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魔法師助手の夜は死体と共に過ごす~魔法師の三法則~  作者: 笑獅抜剣
CASE2 魔法廃棄物解体員がポルターガイストに取り囲まれる
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9.何を言っているのか分からない

 チャくんは時計を見て、左手を下げ、今度は右手を上げた。右手には円盤を握っている。


 彼は円盤の赤い四角いマークのボタンを押し、原稿を読むような落ち着いて明瞭な声で話し始めた。「現在時刻は十六時五十四分、場所は第四焼却炉正門前」


 その円盤は録音機だった!


「卑怯者!」笑い皺の女が金切り声を上げた。


「ファンフノさん、現在録音中です。言葉遣いにご注意ください。ここは公共の場です、『卑怯者』は明らかに侮辱的で、侮辱罪に該当します。私どもは告訴の権利を保留します」チャくんは氷のような口調で言った。


 いわゆる「告訴の権利を保留する」というのは、平たく言えば──今は訴える気はないけど、お前がまた何か私を不快にさせることをしたら、または私が急に気分を害したら、この件で裁判にかけ、録音証拠に基づいてお前から大金を巻き上げるぞ──という意味だ。


 これは専門用語で装飾された、効果は抜群だが「脅迫罪」には触れない、完璧な脅し文句だった。


 チャくんは録音機を高く掲げて、皆に見せつけた。


「法術専用焼却炉管理法規第三十四条に基づき、非作業員は作業区域への侵入を禁じます。業務妨害行為があった場合は退去させることが可能です。危険物の持ち込みは禁止で、1メートルを超える金属製の物……法術専用焼却炉区域管理細則第三十条第六項により、見学活動は一ヶ月前申請が必要で、未申請の場合は禁止区域を越えることはできません。禁止線は黄色で、幅は……」チャくんは一息に七、八条の法規をまくしたてた。


 法律用語の嵐、難解な字面、わざとらしい堅苦しい言い回しは、日常会話の文法とはまるで別物だ。


 ジコクは確信した。この場でチャくんの言葉を理解できる人間なんて、ほとんどいない。


 ようやくチャくんが本題に入った。「……貴方たちは不法集会です。即刻解散しなさい」


 抗議の群衆は緊張した様子で互いに囁き合った。


 実際、誰も自分たちがこの施設の法規に違反しているかどうかなどわかっていない。だってチャくんの言ってる内容がさっぱりわからないんだから。ただ、あんなにわからない言葉を大量に並べ立てられたことで、彼が普通の人には知り得ないことをたくさん知ってる、かなり手強い相手だって印象を与えただけだ。


「罰金取られるのか? 子供の学費払わなきゃなのに」「捕まって拘留されたらどうしよう?」


 群衆はチャくんの言葉が理解できないので、反論のしようもなく、ただただ慌てふためいた。士気は一気にどん底に落ち込んだ。


「政府はここを十年だけ使うって約束したはずよ!」ファンフノさんの金切り声が響き、味方の士気を奮い立たせようとした。


「定期点検の結果、焼却炉は安全が確認されており、使用年限は規定により延長されています」チャくんはにこりと笑って答えた。


 ジコクはようやく、以前どこでチャくんが浮かべたような社交的な笑顔を見たかを思い出した。


 それは、必要がない限りジコクが見たくもない人物──官僚主義の代表のような、剣を帯びた武夫──聖潔之盾・皇家騎士団のサーレン・ニコ・ラヒトの顔だった。


「検査したのもお前らの仲間じゃないか、信用できるわけない!」ファンフノさんが金切り声を上げた。


「あの方々はそれぞれの分野の専門家です。それ以上信頼できる人はいませんよ」チャくんは言った。


 そしてその専門家たちの資格も、第四焼却炉の設置者である光明之杖が認定したものだ。後ろで見ているジコクはそう思った。


 チャくんは目元に力を込めて群衆を見据えた。「第四焼却炉は大アイタロ地域の魔法ゴミ処理を担っています。ここが閉鎖されれば、魔法ゴミは行き場を失い、もっと大きなトラブルを引き起こすだけです。


 第四焼却炉は、皆さんの環境を清潔に保つための必要悪なのです」


 ファンフノさんはさらに甲高く、大きな声で叫んだ。「それがどうしたのよ! 焼却炉さえあればいいんでしょ、なんでよそに作らないの!」

このエピソードの原文:


 小碴看了一下錶,放下左手,改抬起右手。他的右手握著一個圓盤,他按了一下上面有紅色方塊圖示的按鈕,用唸稿般平穩清晰的聲音說:「現在時間十六點五十四分,地點是第四焚化爐正門前。」那個圓盤是錄音機!


 「卑鄙小人!」笑紋女士尖叫。


 小碴用冰冷的語調說:「芳芙諾女士,現在正在錄音,請注意您的遣詞用字。這裡是公開場所,『卑鄙小人』毫無疑問具有污辱性,此為公然侮辱罪,我們保留提告的權利。」


 所謂「保留提告的權利」,白話點說就是:雖然我現在沒有要告你,不過要是你又做了什麼讓我不爽的事情,或是我突然覺得不爽了起來,我就會拿這件事把你告上法院,根據錄音證據向你要一大筆賠償金。這是一句經過專業用語掩飾,效果不折不扣卻又不會觸犯「恐嚇罪」的威脅行為。


 小碴舉高錄音機讓所有人都看到,繼續說:「根據法術專用焚化爐管理法規第三十四條,非工作人員不可侵入作業區域,若有妨礙業務行為可予驅離。不得持有危險物品進入園區範圍,如超過一公尺長之金屬製物……根據法術專用焚化爐區域管理細則第三十條第六項,參觀活動需於一個月前申請,如未申請則不可跨越禁止區域。禁制線為黃色,寬度為……」


 小碴一口氣說出七、八條法規,裡面滿是法律術語、艱澀字跟拗口裝正經的贅字,跟一般日常口語簡直連文法都不一樣。璽克確定這地方根本沒幾個人聽得懂。


 最後小碴終於說出重點:「……你們是非法集會,請立刻解散。」


 抗議群眾緊張的彼此交談。其實根本沒有人知道他們有沒有違反這裡的法條,因為根本就聽不懂小碴在說什麼。只是小碴說了那麼多讓人聽不懂的話,暗示著他懂很多一般人不懂的東西,好像很厲害很不好惹的樣子。「會罰錢嗎?我家裡還要繳孩子的學費。」「萬一被抓去關怎麼辦啊?」民眾因為聽不懂小碴在說啥,自然也沒辦法反駁他,於是全都驚慌起來。士氣一下墜到谷底。


 「政府答應過這裡只會使用十年!」芳芙諾女士的尖叫聲響起,設法振奮己方精神。


 「定期檢查顯示焚化爐安全無虞,使用年限按規定延長。」小碴笑說。


 璽克終於想起來他之前是在誰臉上看過小碴這種社交笑臉了。那是一個如非必要否則璽克不想看到他的人,一個堪稱官僚主義代表人物的配劍武夫──聖潔之盾皇家騎士團的瑟連.尼可.拉斐特。


 「檢查的人也都是你們的人,哪能信任!」芳芙諾女士尖叫。


 「他們都是該領域的專家。」小碴說:「再也沒有比他們更值得信賴的人了。」


 璽克站在後面心想:然後那些專家身分也都是第四焚化爐開設者──光明之杖──認定的。


 小碴眼周用力看著民眾說:「第四焚化爐負責大艾太羅地區的魔法垃圾處理工作,如果這個地方關閉,魔法垃圾無處可去,只會引起更多麻煩。第四焚化爐是維持你們環境整潔的必要之惡。」


 芳芙諾用更尖更大的聲音喊叫:「那又怎樣!只要有焚化爐就好了啊,幹嘛不去別處蓋啊?」

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