11.旅行の準備
海が校庭で秘密の特訓中の京と鴛淵を発見した時のお話。
海:なんばしょっと?
鴛淵:あ、海。これ? 京ちゃんのトレーニング。
海:ほぇ?
鴛淵:もうすぐ修学旅行でしょ? 空港とかにある動く歩道で京ちゃんが躓かんように、台車に乗せて練習しとるんよ。
京:こうやってねー、台車の上に乗ってねー、はなりんが押すんよ。そうしたらねー、途中で止めてもらってそのまま前に歩くのー。
海:その練習いる!?
鴛淵:いるよ。京ちゃん、エスカレーターだって苦手なんだから。
海:そなの!?
京:うん。あれねー、乗る時と降りる時のタイミング、わかんなくなっちゃうことあるよねー。
海:ないって! その感覚がわからん!
京:あとねー、大縄跳びとかねー、あれはムズいよねー。
鴛淵:中学の時、京ちゃんなかなか入れんくて、やっと飛べた頃には回しとる子たち疲れとったね。で、しかも京ちゃん出れんくなって、暫く飛び続けたよね。
京:ねー。八の字できるようになるまで、三年間毎日昼休みにみんなで縄跳びしたよねー。
海:できるまで三年!?
京:給食食べ終わるの遅くてー、休み時間いつも少ないんよ。みんなに片づけ手伝ってもらっとったなぁ。
鴛淵:やっとできた時、校舎で見とったもん含めてみんな喜んだよね。
京:あれはずっと忘れんね。
海:京ちゃん、それでよく吹奏楽できるね? 吹奏楽部なんて団体だよ? みんなで合わせる集団だよ?
京:なんでだろうねー? 不思議だねー。
海:給食食べるのに時間かかるってことは、家でも遅いの? みんなそうなの?
京:そうだよー。お父さんもお母さんも弟も、みんな同じだよー。でねー、一日三食は大変でー、うちは休みの日、基本二食なのー。
海:少なっ!? わたし、おやつの時間と夜食も必要なのに!
鴛淵:海は食べすぎ。……さ、京ちゃん。続きやるよ。休み時間終わっちゃう。
京:うん!
鴛淵:押すよー。
京:はーい。
鴛淵:止まるよー。はい、そのまま歩いてー。
京:おっとっとー。
鴛淵:京ちゃん、大丈夫!?
京:うん。ちょっと転びそうになっただけー。
鴛淵:よかったぁ。
海:……なんだこれ!? はなりんはどういう立ち位置なん!? 前から気になっとった!
鴛淵:うーん。親戚のおばさん……的な?
海:京ちゃんはそれでよかね!?
京:全然よかよー。はなりん、いつもすまんねー。お世話してくれてありがとねー。
鴛淵:それは言わない約束でしょ。
海:……なんだこれ!?




