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2話 メイア・ベイネーラ

「案外、可愛い見た目じゃないかフィーラス」


若返りの薬を飲み干すと全身から蒸気を発し視野が低くなる、手先のシワも消え声も少し若くなった


「懐かしいけど……この髪どうにかならんのか」


鏡に映る俺は10代の姿になっていた、ただ1つ黒髪の中に混じる白髪が少し違和感

この年代で白髪が混じっていてはおかしい

そんな俺を見てグロリアスは笑う


「いいんじゃないかい?」

「そういう2色の髪の奴もいるだろう、可愛いよフィーラス」


「お前に褒められても嬉しくない」


手を握ると筋力は衰えていないことが分かる

逆に視力が上がりよく見える、これなら魔法書も読める


「フィーラス、行くならこの魔法学校にしな」

「魔法初心者のあんたでも入れる辺境の魔法学校さ、そこで好きに生きな」

「時間が出来たら元剣聖様に会いにいくからよろしく」


グロリアスの手にある紙には魔法学校の入学手続きがあった

「ハルバード魔法学校」……聞いたことは無いけれど

まぁ魔法さえ学べればなんでもいいか


「ありがとうグロリアス」

「行ってくる」


「フィーラス」

「今までありがとうね、あんたとの旅悪くなかったよ」


「俺もだよ」

「ありがとうグロリアス、またな」


俺は王都にある一軒家を売り払い

必要な資金以外を国に寄付し辺境の魔法学校ハルバード魔法学校がある街ガラパへ向かった


「あんた……ハルバード魔法学校に行くのか」

「わざわざ王都から下るとは余程魔法適正が無いのかね」


馬車でガラパに向かう道中、隣の男に悪態を疲れながら貰ったハルバード魔法学校の詳細を見ていた

乗客は4人、話しかけてくる男とフードを被った対面の2人


王都のはずれにある魔法学校

一応アルタイル王国が管轄する王立学校……去年の卒業生に宮廷魔導士が30人か

王立の学校なら平均で50だと聞いていたから辺境と言ってもさすが王立と言った所か


授業スピードも少し抑え目と言っていたな…ガラパも行ったことあるが何の変哲もない普通の街

これなら平穏に魔法をたしなめる


「おいおい無視すんなよガキ」

「ハルバード魔法学校に行く理由を聞いてんだよ」


「声を荒げるのはやめなさい、他の乗車客に迷惑だろう」


「はぁ!?」

「何上からもの言ってんだお前!俺様は魔王軍遠征に行った騎士様なんだぞ!」

「お前が学校に行けるのも俺達が身命をとして戦ったからだと習わなかったのか!?」


声を荒げる若者

こういう魔王戦線に駆り出され魔王亡き今、職にありつけない者がいることは知っていた

だがこんな運送の馬車内でこんな事になっているとは…


「な…なんだガキ、急に立ち上がって…やる気か!?」


「すまない、君が戦い世の為に尽くした事はわかっているつもりだ」

「少ないがこのお金が足しになれば」


俺は入学金を残し全ての金を手に渡す

非情かもしれないがお金があれば気持ちに余裕はできよう、せめてもの礼と思って…


「ふざけるな!!」

「テメェみたいなガキに施しを受けるつもりはねぇ」


泣き出す若者を見ると胸が痛む

俺は剣聖として世界のために剣を振ったが…全てを救えないのが現実か

それに今の俺は子供、そんな子供に何を言われようとも気持ちは晴れないか


「あんた……子供に当たりすぎなのよ」


「な……なんだお前」


対面の乗客がフードを外し男へ話しかける

金色の長髪に青い瞳…その綺麗な顔立ちをどこかで見たような気がするがわからない

ただ目の前の男に引けを取らない然とした風貌


「私もハルバード魔法学校に行くんだけど」

「自信を持って入学するけど文句ある!?」


腰に手を当て言い放つ少女を前に男は押し黙る

その姿に思い出す、まだ確定ではないがこの少女は戦う貴族と言われる「ベイネーラ侯爵」の一人娘…


「私の名前は「メイア・ベイネーラ」、将来「魔聖」になる魔法使いよ」

「覚えておきなさい!!」


やはりベイネーラ侯爵の令嬢だったか

人を悪く言うのは嫌だがベイネーラ侯爵は熱すぎる性がある

魔王戦線の時も指令を無視して先陣を切っていたな…それで生存しているから本物の騎士なのだろうな

……て

今この少女…ハルバード魔法学校と言ったか…


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