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がんばらんば〜Another〜  作者: 尋木大樹
ショートストーリー

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39/50

8.実音、おつかいに行く

島原に来て初めてひとりで買い物に行く実音を、海と大護が後ろから見守るお話。

(うみ):はい、これ地図ね。


実音(みお):手作り?


海:手、込んどるでしょ!


大護(だいご):海は描いとらんやろ。


海:うん。ひーちゃんにお願いした。


実音:これなら迷わないね。じゃ、行ってきます!


海:いってらー!


大護:気をつけてな!


実音:うん!








海:ちゃんと撮れとる?


大護:わからん。普通のスマホだしな。ってか、これストーカーしとるみたい。やっぱ気が進まん。


海:文句言わんの。感動ドキュメンタリー作っとるけんね、気分は撮影スタッフよ。わたし、テレビ局の偉い人ね! プロデューサーとかディレクターとか。大護は下っ端AD。


大護:そこはベテランカメラマンやろ!


海:やぐらしか(うるさい)! 実音が気づくでしょうが! あ、消えた!


大護:あそこ、まだ曲がらんぞ。


海:はい、早速迷子! 言っとったとおりの方向音痴だったね!


大護:追いかけるぞ!


海:ラジャー!








海:ワンコ! ワンコと遊んどる! 散歩中のワンコも実音にメロメロやね。もしかして、ルートずれとるの、まだ気づいとらん?


大護:……可愛い。


海:キモッ! 今、大護ただの変質者よ。


大護:いかん、いかん! 俺としたことが。心にベテランカメラマンを宿さんとな。


海:あ、動いた。行くよ、下っ端AD!


大護:だから撮影しとるけん、カメラマンやって!








海:……見失った。


大護:海が途中で動かんくなったのが悪い!


海:だって、美味しそうな匂いのする家あったら、自然と止まっちゃうもんでしょ!


大護:ならんよ! とにかく捜すぞ!








海:スーパーにもおらん!


大護:どこだ!? どこにおる!? まさか誘拐か!? け、警察にーー。


海:大護、落ち着いて! こういう時、まずは電話よ! えっと、警察は一一九だっけ?


大護:お前が落ち着け! それは救急車呼ぶやつだ!


海:あ、実音から電話! もしもし!?


実音:『もしもし。目的地着いたよ。買うものにお菓子ならなんでもって書いてあるけど、リクエストないの?』


海:え、実音もう着いたの!?


実音:『うん。結構遠かったね』


大護:え、おらんぞ?


海:わたしたちもスーパーおるんよ。実音どこ?


実音:『え? ふたりいるの? どこに?』


大護:写真撮れるか?


実音:『うん。ちょっと待ってて』


海:あ、来た。えっとー……どこ?


大護:……ここじゃなか! 実音! どこまで行ったんだよ!


海:本当だ。そこ、指定した場所と違うよ。


実音:『……あれ?』


大護:実音。迎え行くけん、そこ動くなよ。


実音:『わかった。見えやすい所で待ってる』


大護:だから動くなって!


海:お菓子だけ買っといて! なんでもよかよ!


実音:『了解』








海:実音ー!


実音:お迎えありがとう。


大護:地図見てもここが間違っとるって、わからんかったか?


実音:お店の名前が違うなぁとは思ったよ。


海:ま、おつかいできたならそれでよか。で、何買ったと?


大護:いや、帰れとらんけん、おつかいできとらんよ。


実音:「丸ぼうろ」買った。


海:やったー!


実音:これ、東京だとあんまり見かけないんだよね。九州の物産展とかアンテナショップならあるけど。


大護:そうなのか?


海:これってこっちだけなんだぁ。


実音:たしか、佐賀発祥だっけ? 東京で「ぼうろ」って言うと、「たまごぼうろ」になっちゃうよね。


海:ふーん。ま、食べよ、食べよー! 桟橋行こ! あそこで食べよ!


大護:飲み物もいるな。


実音:牛乳買ってあります!


海:完璧だね! また実音におつかい頼もっと!


大護:もうさせんって。

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