31. 商業魔器の黒歴史
医者は初診で、これが魔法による傷害だと判断した。そこで給料泥棒は光明之杖の提携病院へ転院となった。ジコクもついて行った。
提携病院の魔法傷害専門医は、給料泥棒が「魅惑の法術」に罹っていると診断した。
法術の根が深く張っているため、入院して長期治療が必要だ。病院側が第四焼却炉に連絡したため、チャくんも急いで駆けつけた。
二人と医者は、給料泥棒のベッド脇に立ち、病状を話し合っていた。
給料泥棒はハニーを探して逃げ出そうともがき続けているので、がんじがらめにされて、点滴を受けている。まず長期の栄養不良を治療する。
医者はジコクの報告を聞き、低い声で言った。「また一人、悪質商品の被害者ですね。何年もやっていますけど、こんなケースをどれだけ扱ったかわかりません」医者の顔にはほとんど表情がなかったが、語気にはあの悪徳商人たちへの嫌悪が滲んでいた。「数十年前にピークがあったんです。あの頃、光明之杖が重罰を下して、関わった連中の魔法師免許を全部剥奪しました。それで減りましたけど、それでも出てきます。こんな良心のない商人どもは、人類が滅びるまでなくならないんでしょうね。
ある商品は魔力槽の漏れ防止構造がちゃんと作られていなくて、エネルギー焼灼傷のケースがたくさんありました。あるのは宣伝効果のために、違う系統の法術を大量に重ねて、相互作用テストもせずに詰め込んでいるんです。結果、機能は多様化しますけど、効果が変質しやすくなって、爆発したケースまでありました。
もっと悪質なのは、法術成分リストに記載していない法術をこっそり仕込んでいるやつです。あれらは全部危険な法術です。
あるのは、同じ商品を大量に集めたくなるようにするやつです。あるのは、自分の購買欲をコントロールする能力を壊すやつです。あるのは、そのブランドのものだけを信頼できると思い込ませて、他のブランドを見ただけでパニックになるやつです。
この患者が遭遇したのは、商品に強烈な所有欲を抱かせる法術です。頭の中がその商品のことばかりになって、買わずにはいられなくなるんです。
あいつらの法術はかなり重いです。少なくとも七回の治療を受けないと、効果を除去できません」
「第四焼却炉では、過去の遺毒にまだ遭遇しますね」チャくんは思い当たった。
たとえ光明之杖が悪徳業者を捕まえ、商品を大規模回収しても、取りこぼしたものが民家の倉庫に残ってる可能性はある。何年も経って大掃除で捨てられるんだ。
これが第四焼却炉でゴミの着服を禁じる本当の理由──職員を隠された法術の傷害から守るためだ。
「そうです。中古魔法商品にも似た危険があります。光明之杖が魔法商品の一般人による転売を禁じているのも、そのためです」医者は言った。「私も覚えています。あの頃、業者が人体材料まで使って、大騒ぎになったんです」
チャくんもその話をしていた。
ジコクは考えて、聞いた。「なんか不合理だと思いますけど」
「ん?」チャくんがジコクを見た。
「人体材料なんて、別に使い勝手がいいわけではありません。犯罪者が人体材料を好むのは、ただの迷信か、特別だと思うからです。実利ばかりを追う良心のない商人なら、なんでそんな高リスクで入手しにくい材料を選ぶんですか?」手抜きで、安くて手に入りやすい粗悪材料に置き換えるなら、ジコクは即座に信じるけど。
「私も詳しくは覚えていませんが、何か人体材料でなければいけない理由があったらしいです」医者は言った。
ジコクは、ポルターガイストの王国で見たことを思い出した。あの女王の本体は巨大な人類の骸骨だった。
業者がどんな魔法効果を狙ったにせよ、人体材料を使ったのが本当だったからこそ、あんなイメージが生まれたのかもしれない。
第四焼却炉は当初、人体を処理する予定なんてなかったんだ。
なのに、人体材料が入った古い魔器がそのまま送り込まれてくる。
法術成分表に書いてないか、時間が経ちすぎて、職員がそんな商品を認識できなくなってるんだろう。だから人体材料とそれで構成された法術が、主炉へ一緒に放り込まれて、今の事態を引き起こした──突変したポルターガイストだ。
看護師が給料泥棒の家族を案内してきた。「いつも来なくていいって言ってたのに、どうしてこんなことに……」給料泥棒の妻はベッドに飛びついて泣き出した。
「何が彼をこんな目に遭わせたの?」彼女は顔を上げてジコクに聞いた。
ジコクは正直に答えられず、首を振って肩をすくめ、チャくんと一緒に病室から退散した。
「これは労働災害だ。光明之杖が面倒を見る」チャくんは歩きながら言った。さもないと、精神法術の除去治療はかなり金がかかる。
「後任の責任者はいつ来るんだ?」ジコクはそれしか気にならなかった。
「少なくとも一週間後だよ」チャくんは答えた。
そんなのじゃポルターガイストを止めるのに間に合わない! ジコクは頭をぐしゃぐしゃにかきむしり、もう一つ聞いた。「サーレンはどうだった? 俺の代わりに出勤してくれたか?」
「ああ、したよ。今日、彼を連れて駐坑に降りて、擬獣魔器を解体した。彼、勉強熱心で飲み込みも早いよ。全部の流れを覚えちまった」
ジコクは、サーレンが魔法方面で勉強熱心だなんて思えなかった。ポルターガイストの王国で専門用語を聞くのを拒否してたのに。あいつがこんなに変わってるのは、何か理由があるはずだ。「どの擬獣を解体したんだ?」
「ユニコーンだよ。かなり時間かけて説得したよ。あれはただの擬獣で、異大陸の有名な聖獣じゃないって。それに、誰かが家庭崩壊なんて起こさないように、近づく人をみんな処女だって認定するってな」
ジコクは心の中で残りの擬獣魔器を数えた。まだ火を吐く竜、ハーピー、それに蜘蛛精が残ってる。
このエピソードの原文:
醫生初步診斷判斷這是魔法傷害,於是肥貓主管又轉送到光明之杖特約醫院去,璽克也跟著過去。特約醫院的魔法傷害專科醫生判斷肥貓主管中了「魅惑法術」。因為法術根紮得很深,需要住院長期治療,院方通知了第四焚化爐,於是小碴也趕了過來。
兩人和醫生站在肥貓主管的病床旁邊,討論病情。肥貓主管一直掙扎,想逃跑去找他的甜心,所以被五花大綁吊點滴,總之先處理長期營養不良的問題。
醫生聽過璽克的報告,用低沉的聲音說:「又一個黑心商品受害者。這麼多年來我不知道處理多少起了。」醫生臉上沒什麼表情,但語氣透露出他對那些惡質商人的厭惡:「幾十年前有過一波高峰。那時候光明之杖祭出重罰,把參與的人法師執照通通吊銷,之後才有比較減少,不過還是會出現。這種沒良心的商人大概要到人類滅亡的時候才會消失吧。
「有的商品魔力槽沒有做好防漏結構,導致很多能量灼傷的案例。有的為了噱頭,把大量不同系統的法術未經交互作用測試就疊在一起,結果商品功能多樣化,卻很容易出現效果變質的問題,甚至還有爆炸的案例。更惡劣的還會在裡面隱藏沒標示在法術成分列表上的法術,那些都是危險的法術。有的法術會讓人想大量蒐集同樣的商品,有些會破壞人控制自己購買慾的能力,有的會讓人覺得只有那個品牌的東西才值得信賴,一看到其他品牌就恐慌。
「這個患者遇到的,是會讓人對該商品產生強烈佔有慾的法術,讓人滿腦子都想要那個商品,不得不買。那些人下法術都很重,至少要七次療程才能移除效果。」
「在第四焚化爐,我們還是會碰到過去的遺毒。」小碴恍然大悟。即使光明之杖抓到無良商人,商品大規模回收,還是可能會有沒回收到的商品留在民宅倉庫裡,多年後大掃除才被扔掉。這就是第四焚化爐禁止侵吞垃圾的真正原因:為了保護員工不受隱藏的法術傷害。
「對。二手魔法商品也有類似的危險。光明之杖規定魔法商品禁止一般人轉賣就是這個原因。」醫生說:「我還記得那時有廠商連人體材料都用了,鬧得滿大的。」
小碴也提過這件事。璽克想了想,問:「我覺得這樣挺不合理的。」
「嗯?」小碴看向璽克。
「人體材料根本就沒有比較好用,犯罪者喜歡用人體材料只是因為迷信,還有覺得這樣很特別。務實到沒良心的商人怎麼會選擇這種高風險又難取得的材料?」璽克說。如果是偷工減料,用比較容易取得的爛材料替換難取得的材料,璽克就會立刻相信。
醫生說:「我也記得不是很清楚了,似乎是有什麼原因必須要用人體材料不可。」
璽克回想他在騷靈的王國裡看到的,騷靈女王的本體是巨大人類骸骨。不管廠商是為了做出怎樣的魔法效果,用過人體材料這件事有可能是真的,才創造出這樣的形象。第四焚化爐當初並沒有預定要處理人體,內含人體材料的老舊魔器卻照樣送進來。因為法術成分表上沒有寫,也可能時間太久,工作人員早就不認識那樣商品了,於是人體材料和所構成的法術一起送進主爐裡,造就了現在的局面──突變騷靈。
護士指引肥貓主管的家人進來。他的妻子撲到床上哭著說:「你一直叫我不用過來,怎麼會變成這樣子?」她抬頭問璽克:「是什麼東西把他害成這樣?」
璽克不敢照實回答,只好搖頭聳肩,跟小碴一起撤出病房。
「這算職業傷害,光明之杖會照顧他的。」小碴邊走邊說。不然精神法術移除療程是很貴的。
「接任的主管什麼時候到?」璽克只在乎這件事。
「至少一週。」小碴回答。
那樣根本來不及阻止騷靈!璽克抓亂了頭髮,又問:「瑟連還好嗎?他有代我的班嗎?」
「有啊。今天我帶他下佇坑拆擬獸魔器。他很好學,也學很快,把整個流程都學起來了。」
璽克不覺得瑟連在魔法方面是個好學的人,否則在騷靈王國裡他不會拒聽術語。他這麼反常一定有什麼原因:「你們拆哪隻擬獸?」
「獨角獸。我花了好多時間才說服他,說那個只是擬獸,不是異大陸那種知名聖獸。而且它會認定每個靠近它的人都是處子之身,免得有人因此鬧家庭革命。」
璽克在心裡數著剩下的擬獸魔器。還有噴火龍、鳥身女妖跟蜘蛛精。




