんよ。
縫:本物のゲーム好きはな、バグだって楽しむんだよ。制作者が予期しとらんようなクリア方法を見つけたりするのも醍醐味だな。時間がいくらあっても足りん。なぁ、今度ゲームしようぜ!
友人A:よかよ。どこでやる? 縫の家?
縫:あ、それはよした方がよか。
友人B:なんで?
縫:うちの母親がヒス起こすかもしれん。
友人B:……え?
縫:弟が身体弱くて、その看病でいろいろ精神的にやられたらしい。あ、海ぐらい空気読めんなら構わんよ。
友人A:お前、弟おったんだな。
縫:おう。手術してからは元気だし、俺にとっては全然手もかからん奴だよ。泓の方が百倍大変。ばってん、母親にとっちゃ心配で子離れできんみたい。だから、俺は託児所代わりにピアノ習いに行かされたし、金管バンド入るように言われたし、部活も拘束時間の長い吹部にさせられた。おかげでゲームする時間が減ったよ。
友人A:結局お前はゲームなんだな。……その、そういう母親じゃ、いろいろ大変だったりする?
縫:よくわからん。……あ、部活の合宿には来たな。周りの保護者と馴染めなかったみたいだけど。
友人B:……今度いつ休み? ゲームしようぜ。俺の家来る?
縫:行く!
友人A:即答かよ。




