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魔法師助手の夜は死体と共に過ごす~魔法師の三法則~  作者: 笑獅抜剣
CASE1 魔法師助手の夜は死体と共に過ごす
63/64

63.騎士の行動(9)魔法師の友と語る(完)

 その後、光明之杖が引き継ぐ前に、警察はまず初歩的な記録を取ることになる。


 署長は当然、重要な関係者であるハナを直接聞き取る。


 ジコクは特に警戒心が強く、知らない人にはまず協力しないだろう。そう考えたサーレンは、自分がジコクの聞き取りを担当すると申し出た。


 取調室で、サーレンは双方にそれぞれお茶を出し、ジコクには特別に砂糖を渡した。


 だが、ジコクは砂糖もお茶も一切口にしなかった。


 彼は体を椅子の背もたれに預け、頭を上にあげ、顔を天井に向け、両手を広げ、肘を椅子の肘掛けにかけ、手のひらを下に垂らした。左足を曲げて横にし、足首を右膝に乗せ、目を細め、眼球を顎の方に動かし、遠慮なくサーレンを睨みつけた。


「数日ぶりだな、元気だったか?」サーレンは満面の笑みを浮かべ、誠実そうに言った。「前回聞きそびれたけど、君の住んでるところに暖房はある? もしなければ、警察署には暖房があるよ。ここに住むのもいいんじゃないか」


 ジコクの反応は、まず下唇を軽くめくり、続いて口角を軽蔑するように下げ、壁を見ながら足を揺らした。


 サーレンは俺を閉じ込めるつもりだとほのめかしているのか?


 サーレンはさらに輝く笑顔でジコクを見た。相手が今こちらを見ていなくてもお構いなしだった。


 街灯が折れた現場の鑑定報告書が出ている。


 爆発現場で記録のために連れ戻されたジコクが履いていた靴は、あの日雪の上に靴跡を残したものと一致した。靴底の古い靴の摩耗部分や補修された箇所まで、すべて同じだ。


 つまり、その日、怪物はジコクを襲おうとしたが、戦闘経験豊富な彼に逆に追い払われたのだ。


 サーレンはジコクに聞きたいことが山ほどあるが、どこから始めればいいか迷った。


 まず、近親相姦の件が本当か偽りかを尋ねるべきか?


 それとも、怪物とこの家との関係を聞くべきか?


 賓客や使用人、ペットたちがなぜ逃げ出したのか?


 あの超巨大な突然変異した魔蛙はどういうことなのか? その二匹の蛙が逃げた後、生態系に影響を与えるのではないか?


 この大爆発は一体どうやって起こったのか?


 ジコクとハナが屋敷の中で何をしていたのか? なぜ最後まで出てこなかったのか?


 あまりにも多くの質問があり、どれから聞けばいいのかわからない。


 その中で、ジコクと最も関係が深いのは、なぜあの怪物がジコクを襲ったのかという点だ。


 美少女だけを襲うはずの魔獣が、なぜジコクを襲ったのか?


 サーレンはこの質問を切り口にすることに決め、口を開いた。


 ジコクは質問を聞き終えると、眉をさらに強く寄せた。


 彼は背を少し起こし、椅子の背もたれから離れて前に乗り出し、サーレンを軽蔑する口元の歪みがさらに強くなった。


 サーレンはジコクが自分の言葉を聞き逃したのだと思い、もう一度尋ねることにした。


 彼は真剣にジコクを見つめた。


 目の前の貧乏魔法師は、穴だらけでところどころ焦げた魔法師ローブを着ている。その上には土の塊、汚水の染み、薬剤の残渣、虫の粉末、そして魔蛙の固まった唾液がこびりつき、服の皺をすべて貼り付けている。


 サーレンは深く息を吸い、口を開いた。


「君は美少女か?」


 ジコクはため息をついた。彼は床のタイルのひび割れを見て、頭上の灯球をちらりと見やり、それから真剣にサーレンを睨んだ。


「私はいつも思うんだ。君ってなんか変なところはあるけど、まあ真面目で責任感のある騎士だよな。どういう基準で何をすべきか決めてるのかさっぱりわからんけど、少なくとも心の中では方向性くらいは持ってるんだろ──」


 ジコクは一瞬黙り、それから大声で叫んだ。


「──お尋ねしますが、美少女が私と何の関係があるのですか!?」


 約四時間後、長い「訊いたことと答えたことが噛み合わない」時間が過ぎ、サーレンはようやく事の経緯を把握した。


 一方、ジコクは最後まで美少女と貧乏魔法師の関連性を理解できなかった。


 ジコクはサーレンに不満をぶちまけ始めた。


「私は何度もいろんな人に言った。歌まで歌ったんだ! それなのに誰も私の部屋に死体を取りに来なかった!


 文明社会って一体どうなってるんだ? こんな場所じゃ死体が誰も欲しがらないのか?


 再利用が禁止されてるから、誰も引き取りに来ないってことか?」


 黒暗学院だったら、死体はすぐに奪い合いになるから、こんなに長く放置されることなんてあり得ない!


 彼の人生で、誰も手を付けない死体に遭遇したのは初めてだった!


 サーレンは少し考え、非常に真剣にジコクを見た。「警察に通報すればいい」


「ん?」ジコクは呆気にとられた。


 彼は警察に助けを求めるなんて考えたこともなかった。


 その後、ジコクはさらに多くの時間を費やし、なぜ死体を見たらまず警察に通報すべきなのかを、ようやく理解するに至った。


(完)

 第一巻の物語はここで終わりとなります。


 このシリーズ『魔法師の三法則』(原文タイトル:法師三定律)は全十四巻で構成されています。短編集一冊、前日譚四冊、特別編一冊を含みます。


 総文字数は約120万字(日本語に換算すると約160万字)に及び、私は一冊ずつ少しずつ翻訳していくつもりです。


 次の巻の翻訳を始める前には、キャラクター名の翻訳方法を決めるなどの準備期間として、およそ十日ほど必要になります。


 どうかこれからもジコクの旅を応援してください。


 ◇◇◇


このエピソードの原文:


 在這之後,在光明之杖過來接手以前,警察要先作初步的紀錄。警長當然是親自訊問重要關係人哈娜。瑟連想了想,璽克的戒心特別重,陌生人大概很難讓他合作,就自告奮勇負責對璽克問話。


 審訊室裡,瑟連給雙方各一杯茶,還特別給璽克一包糖。但璽克不管是糖還是茶都不肯碰。他身體往後靠在椅背上,頭往上仰,臉向著天花板,兩手張開,手肘掛在扶手上,手掌往下垂。左腳彎曲打橫,腳踝放在右腳膝蓋上,眼睛微瞇,眼球朝下巴的方向轉,不客氣的盯著瑟連看。


 「幾天沒見,你過得還好嗎?」瑟連滿臉笑容,真誠的說:「上回我忘了問,你住的地方有暖氣嗎?如果沒有的話,警局有暖氣,不如住這裡好了。」


 璽克的反應是先掀了掀下唇,然後嘴角鄙夷的下壓,轉頭看牆壁同時抖腳。瑟連這是在暗示要把他關起來嗎?


 瑟連用更燦爛的笑容看著璽克,也不管對方現在沒在看他。路燈斷裂現場的鑑定報告已經出來了,剛剛在爆炸現場被抓回來作紀錄的璽克,他穿的鞋子就是那天雪上印著的鞋子,連鞋底舊鞋磨損又補上的地方都一模一樣。所以那天那隻怪物是想襲擊璽克,卻反而被作戰經驗豐富的他打跑。


 瑟連有很多問題想問璽克,不知道該從哪個問起才好。是要先問亂倫那件事究竟是真是假呢?還是問怪物跟這個家有什麼關係?問賓客和僕人還有寵物為什麼要逃出來?問那個超巨大的突變魔蛙是怎麼回事?那兩隻蛙逃走以後會不會造成生態衝擊?問這個大爆炸到底是怎麼弄出來的?他和哈娜在屋子裡做什麼?為什麼最後才出來?


 這麼多的問題根本不知道該先問哪個才好。


 裡頭和璽克關係最大的,還是為什麼那隻怪物會襲擊璽克。明明只會攻擊美少女的魔獸,為什麼會攻擊璽克?瑟連決定以這個問題當成切入點,於是他開口問了。


 璽克聽完問題,眉頭皺得更緊了。他稍微把背部抬起,脫離椅背傾向前方,而嘴角鄙視瑟連的扭曲變得更嚴重了。


 瑟連覺得璽克應該是沒聽清楚他說的話,於是他決定再問一次。他認真的看著璽克。眼前這個窮法師穿著多處破洞、幾處燒焦的法師袍,上面有泥土塊、汙水斑、藥劑渣、蟲粉末,還有魔蛙結塊的口水,把衣服皺摺都黏在一起。


 瑟連深吸一口氣,開口問:「你是美少女嗎?」


 璽克先是嘆了一口氣,他看了看地上的瓷磚裂痕,又看了看頭上的燈泡,然後認真的盯著瑟連說:「我總覺得你這個人雖然哪個地方怪怪的,不過應該還算是個認真負責的騎士,雖然我覺得搞不清楚你到底是用什麼標準去決定應該要做什麼事,但我想你應該心裡至少還是有方向的──」璽克沉默了一下,然後大吼:「──請問美少女跟我到底有什麼關係?」


 大約四個小時後,經過漫長「問非所答」的時間,瑟連終於搞清楚了來龍去脈,而璽克始終沒搞清楚美少女和窮法師之間有什麼關聯性。


 璽克開始向瑟連抱怨:「我跟很多人說過了,我甚至還唱過了,但是就是沒有人到我房間來收屍!文明社會到底是怎麼回事?在這種地方屍體都沒人要的嗎?難道是因為不准再利用,所以沒有人要接手嗎?」如果是在黑暗學院裡,屍體馬上就會被搶走,根本沒機會躺那麼久!他人生中還是第一次碰到無人要管的屍體!


 瑟連想了一下,非常認真的對璽克說:「你可以報警。」


 「嗯?」璽克愣住了。他從沒考慮過可以找警察幫忙這件事。


 之後璽克又花了很多時間,才理解到為什麼看到屍體第一個反應應該是報警。


 (完)

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