10.駐坑
戦況はもうジコクの手には負えないものになっている。だからジコクは潔く放っておき、チャくんに任せた。彼は脇へそれて散歩に出た。
ジコクは壁の角を曲がり、正門の左側へ回った。そこにもう一つ出入り口があるのを発見した。
それは巨大な垂直昇降式の鋼板ドアだ。
ドアに書かれた罵倒の落書きの数は、第四焼却場の全ての壁を合わせたより多いかもしれない。もっと奇妙なのは、ドアに内側から外へ向かって突き出た衝撃痕がたくさんあり、ドア全体に小さな棘のような突起がびっしりついていることだ。数が多すぎて、ジコクは一瞬それが防犯対策かと思った。
ゴミ収集車の合図の笛の音が遠くから聞こえてきて、徐々に大きくなった。
ジコクが振り返ると、国道から五台のゴミ収集車がこちらへ来るのが見えた。
チャくんとファンフノさんはまだ口論を続けていた。笛の音が聞こえると、二人は同時に首を巡らせた。
「あの車を止めなさい!」ファンフノさんが大声で叫んだ。
群衆はそれに応じてプラカードを下ろし、国道へ駆け出して肉体で車を止めようとした。
「自殺と判断された場合、事故保険の保険金は出ません!」チャくんが叫んだ。
群衆は全員足を止め、困惑した視線を交わした。
チャくんの意味は──自分で車の前に飛び出して轢かれるのは自殺行為だ。普通の事故保険なら、それは事故とは認められない。保険会社は支払わない──というものだった。
ジコクには、チャくんの言葉で止まったのが何人いるのかわからなかった。おそらく止まった者の多くは、チャくんの言ったことの意味を考え始めただけだろう。
両者がにらみ合っているうちに、ゴミ収集車はのんびりと歌を流しながら、敷地内のコンクリート道路へ入ってきた。
四台はよく見る鮮やかな黄色の車体だ。それらは敷地の奥深くにある処理施設の方へ進んでいった。
残る一台は赤いゴミ収集車だった。それはジコクがさっき見つけた鋼板ドアの方へ近づいてくる。
ジコクは横に避けた。
彼はその車をじっと見つめた。なんだか車体が揺れている気がする。荷台がずっと震えていて、「ドン、ドン、ドン」と重い衝撃音が響いている。
運転手は車を鋼板ドア前の地面に描かれた赤い枠の中に停めると、ドアを開け、震えながら急いで逃げ出した。
鋼板ドアが上昇した。赤いゴミ収集車は自動運転で暗闇の中へ滑り込んだ。その後、ドアがゆっくりと下りてきた。
「あそこがな──駐坑だよ──君が解体したゴミは、前にあそこに──入れてあったんだ」樹精老人の声が、突然ジコクの背後、極めて近いところから聞こえてきて、ジコクはびっくりして肩をすくめた。
ジコクは肩を固くして振り返ったが、樹精老人の背中は十メートル以上離れたところで、足を引きずりながら歩き去り、角を曲がり、ロビーへ入っていくところだった。
さっき聞いた声は、ジコクから半メートルも離れていない距離から発せられたはずだ。
チャくんとファンフノさんの言い争いは、太陽が沈むまで続いた。
群衆の中には子供を迎えに行く者もいれば、帰宅して夕食を食べる者もいて、ようやく散っていった。
最後の一人も去った後、チャくんは腰に手を当て、背中を丸めて長く息を吐いた。それからあちこちうろついていたジコクを探し出し、襟首を掴んで職員食堂へ連れて行き、夕食を作った。
このエピソードの原文:
戰況已經不是璽克能插手的了,於是璽克乾脆不管了,讓小碴去處理,他去旁邊散步。璽克拐過牆角,晃到大門左側去,發現這邊還有一個出入口。那是一扇巨大的垂直升降鋼板門,門上的髒話塗鴉數量可能比園區所有牆面上加總起來還要多。更奇怪的是門上有很多從內部朝外凸出的撞擊痕跡,整扇門上都是小小的尖刺狀突起,多到璽克還以為那是某種防盜措施。
垃圾車的笛聲從遠方傳來,慢慢變大,璽克轉頭看到五台垃圾車從省道開了過來。
小碴和芳芙諾女士還在吵架,聽見笛聲兩人同時轉頭。
芳芙諾女士大喊:「攔下那些車!」民眾聽了,紛紛放下紙牌,衝向省道準備用肉身擋車。
小碴大喊:「自殺意外險不會給付!」
民眾全都停下腳步,疑惑的交換眼神。
小碴的意思是說自己衝到車子前面給車撞是自殺行為,如果投保的是意外險的話,這樣不算意外,保險公司是不會給付的。璽克不知道那些人有幾個是因為小碴說的話才停下來的,可能大多數都是停下來思考小碴說的話是什麼意思。
就在雙方僵持之時,垃圾車悠悠哉哉的邊唱歌邊開上園區的水泥路。其中四台是常見的鮮黃色車體,往更後面的處理設施開了過去。剩下一台垃圾車是紅色的,它往璽克剛剛發現的鋼板門這裡開了過來。
璽克往旁邊閃。他盯著車子看,總覺得那台車在搖晃,車斗一直震動,還發出「洞、洞、洞」的沉重撞擊聲。垃圾車司機把車停在鋼板門前方地面的紅框裡,然後就打開車門,一面發抖一面快步逃走。鋼板門往上升起,紅色垃圾車自動駕駛進入黑暗中,鋼板門再慢慢放下。
「那裡面啊──就是佇坑啦──你拆解的那些垃圾呢,之前就是放在那──裡面。」樹精老人的聲音突然從璽克背後極近的地方傳來,嚇得璽克肩膀縮了一下。他夾緊肩膀轉身,看到樹精老人的背影在超過十公尺遠的地方,正一跛一跛的走開,轉彎進了大廳。璽克剛剛聽到的聲音,距離他應該不超過半公尺才對。
小碴和芳芙諾女士的爭執一直持續到太陽下山為止。因為群眾有的人要去接孩子,有的要回家吃晚餐,這才散去。
在最後一個人也離開之後,小碴手扠腰,弓著背長長的吐出一口氣,然後把到處遊蕩的璽克找回來,拎著他的領口帶去員工餐廳煮晚餐。




