4話 魔法適正試験
「これより新入生はクラスを分けるため魔法適正を調べます、各生徒は所定の控え室で待機をお願いします」
入学手続きの時に貰った番号紙に従い控え室に
俺の出番は最後か……持ってきた本を読んで待とう
1部屋に10名がそれぞれ時間を潰す
「君、本を読むとは余程自信があるようだね」
目の前にいる金髪の少年……同じ分け組の子か
服装から上流階級のご子息か、辺境の街と言えど知り合いの貴族などが住んでいる
余計な面倒は起こしたくないな
「自信など無い、ただ緊張を紛らわしているだけだよ」
「その話し方はなんだい?」
「まるでお爺様と話しているみたいだ、やはり君は変じゃないか?」
お爺……そうか
もう少し砕けた話し方をしなければバレてしまうか
砕けた……娘と話したのも20年前くらいだしな
「わ……悪かったな、俺は少し口下手でな」
「そうか、僕はいずれ魔聖になる男」
「ベルター・アットルと言う、友達になってもいいよ」
「あ、あぁ……こちらこそよろしく頼む」
アットル……聞いた事ない名だな、仲良くしていてもボロが出ても気づかないか
それに友を作れば魔法学習の手助けをしてくれるかもしれないな
「ベルターも人に話しかけるとは余程に自信があるのかい?」
「え……ま、まぁね」
「僕くらいになると話す余裕があるんだよね」
「じゃあその震える足はどうしたんだい?」
「……う、うるさい!!」
「ちょっと静かにしてよ!!」
ベルターとの会話を一喝される
その声は馬車で見たベイネーラ侯爵のご令嬢
まぁ適正試験の前、これは俺達が悪いな
静かに本を読もう
「次移動お願いします」
係の人の案内で格技場へ
先程まではあまり気にしていなかったが円形の格技場には所狭しと来場者が座っていた
やはり子の晴れ舞台は見たいものだ、俺もそうだった
「では各自整列し向こうの鎧に魔球を打って下さい」
「属性は得意な物で構いません」
魔球か……俺は現役時代魔法の魔の字も使っていなかったが基礎知識はある
魔球など基礎中の基礎、容易い事この上ない
「始め!!」
左手を前に出し以前魔人討伐の時に魔法使いから教えてもらった事を思い出す
魔法とは想像力が全て……頭で想像する力が源!
「魔球!!」
……
目の前に出たのは小さな白い球……嘘だろ
魔法を使っていなかったとしても40年間最前線で戦ってきた実績があるはず
俺は……
「おぉぉおおお!!!」
格技場を埋め尽くす歓声は隣の少年に向けられる
白髪の少年が打った魔球は鎧を貫通し格技場の壁を破壊する……あの歳にしては中々の素養
「そこまで!」
なぬ……
やはり魔法とは奥が深い
剣術は己の体躯で全てが決まる、だが魔法は思考と素養の合わせ……60年生きてきてまだ見ぬ領域
余生でたしなむにはもってこいということか
「えぇ、フィーラス君ね……君は最下クラスの「Eクラス」ね」
やはり60のおじさんの姿を少年に変えて良かった
ここ数十年出来ぬ事を指摘されていなかったのを考えると……少年の姿でしか言えない事も相手にはある
Eクラスから魔法を学ぼう