2.腹が減っては戦はできぬ
樹精老人はジコクを連れて職員食堂へ向かった。
職員食堂の広さから見て、この場所は元々五十人以上が利用するよう設計されていたはずだ。シフト制の人員を加えれば、第四焼却炉の職員総数はさらに多かっただろう。
今はどのテーブルも埃まみれだ。ガランとしたビュッフェエリアには蜘蛛の巣が張っている。ここはもう長いこと使われていない。
樹精老人はジコクを唯一きれいなテーブルに案内し、座るよう促した。それから厨房の奥へ行き、次々と料理を運んで来てテーブルの上を埋め尽くした。
ジコクは何も言わず、ただひたすら食べ始めた。一瞬、彼の目には食べ物以外何も映らなくなった。
汁だけが残るまで食べ続けて、ついにこれが一人分ではないかもしれないと思い至った。
ジコクは周囲を見回したが、樹精老人の姿はない。箸をくわえたまま、くぐもった声で言った。「誰かいますか?」
十五秒ほどして、ようやく左側から声が聞こえてきた。「何か用か?」
ジコクは怪訝そうに左を見た。
樹精老人は壁際の席に座っていた。彼のテーブルには小皿に盛られたゆで野菜と、小盛りの白飯が置かれているだけだ。
さっき見たときはあそこに誰もいなかったはずだが……「誰かに残しておいた方がいいですか?」
「好きに食べて」樹精老人は少し言葉を切り、何かを思い出すようにした。「君のような若者を見ると、昔のことを思い出すよ──
昔は食堂が若者でいっぱいで、みんな夢中で食べて、早く仕事に戻りたくて仕方なかったものだ。
シェフは『何を食べたかもわからないくせに』と文句を言いながらも、嬉しそうにおかわりを山盛りにしてくれてね──
当時ここに入れるのは一番優秀な魔法師だけで、新人募集のときはそれはもう大勢の人で賑わった。
採用者発表のときには、喜んだ者が仲間に担ぎ上げられていたものだよ。
今では──新人の姿を見られるのが嬉しいよ。
この年寄りが退職する前に──わしがまだ小さかった頃のことを思い出すよ──」
ジコクは、樹精老人がまだ芽だった頃から話し始め、しわくちゃになるまで延々と続けるつもりだと気づいて慌てた。急いで質問を投げかけて、樹精の成長史を語らせないようにした。「ここに他の職員はいないのですか?」
「怪頭がいるよ。怪頭は──」
ジコクは無視できない情報を耳にした。彼は再び樹精老人の言葉を遮った。「たった二人だけですか?」
「今日は本来五人が来るはずだったんだが、そのうち二人は急に家庭の事情ができて、二人は焼却炉に近づけない妙な病気に罹った。まあ君が来てくれてよかった。これで三人になる」
なるほど、ジコクが食べたのは五人分の食事だった。量が多かったわけだ。あの人たちはきっと煙突を見た瞬間に逃げ出したんだろう。
「今の若い人は、来なくなっても一言も言わず、人を無駄に待たせる。もしわしに見る目がなければ──」
ジコクは緊張した。「三人で五十人分の仕事をこなせるのですか?」
樹精老人はにやりと笑って入れ歯を見せた。「あと君の手があれば、人手は足りるんだ」
ジコクは最後の肉片と飯を口に掻き込み、ゆっくりと噛みしめた。
五人分の食事を平らげた自分が、いったい何人分の仕事をさせられるんだろう?
このエピソードの原文:
樹精老人領著璽克前往員工餐廳。從員工餐廳的場地面積看來,這個地方原先設計的使用者數量應該有五十人以上,加上輪班的人,第四焚化爐員工總數應該還會更多。現在桌子上都是灰塵,空蕩蕩的自助吧上掛著蜘蛛網,已經很久沒人使用了。
樹精老人把璽克帶到惟一一張乾淨的桌子前面,叫他坐下。然後樹精老人走去後面的廚房,接二連三的端出食物把桌面排滿。璽克二話不說埋頭吃了起來,一時間他眼裡除了食物之外什麼都看不到。璽克一直吃到只剩下湯汁的時候,才想到這有可能不是一人份的食物。
璽克往四周張望,沒看到樹精老人。他咬著筷子,說話的聲音全都糊成一團:「有人在嗎?」
大約十五秒後,璽克才聽到左邊有聲音傳來:「有什麼事嗎?」
璽克狐疑的看過去。樹精老人坐在靠近牆邊的位子上,他的桌上放著一小碟燙青菜和小半碗白飯。璽克剛剛看的時候那裡應該沒有人吧?
璽克問:「我需要留一些給別人嗎?」
「你儘管吃。」樹精老人頓了一下,似乎在想事情,然後說:「看到你這樣子就讓我想起從前啊──以前整天餐廳裡都坐滿了年輕人,狼吞虎嚥急著要回去工作,燒菜的常常罵他們連自己吃了什麼都不知道,卻又高高興興的給他們加菜──以前只有最優秀的法師才能進來,每年招募新血的時候那個場面多盛大啊,都是人山人海──放榜的時候還會有人被拋起來呢。現在啊──能看到新人真好啊。在我這個老頭退休之前──當年我還很小的時候啊──」
璽克驚覺樹精老人打算從他還是嫩芽時開始講起,一路講到他變得皺巴巴。璽克趕緊阻止他講述樹精成長史,問:「這裡沒別的員工了嗎?」
「還有怪頭啊。怪頭他吼──」
璽克聽到了無法忽略的情報,他再次打斷樹精老人的話,問:「只有兩個員工?」
「本來今天該有五個人來報到啦,不過其中兩個突然家中有事,兩個生了不能靠近焚化爐的怪病。還好你有來,這樣加上你就有三個人了。」
原來璽克吃的是五人份的食物,難怪份量這麼大。那些人大概是看到煙囪的瞬間就落荒而逃了。
「現在的年輕人吼,不來了也不說一聲,都讓別人白等,要不是我有辦法看──」
璽克急問:「三個人能處理五十人的工作?」
樹精老人咧嘴露出假牙,笑說:「就差你一雙手而已。」
璽克把最後的肉片和飯扒進嘴裡,細細咀嚼。他吃了五人份的食物,不知道要做幾人份的工作?




